あなたは、誤解していませんか? 離婚にかかる費用と注意事項とは
ファイナンシャルフィールド / 2020年8月24日 10時20分
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日本でも離婚は珍しくなくなってきています。離婚件数は1948年の7万9032件から2002年の28万9836件まで、ほぼ右肩上がりで上昇しています。その後、離婚件数は減少に転じていますが、婚姻件数も減少中なので、1年間に3組が結婚し、1組が離婚するという傾向は変わっていません。
ところで、皆さんは離婚に関連してかかる費用についてご存じでしょうか?
この記事では、離婚の際にかかる費用と誤解しやすい点について指摘したいと思います。
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離婚に関連してかかる費用
離婚の際、金銭に関連して行わなければいけないことは次のとおりです。
1.財産分与
2.年金の分割
3.慰謝料の支払い
4.子どもの養育費の分担
5.婚姻費用の分担
以下、それぞれについて説明していきたいと思います。
財産分与
財産分与とは、婚姻中に2人で築き上げた財産(共有財産)を分配することをいいます。
財産分与の対象となるのは、結婚してから離婚までに築き上げた財産(共有財産)で、どちらかが専業主婦(夫)だとしても、原則50:50で分けることになります。結婚前からどちらかが所有していた財産や、婚姻中といえども相続などの偶然の事情から取得した財産(特有財産)は分配の対象にはならないということです。
ですから、資産家の夫に嫁いだからといって、離婚すれば金持ちになれるわけではありません。
年金の分割
離婚時の年金分割制度は2007年(平成19年)から施行されました。財産分与とは別の考え方が適用されるので、年金の分割は、財産分与とは別に行われます。
分割の対象となる年金は、夫(妻)が婚姻期間中に保険料を納付した老齢厚生年金で、妻(夫)は分割対象の年金の最大半分までしかもらうことができません。共稼ぎ夫婦の場合は、それぞれが、それぞれに分け合うことになります。
いずれにしても、老齢基礎年金は分割の対象ではなく、老齢厚生年金も全体の半分がもらえるわけではありません。ですから、漠然と夫(妻)の年金の半分がもらえるから、老後は何とかなると考えているとしたらそれは間違いということになります。
年金の分割の方法には、合意分割と3号分割があります。年金分割の手続きには、離婚した日の翌日から2年以内という期限があるので注意が必要です。
慰謝料の支払い
慰謝料とは、離婚の原因を作った配偶者が精神的な苦痛を被った配偶者へ支払うお金のことで、損害賠償の一種と考えることができます。
慰謝料の支払いが認められる場合は、浮気、不倫、暴力行為などによるもので、性格の不一致や価値観の相違などは慰謝料の対象にはなりません。
また、慰謝料の相場は、100万円から300万円程度で、それ以上の金額になることはまずありません。感情的には、そんな金額ではとても収まらないと思っても、それが現実ということになります。
子どもの養育費の分担
子どもの養育費の分担とは、離婚後から子どもが成年に達するまで、子どもを養育しない側から子どもを養育する側に対して支払う費用をいいます。子どもの養育費とは、子どもの生活費、教育費、医療費などをいい、父親の基礎収入から子どもの取り分を計算し、その取り分と夫と妻の基礎収入の比率で分担します。
基礎収入とは、税引き後の所得から職業上の必要経費および家賃、医療費などの固定費的なものを引き去った、日常の生活費に充てることのできる収入をいいます。2022年4月から成人年齢を18歳とする改正民法が施行されますが、養育費に関する「成年」は20歳なので、子どもが20歳になるまで養育費を分担する必要があります。
婚姻費用の分担
婚姻費用とは、婚姻中の夫婦が共同生活をするために必要な生活費をいいます。離婚前に夫婦が別居をすると、収入の多い方が収入の少ない方に生活費の一部を支払うことになります。それを婚姻費用の分担といい、別居から離婚まで続きます。
この場合、夫婦はそれぞれの基礎収入の合計額をそれぞれの生活費の比率で分配します。夫の基礎収入が800万円、妻の基礎収入が100万円で、子どものいない夫婦の場合、夫の生活費100、妻の生活費100なので、1:1で分担します。
すなわち、
(800万円+100万円)×100/(100+100)=450万円
450万円-100万円=350万円
夫から妻へ毎年350万円支払うことになります。
子どものいる夫婦なら
14歳以下の子ども1人当たり 62
15歳以上の子ども1人当たり 85
の比率となり、子どもを養育する方が受け取ることになります。
別居から離婚まで時間がかかったり、夫婦の基礎収入差が大きい場合は、婚姻費用の分担額が、何千万円という金額になることがあるので、注意が必要です。
まとめ
離婚に関連してかかる費用について解説しました。離婚をする場合、精神的な負担は除外しても、経済的には2人の共有財産を分割することなので、どちらも決して得にはなりません。
また、財産の価値を計算したり、婚姻費用や養育費の分担額を計算したりといろいろな労力がかかることも、お分かりいただけたと思います。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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