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コロナ禍以降のドル・円レート。資産運用をする上で知っておきたいこと

ファイナンシャルフィールド / 2020年10月14日 12時0分

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相場の変動要因の中で重要なものの1つに「為替」があります。
 
普段の生活シーンにおいては、例えば、ニュースなどで「現在のドル・円レートは1ドル=100円です」といった形で伝えられますが、海外旅行に行く際の換金レートも為替相場が参考にされますし、銀行の外貨預金でも為替相場を基に預け入れや引き出しが行われます。
 
このように、私たちの日常では比較的当たり前のように存在する為替相場ですが、その仕組みについて改めて考えてみると、ややこしいという印象を持つのではないでしょうか。

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円高・ドル安、円安・ドル高の意味 1

為替は日本国内と海外との間における商品売買の決済取引手段として活用されています。
 
例えば、日本の商社がアメリカから100ドルの商品を輸入するという取引で見ていきましょう。
 
日本の商社が手元で持っているお金は日本円であるため、日本円を100ドル分の米ドルに換金してからでないと商品を買うことができません。このときに使われるのが為替レートです。
 
現在の為替レートが1ドル=100円の場合、100ドルと交換するには日本円で1万円が必要です(手数料は考慮せず)。そこで、為替レートに基づき1万円を支払い、100ドルを購入(換金)してから商品を買い付けることになります。
 
そして1ヶ月後、再び同じ商品をアメリカから輸入し、日本国内で販売するとします。このときの為替レートは1ドル=90円だったため、商品の購入価格は9000円で済みました。
 
さらに1ヶ月後、再び同じ商品を買い付けようと思い、為替レートを見たところ、1ドル=110円になっていました。このとき、日本円で1万1000円を用意して商品を購入しました。
 
このように、1ドル=100円での取引を基準にすると、1ドル=90円になった場合は「円高・ドル安」、1ドル=110円になった場合は「円安・ドル高」と表現されます。

円高・ドル安、円安・ドル高の意味 2

決済取引手段として為替レートを見た場合、円高・ドル安、円安・ドル高という表現は前述のような意味になりますが、通貨の価値という視点で見た場合、意味合いが少し異なります。
 
円高・ドル安においては、日本円の価値が高まり、米ドルの価値が下がったという意味になり、これとは対照的に、円安・ドル高という場合は日本円の価値が下がり、米ドルの価値が上がったという意味になります。
 
これを先ほどの商品取引と照らし合わせて考えてみると、1ドル=100円から1ドル=90円になった状況では、1万円(1ドル=100円)した商品が9000円(1ドル=90円)で買うことができるようになったため、「日本円での購買力が強まった」と考えることができます。
 
一方、1ドル=100円から1ドル=110円になった状況では、1万円(1ドル=100円)で買えたはずの商品が1万1000円(1ドル=110円)払わなければ買うことができないため、「日本円での購買力が弱まった」と考えることができます。

約20年間、ドル・円レートはどのように動いてきたの?

このように海外との取引において必要不可欠になっている為替相場ですが、資産運用をする場合、為替レートの変動がどうなるかで株式や投資信託の動きにも影響を与えるため、マーケットの変動要因としては重要な項目の1つになっています。
 
例えば、アメリカの株式が中心に組み入れられている投資信託(米国株式型投資信託)を購入する場合、購入や売却をするときには直接的にドル・円レートの影響を受けます。また、ドル・円レートが円高・ドル安、円安・ドル高になるかで、米国の株価は影響を受けるため、結果として、投資信託の基準価額にも影響を及ぼします。
 
このようなことから、米国株式型投資信託で運用する場合は、(1)「ドル・円レートの動向」、(2)「ドル・円レートが米国株式に与える影響」の2つを最低限考える必要があります。
 
〇ドル・円レート


※筆者作成
 
これは1999年1月4日から2020年8月14日までのドル・円チャートです。チャートの値が下に行けば「円高・ドル安」、上に行けば「円安・ドル高」と見てみましょう。
 
チャートでは2011年を境に「円高・ドル安」基調から反転し、2015年まで「円安・ドル高」基調が続きました。その後、再び長期的には「円高・ドル安」基調に戻っていますが、コロナショックの際に起こった現象はドル・円相場においては「円高・ドル安」、株式相場においては「株価下落」です。
 
この要因は、直接的には新型コロナウイルス感染症拡大による世界経済の急減速ですが、これを背景に「安全資産への回避」として日本円が買われ、「リスクオフ」の動きが広がったことから株式が一気に売られました。そして、コロナショック後のドル・円レートは、「円安・ドル高」基調にいったん戻りましたが、再び「円高・ドル安」基調の中で売買が交錯しています。

コロナ禍以降、ドル・円相場はどう考えればいい?

コロナ禍におけるドル・円相場をどう見るかという話ですが、セオリーどおりに考えると、アメリカと日本がそれぞれ実施している金融・財政政策における量的・質的な違いがポイントになると考えられます。
 
端的にいうと、「アメリカが供給しているお金の量と実施している政策の質」、「日本が供給しているお金の量と実施している政策の質」の2つを比べると、どちらかというと「円高・ドル安」傾向になりやすい素地が現状では整っているように思われます。
 
もう少し分かりやすくいうと、単純に「お金の量」の違いになりますが、日本よりもアメリカの方が市中に流しているお金の量が多いため、ドルの価値が下がり、円の価値が上がりやすいという傾向予測です。
 
この流れの中で細かくドル・円相場が動いていくことになると思いますが、現在(2020年8月14日時点)のマーケットを見ている限り、短期的には方向感が定まっていない動きとなっています。
 
為替誘導という言葉がありますが、恣意的に自国に有利な為替政策を打つことを指します。
 
日本の場合、ドル・円相場が円安に振れず円高になってしまうと、貿易面でも金融面でもマイナスになってしまうため、どちらかというとさまざまな政策を通じ、意図的に為替を円安に向けていこうとするときがあります。
 
アベノミクス相場はその典型でしたが、コロナショック後の為替政策においてはアメリカと比べて量的にも質的にも見劣りしているため、今後どのような政策を打っていくかがドル・円相場を見る上での1つのポイントになるでしょう。

まとめ

為替相場は、昔から資産運用をする上で最も難しい分野といわれています。複雑な要因が多面的に絡み合うため、その予測は一筋縄ではいきません。
 
コロナ禍以降も、私たちの暮らしは為替相場からの影響を受けますが、チャートを見ながら、世界で何が起こっているかという視点で幅広くマーケットを注視していくと、今後の資産運用に役立つのではないでしょうか。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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