厚生年金適用拡大―106万円の壁は中小企業の短時間労働者にも広がる。
ファイナンシャルフィールド / 2020年8月20日 10時20分
![厚生年金適用拡大―106万円の壁は中小企業の短時間労働者にも広がる。](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_84799_0-small.jpg)
2020年5月29日に年金制度改正法が成立しました。その中に、短時間労働者に対する厚生年金と健康保険の適用の拡大という項目が盛り込まれています。
現在、短時間労働者の社会保険加入については「106万円の壁」というものがあります。年収が106万円を超えたら社会保険上の扶養家族から外れ、自分で厚生年金保険料や健康保険料を支払わなければならないというものです。
このルールは従業員が501人以上の大企業に勤める短時間労働者にしか適用されていませんが、年金制度改正により2年後には101人以上、4年後には51人以上の中小企業に勤める人たちにまで適用されます。これは短時間労働者の方々にとってメリット、デメリットのどちらが大きいのでしょうか?
今回は、その点について解説してみたいと思います。
The post 厚生年金適用拡大―106万円の壁は中小企業の短時間労働者にも広がる。 first appeared on ファイナンシャルフィールド.
短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大とは?
今現在「106万円の壁」というものがあります。それは、次の条件を全て満たす短時間労働者は社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入しなくはいけないというものです。
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上であること
(2)雇用期間が1年以上見込まれること
(3)賃金月額が8.8万円以上であること(年収換算で約106万円以上)
(4)学生でないこと
(5)従業員が常時501人以上の会社に勤めていること
このうちの(5)の条件が、
1.2022年10月から「101人以上」
2.2024年10月から「51人以上」
と段階的に変更になります。
また、2022年10月からは(2)の条件における雇用期間が「1年以上」から「2ヶ月超」となります。
従業員が101人以上、51人以上の中小企業に勤めている契約社員、パートタイム労働者、アルバイトなどの短時間労働者の方々は、上記で示した時期からは(1)~(4)の条件を満たせば厚生年金および健康保険に加入しなければなりません。
すなわち、2022年10月からは「106万円の壁」が従業員101人以上の企業に勤めている人まで広がり、さらに2024年10月からは従業員51人以上の企業にまで拡大することになるのです。
「106万円の壁」の拡大は、短時間労働者にとって悪いことか?
結論からいうと「106万円の壁」の拡大は、それほど悪いことではありません。
1.夫が会社員で妻がパートタイム労働者の場合
・メリット
妻は厚生年金保険料を支払わなくてはならないが、将来自らの老後資金として老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金をもらうことができるようになる。
・デメリット
社会保険料支払いにより、妻の手取り額が減少する。
夫の健康保険の被扶養者から自分自身が被保険者になって、保険料負担が発生するが、健康保険の条件は変わらない。
2.夫が個人事業主の妻、独身の契約社員・アルバイトの場合
・メリット
国民年金に加入するより条件のいい厚生年金保険に加入することができ、将来自らの老後資金として年金の金額が増える。
国民健康保険に加入するより条件のいい健康保険に加入することができる。保険料も安い。
まとめ
夫が会社員で妻がパートタイム主婦の場合は、保険料が増えますが、老後まで考えると妻の年金の条件が改善されます。具体的な条件を基にメリット計算をする必要があります。
個人事業主の妻、独身の契約社員・アルバイトの人たちは、健康保険と厚生年金を合わせた保険料は少し安くなるか、ほとんど変わりませんが、国民健康保険が健康保険に、国民年金が基礎年金+老齢厚生年金に代わり、条件や年金額がよくなります。
今回の「106万円の壁」の拡大は労働者にとって歓迎すべきものと捉え、将来的な計画を立てるべきでしょう。政府の税制や各種の補助も夫婦共働きを推奨する方向に動いています。
社会保険の「106万円の壁」、税制の「103万円の壁」を意識せず、少しでも働いて収入を多くするのが自分自身に返ってくるものも大きいと考えることをお勧めします。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
関連記事
106万円の壁を超えても働くべき?社会保険加入のメリットとは
パート主婦が厚生年金に加入すると将来の年金はいくら増える?具体的に計算してみた
【FP監修】働くママが知っておきたい、厚生年金の扶養者条件とは?
The post 厚生年金適用拡大―106万円の壁は中小企業の短時間労働者にも広がる。 first appeared on ファイナンシャルフィールド.
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
2024年10月から「パートの働き方」が大きく変わる!?現在の働き方を見直す4つのポイントとは
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月13日 1時40分
-
妻はパートで年収120万円ですが、パート仲間から「10月に扶養から外れるかもしれない」と聞いたそうです。妻に仕事をセーブしてもらうべきですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月10日 10時20分
-
30代主婦、先日パートの時給が上がり、「年収106万円」を超えて社会保険に加入することになりました。「130万円」未満でも強制加入なのですか? 手取りが減ってしまいましたが、将来の「年金額」はどのくらい増えるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月30日 4時40分
-
パートを始めたいけれど通院が多く健康面に不安があります。3ヶ月くらいで辞めるつもりなら扶養から外れずに働けるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月29日 10時0分
-
年金を「月5万円」ほど受給し、会社員の夫の扶養に入っています。生活費のためパートを始めたいのですが、収入がいくらまでなら「扶養のまま」でいられるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月29日 5時10分
ランキング
-
1「土用の丑の日」物価高でも…あの手この手の“うなぎ商戦” 大手スーパーの目玉は「超特大」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 19時59分
-
2小林製薬、会長と社長が辞任へ…「紅麹」サプリ問題の対応遅れで経営責任明確化
読売新聞 / 2024年7月22日 21時37分
-
3「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分
-
4世界最大級・ファンボロー国際航空ショー開幕…三菱重工など日本企業14社も出展
読売新聞 / 2024年7月22日 21時54分
-
5「最高益の会社」の株価が上がらない当然の理由 相場に影響を与えるのは過去のデータではない
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 16時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)