退職後の健康保険ってどうなるの?会社の健康保険に加入し続けられる「任意継続」とは
ファイナンシャルフィールド / 2020年9月7日 3時0分
日本には国民皆保険制度があり、75歳未満の人は健康保険、共済組合、国民健康保険のいずれかに加入する必要があります。会社員の多くは健康保険に加入していますが、退職後の健康保険はどうなるのでしょうか。
退職後の健康保険については複数の選択肢があり、その人の事情に応じて選択することになります。今回は、退職後の健康保険の任意継続制度について紹介します。
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退職後の健康保険の選択肢
会社に勤めているときは決められた健康保険に加入しています。そして、会社を退職するときには健康保険の手続きが必要で、退職後に加入する健康保険についても判断をしなければなりません。退職後の健康保険については次の3つの選択肢があります。
(1)退職時の健康保険の任意継続をする
(2)国民健康保険に加入する
(3)家族の健康保険(国民健康保険以外)の被扶養者になる
転職など別の会社への入社が決まっている場合は、新しい会社の健康保険に加入することになります。しかし、次の勤務先が決まっていない場合、自営業やフリーランスへ転向する場合、定年退職で新たに働く予定がない場合などは上の3つから選ぶ必要があります。
健康保険の任意継続制度
会社を退職すると健康保険の被保険者の資格を失い、保険証を返却する必要があります。しかし、次の2つの要件を満たしていれば、本人の希望で2年間に限り継続して加入することができます。
・退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること
・退職日の翌日から20日以内に任意継続の手続きをすること
任意継続制度は一度選択すると途中で変更することはできず、次の場合以外では脱退することができません。任意継続期間中は国民健康保険への変更や家族の扶養に入ることもできないので注意しましょう。
・納付期限までに保険料を納めなかった場合
・他の健康保険組合に加入した場合
・75歳になり後期高齢者医療制度に加入した場合
・本人が亡くなった場合
任意継続制度の保険料は退職前の保険料とは異なります。保険料は、退職したときの標準報酬月額によって決まり全額自己負担となります。退職前は本人と事業主で保険料を半分ずつ負担しますが、任意継続制度では全額自己負担となるため負担が2倍になります。
ただし、標準報酬月額については上限が設けられています。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は30万円が上限となっており、それぞれの健康保険組合では被保険者の標準報酬月額の平均が上限になっている場合が多いです。退職時の給料が高い人は保険料負担が少し抑えられるかもしれません。
任意継続を選ぶメリットとデメリット
退職後の健康保険で迷うケースは、任意継続か国民健康保険かの選択です。
まず、任意継続のメリットを紹介します。
1つ目は、退職時の給料が高い場合は国民健康保険よりも割安になる可能性があります。国民健康保険の保険料は、基本的に前年の収入で計算されるため高額となるケースが多いです。任意継続では標準報酬月額の上限が設定されているため、給料が高い人は国民健康保険と比べて保険料が割安になるかもしれません。
2つ目は、扶養者が多い場合に国民健康保険よりも割安になる可能性があります。任意継続では退職前と同じく、要件を満たせば家族を扶養にすることができます。
一方で国民健康保険には扶養という考え方がないため、世帯の加入人数によって保険料が増加します。扶養家族が多い人は国民健康保険と比べて保険料が割安になるかもしれません。
3つ目は、健康保険独自の制度が利用できる点です。医療費の自己負担を抑える高額療養費制度は、健康保険や国民健康保険に共通した制度ですが、健康保険組合によっては追加の給付制度(付加給付)があり、より自己負担が抑えられる場合があります。
また、健康診断や人間ドックなどが安く利用できる場合もあります。任意継続では、それらの制度を継続して利用することができます。
次に、任意継続のデメリットを紹介します。
1つ目は、任意継続制度は2年間しか加入することができず、2年を過ぎると自動的に脱退となる点です。つまり、2年後には別の健康保険に加入する必要があります。
2つ目は、原則として2年間保険料が変わらないことです。国民健康保険では前年の収入で保険料が決まるため、退職した年の収入が少なければ翌年の保険料は安くなる可能性があります。任意継続の場合は退職時の標準報酬月額で決められた保険料で2年間固定されますので、2年間の合計で比較する必要があるでしょう。
3つ目は、問い合わせ窓口が遠方になってしまう可能性です。任意継続する健康保険組合の窓口が少ないケースもあり、遠方へ引っ越した場合は手続きに時間がかかる可能性があります。一方、国民健康保険であれば、お住まいの市区町村で手続きができますので、利便性は高いといえます。
退職時には健康保険以外にもいろいろな手続きがあり、慌ただしい状況になります。事前に、任意継続制度の仕組みや保険料の考え方、健康保険独自のメリットなどを確認しておくとよいでしょう。
出典 全国健康保険協会 協会けんぽ
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
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