投資信託とETF 先行き不透明な現状で、どう使い分けたらよいか?
ファイナンシャルフィールド / 2020年9月22日 9時10分
新型コロナショックで、生活様式がさまざまな面で変化しています。
生活様式だけでなく、金融市場にもいろいろな変化の兆しが見えます。2020年の世界各国の経済成長率の予測は軒並みマイナスとなっており、各国の株価は2020年3月に急落しましたが、8月にはほぼ急落前の水準に戻しています。一方、金の価格は3月から急騰し、7月には1トロイオンス当たり2000ドルを超えて過去最高値を更新しています。
今後、どういった方向に行くか予断を許さない金融市場ですが、こういう時期だからこそ投資をしてみたいという方もいらっしゃると思います。この記事では、分散投資の手段として有力な投資信託とETF(上場投資信託)を紹介したいと思います。
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先行きが不透明なときの投資は?
現在のように先行きが不透明なときの投資は、1つの銘柄に集中して一度に買い、一度に売るという集中的な投資ではなく、銘柄を広い範囲で選び、売り買いともに時間をかけて行う分散投資がお勧めです。
将来の株価の行方の予測が難しいので、的を絞って投資をすると予想が外れたときの被害が大きいからです。
投資信託とETFによる分散投資
ETFは上場投資信託といわれる投資信託の一種で、株式投資の方法で投資信託の売買をできるようにした商品です。リアルタイムで変動する市場価格をベースに、市場で指値注文や成り行き注文ができる点が投資信託とは違います。
投資信託とETFで共通するのは、ともに投資対象が広く、個別の企業の株式ではなく多数の銘柄にまとめて投資することにより、インデックス・ファンドやポートフォリオ・ファンドを作り上げることができる点です。
具体的には、株価インデックス、テーマ別株式、公社債、REIT、商品(貴金属・原油など)に投資するので、銘柄的には広い範囲での分散投資が可能になるというメリットがあります。
投資信託とETFの相違点は?
投資信託は分配金や配当が出た場合、それを元本に組み入れて再投資することができます。それにより、分配金や配当がさらに分配金や配当を生むという「複利効果」が期待できます。これに対し、ETFは分配金や配当を再投資する仕組みがないので、「複利効果」が期待できないというデメリットがあります。
もう1つ、ETFで長期積立をしようと思った場合、毎月一定額を購入できるものは、つみたてNISAの対象となっているごく一部のETFに限られています。
長期積立のシステムが整備されていないので、長期積立をするためには自分で毎月一定額を買い付けるという手間をかける必要が出てきます。これは手間だけではなく、積立日に積み立てをするのをうっかり忘れたり、慌てて積立金額を間違えたりする危険性もあるのでお勧めできません。
なお、投資利益への課税は両者とも申告分離課税で、利益の20.315%が課税されます。
投資信託とETFはどちらが良いか?
それでは、実際の投資にあたり、投資信託とETFのどちらを選ぶべきでしょうか?
銘柄的な分散投資の手段としては、どちらも一緒です。時間的な分散投資手段といえば長期積立になりますが、これについていえば、投資信託の方がシステムが整備されているので優れています。
一方、自分の望む価格で売買するという機能はETFにはありますが、投資信託にはありません。
これらを集約すると、投資信託とETFの使い分けは次のようになると思います。
●投資信託
適した投資の仕方:全世界の株価インデックス・ファンドなどに、毎月一定額を長期にわたって積み立てる方法
メリットと注意点:時間的にも銘柄的にも分散投資を行うことができます。ドルコスト平均法を使った長期積立により、平均買付単価を下げることができますが、長期投資を前提にするので、保有期間に応じてかかる信託報酬手数料が低いものを選択する必要があります。
●ETF
適した投資の仕方:株価インデックス・ファンドや貴金属ファンドを価格が下がったときに買い、上がったときに売る短期売買または中期売買
メリットと注意点:自分の望む時期に望む価格で売買が可能なので、機動的に動けるのがメリットです。積立システムがなく、「複利効果」がないので、長期にわたり株価上昇のメリットを受ける投資方法には不向きといえます。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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