知っていましたか? 酒税改正。税率改正第1弾が実施されました
ファイナンシャルフィールド / 2020年10月15日 10時10分
皆さんはお酒を飲みますか? 昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、外でお酒を飲む機会が減り、反対に家で飲む量が増えた、という人も多いのではないでしょうか?私もその1人です。
そんな家飲み派の人たちが知っておきたい情報の1つに、2018年に施行された酒税改正があります。今回は、この改正の中身と、それにより今後どのような影響が出るのか? という点について書いてみたいと思います。
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酒税とは何か
まず、酒税とは何かというと、これは酒類(お酒)に課される税金を指します。アルコール分が1%以上含まれる飲料には、この酒税が課税されます。
覚えている方も多いかもしれませんが、消費税が10%に増税されたとき、みりんは消費税が8%か10%かという話題が出たことがありました。これが実は酒税が絡んでいたのです。みりんはアルコール分を1%以上含んでいるため、お酒として扱われ、その結果、軽減税率の対象外(お酒は対象外です)とされ、消費税は10%となりました。
さて、2018年に酒税が改正されました。このとき改正の目的は、このように説明されています。
「類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、税収中立の下、実施」
現在、酒税はお酒の種類ごとに細かく分かれています。ビールが含まれる「発泡性酒類」と呼ばれる区分の中でも、麦芽比率の割合によって、4つの税率が定められています。
例えばビールは1リットル当たり220円の税金が掛かりますが、発泡酒は178円です。このように、似ているお酒なのに酒税が異なるのは、公平性に欠けるから税率を見直そう、というのが、今回の改正の趣旨です。
ただ、一気に見直しを行うと、混乱が起こる可能性もあるため、今回は3段階に分けて徐々に税率を変更している方法を取っています。2026年に完了し、2020年の10月に行われる酒税改正がその第1歩となります。
酒税法改正
では、どのようになるのかというと、下図のようになります。
今、細かく分けられている税率が、大きく「ビール系飲料」・「清酒・果実酒」・「チューハイなど」の3つのグループに再編成されます。その中で最終的(2026年)には同じ税率が設定されます。
どのように税率が変わるのか
今回10月に実施される第1弾と最終的な2026年の第3弾で、どのように税率が変わるのかをまとめました。
今回10月時点では、以下のようになります。
値上げする酒類、値下げする酒類、そして変わらない酒類をまとめると、以下になります。
新ジャンルのビールと果実酒(ワインなど)は値上げ、ビールと清酒(日本酒)は値下げです。
2026年10月以降
2026年10月以降は、以下のようになります。
値上げする酒類、値下げする酒類、そして変わらない酒類をまとめると、以下になります。
表を見ると、一般消費者の立場としては喜ばしくはありませんが、値上げするお酒のほうが多いという結果となっています。しかし、ビールは77円から54.25円へと、約3割も安くなります。清酒も値下げです。ビールや日本酒を好む人にとっては良い流れといえるでしょう。
酒類間の税率の不公平をなくす
しかし、今回の税率改正はあくまでも「酒類間の税率の不公平をなくす」ことが目的とされています。市場の動向による調整ではありません。
ビール離れが進み、第3のビールの消費が増している今、ビールの税率を下げて、第3のビールの税率を上げることが、果たして消費者のニーズに沿っているのか? 少々疑問に感じる部分もあります。
また、今回の税率の変更が、そのままスーパーやコンビニの販売価格に反映されるわけではありませんが、消費者の立場に立った値段設定をお願いしたいところです。
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
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