離婚すると、年金はどうなる? 分割合意と3号分割について
ファイナンシャルフィールド / 2020年8月14日 10時10分
離婚した場合、その後の年金はどのようになるのか。離婚を考えている夫婦なら当然気になるところです。今回は、離婚した場合の年金の取り扱いについて、どのような分割方法があるのか。そしてその詳細について解説します。
年金分割とは?
離婚の際には、さまざまな財産分与の取り決めをします。その中の1つが「年金をどのように分けるか」というものです。
離婚の際の年金分割の対象は、婚姻期間中の厚生年金に限られ、分割の仕方は「合意分轄」と「3号分轄」の2つの方法があります。そして、この年金分割は、離婚後2年以内に年金事務所にて手続きを行うことが必要となっています。
財産の分割には、相続のときと同様にいろいろともめるものですが、期間内に手続きを行わないと、もらえるはずの年金がもらえなくなるという事態に陥ることになりかねませんので、きちんと話し合い、必ず期限内に手続きを行うようにしましょう。
■合意分轄とは?
合意分轄とは厚生年金の年金分割に使われるのもので、離婚等をした場合に、以下の条件に該当したとき、当事者の一方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。そして、その条件とは次のようになっています。
- ★1.婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。
- ★2.当事者双方の合意または裁判手続きにより按分割合を定めていること。
そして婚姻期間中の厚生年金記録には、共済組合等の組合員である期間も含まれます。(引用:日本年金機構「離婚時の年金分割」)
合意分割の場合、合意できる割合の範囲(=按分割合)は、2人の標準報酬総額の合計の2分の1までとなります。
■3号分轄とは?
3号分轄制度とは、「平成20年5月1日以後に離婚等をし、以下の条件に該当したときに、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度」です。
離婚をした時期や、対象となる年金記録が決められているのが特徴となっています。そして、この制度を利用できる条件については以下のとおりです。
・婚姻期間中に平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。
なお、「3号分割制度」については、当事者双方の合意は必要ありません。ただし、分割される方が障害厚生年金の受給権者で、この分割請求の対象となる期間を年金額の基礎としている場合は、「3号分割」請求は認められないことに注意が必要です。
(参考:日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)」)
合意分轄と3号分轄は同時に認められる?
合意分割の請求が行われた場合は以下のとおりです。
- ★婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされる。
- ★3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われる。
(参考:日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)」)
請求期限に注意!
年金分割は「合意分轄」そして「3号分轄」ともに、「原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内」が請求期限となっています。したがって、必ずそれまでに請求手続きを済ませるようにしてください。
ただし、裁判所等の申し立てを行い、本来の請求期限が経過後、または本来請求期限経過日前の1カ月以内に審判や調停、判定が確定した場合であれば、特例が認められることになっています。
まとめ
離婚の際、専業主婦の方にとって今後いくら年金を受け取れるのかというのは非常に重要な問題です。分割の種類や手続き等について、「知らなかった」では済まされません。きちんとお互いで納得のいくまで話し合い、確実に期限内に請求手続きを行うようにしてください。
(参考)
日本年金機構「離婚時の年金分割」
日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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