こんなときだからこそ、事業計画の見直しと事業のスリム化を
ファイナンシャルフィールド / 2020年8月28日 12時0分
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帝国データバンクの調査結果によると、「新型コロナウイルス関連倒産」(法人および個人事業主)は、全国に386件あったことが判明しています(2020/7/30 16:00現在)。
倒産した事業者を業種別に見ると、上位は「飲食店」(53件)、「ホテル・旅館」(46件)、「アパレル・雑貨小売店」「食品卸」(各24件)、「食品製造」(19件)となっています。
連日報道されているとおり、「コロナ倒産」がまさに現実のものになっており、「明日はわが身」と感じる事業者も多数存在しています。
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まず自分の事業を振り返る:事業計画の見直し
連日報道されている事業者たちが口々に、「売上が〇〇%減りました。赤字が続き、このままでは事業を続けられません!」と言います。
これは現実であり、嘘偽りない真実ではありますが、これは新型コロナ感染拡大という現実を受け止め切れていないのだと思います。経済がいつか元の状態に戻ることを想定した発言なのです。
確かに今人類は未曽有の事態の渦中にいて、こんなことは誰も想定できなかったわけですが、ということはビジネスの環境が変わったということです。ビジネスの環境には、自社の強みや弱みなどの内部環境と、機会や脅威などの外部環境があり、今のコロナ禍は外部環境の変化です。
つまり事業者自らが変えることのできない環境の変化なのです。
だからといって何もしないのでは、当然コロナの波にのまれてしまうので、「環境が悪い」と声を上げるだけではなく、自分が変わらないといけないのです。創業・起業するときに、事業計画書を作って、銀行に融資をお願いしたり、専門家の助言を受けたりしたと思いますが、こんなときこそ事業計画を見直す時期なのです。
事業者がすべきこと:事業のスリム化
環境の変化に対応するといっても、明日からすぐにできるものは少ないので、日々頭の中では考えを巡らせながら、今の事業をスリム化しましょう。
経済が元の状態に戻ったとしても、お客さまが戻ってくるとは限りません。もとどおりの売上高を想定し、足りない分を補助金で、と考えるのは危険です。自治体が補填してくれる助成金や協力金は、あくまでも一時しのぎ、最低限の生活を続けていくための補助と捉えましょう。
会社員が退職すると、雇用保険から失業給付が出ますが、それはあくまでも次の仕事に就くまでの求職中の生活を保障するお金です。それと同じく、あくまで事業者の生活補助なのです。
売上が50%以上減少した月の補填として「持続化給付金」、従業員の雇用を守る措置としては「雇用調整助成金」、緊急事態宣言延長による家賃負担を軽減する「家賃支援給付金」などは可能な限り利用するとしても、これで元の利益が確保できるわけではありません。まずは、事業のスリム化を早急に行いましょう。
これだけ経済の打撃があるのですから、前年と同水準の売上高は見込めないと想定し、損益分岐点売上高(※1)を低く抑える工夫をしましょう。販売量に頼らない、数(ボリューム)を売らなくて済むようにするのです。
損益分岐点売上高を抑えるためには、変動費よりも固定費(※2)の削減のほうが効果は高く、といっても、そこを削減することが最も難しいわけですが、こんなときだからこそ、銀行や取引相手と交渉をしてみることが大事です。また、どうせかかる固定費を使って、新商品開発、新業態開発を行うこともイノベーションなのです。
※1:損益分岐点売上高とは、売上と費用が等しくなる売上高のこと。利益がゼロとなり、ギリギリ赤字にならない点であり、赤字にならないための目標となる売上高。
※2:固定費とは、売上に関係なく一定程度かかる経費のこと。人件費や店舗家賃など。
執筆者:黒澤佳子
CFP(R)認定者、中小企業診断士
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