250万円以下の資金で開業する「少額起業」の実態って?
ファイナンシャルフィールド / 2020年10月17日 11時0分
![250万円以下の資金で開業する「少額起業」の実態って?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_89353_0-small.jpg)
SNSやWebニュースを見ていると、「●●億円調達おめでとう!」というような、資金調達に成功した起業家やスタートアップ企業の喜びの声が見られます。もちろん、スタートアップ企業の成長のためには資金調達には大切なことですし、事業を伸ばすためには喜ばしいことです。
しかし、それは「お金をもらえる」ことではありません。投資家に対して見返りを果たさなくてはならず、大きな責任を負うものです。事業に失敗し、ドラマのように土下座をする羽目になってしまった人たちもいます。
そんな話をすると、起業が怖く感じられてしまい、独立・起業しようという人の気持ちがしぼんでしまうかもしれません。
そんなことはありません。「少額起業」が今増えているのです。
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6人に1人は250万円以下の資金で開業している
「少額起業」とは? 例えば、日本政策金融公庫総合研究所が発表した「2018年新規開業実態調査」(※)を見ると、“開業費用の平均値は、1062万円と1991年の調査開始以来、最も少なくなった。開業費用の構成比を見ると、「250万円未満」の割合は16.7%と、2017年度に比べて2.3ポイント上昇した。”とあります。
つまり、新規に開業した人の約6人に1人は250万円以下の資金で開業しているわけなのです。つまり「少額起業」なのですね。
同じ資料の「開業費用」を見てみると、250万円以下の少額開業した人の平均は139万円となっています。そのうち「運転資金」が平均49.5%、「設備の購入」が平均で28.0%。つまり、自身が開業するにあたって買ったモノの金額は、約39万円に過ぎません。
そもそも開業に当たって購入するモノが減ってきた
昭和、いや平成の時代に入っても「起業するときは、まず事務所を借りて固定電話を引く」というのがスタートでした。そして「そこに複合機を設置して、電話番を雇う」というのが1つのコースでした。このコースだと、どんなに小さな開業スタイルだとしても、起業にはかなりの費用がかかることが見てとれますね。しかも、「事務所」「電話番のスタッフ」という固定費が、さらに毎月かかってしまったわけです。
令和になり、1人もしくは少人数で起業するならコワーキングスペースで十分になりました。ペーパーレスが浸透していますので、複合機もいらないですし、どうしても印刷物がいるときには、コワーキングスペースの複合機をオンデマンド(使いたいときだけその費用を支払う)でいいわけです。メールやチャットでの連絡が主になりましたので、固定電話は特に必要ありません(金融機関から固定電話番号を求められることはあります)。当然「電話番のスタッフ」も不要になりました。
少額起業の事業者の約64.8%が黒字基調
しっかりしたビジネスプランを練り上げ、ベンチャーキャピタルなど専門家のサポートを受けながら、画期的で大きなビジネスを作り出すためには、やはり資金調達が必要で、それ自体を否定するつもりはまったくありません。
しかし、ローリスクで小さく起業していこうという人も少なからずいるはずです。コロナ禍で職を失い、自分で開業しようという「アクシデンタル・アントレプレナー(不慮のできごとにより起業せざるを得ない人)」もいるかもしれません。
そんな人たちは、250万円以下の「少額起業」を試してはどうでしょう。例えば、定年後、自分で「少額起業」しようという人は、250万円だけ投資することにして、夢を追いかけて見たらどうでしょうか?
ちなみに同調査資料では、少額で開業した事業者のうち、「売上が増加傾向」と応えた事業者が62.0%に上るそうです、また現在の採算状況についても「黒字基調」と答えた割合が64.8%に達しているようです。少額起業した事業者はおおむね順調に事業を継続しているようです
ただし、黒字と答えた事業者の月平均利益額は約38.2万円となっており、決して高いものではありません。しかし、スモールスタートを考える人にとっては、まずはこれぐらい月々生み出せればいいのではないでしょうか。
まとめ
起業にはいろんなスタイルがあります。こんな時期、大きなリスクを背負わずに、身の丈の資金でチャレンジしてみてはどうでしょう。コワーキングスペースなどをうまく使えば、少額起業できるベースはそろっています。
[出典]
※日本政策金融公庫「250万円未満の少額開業の実態~『2018年度新規開業実態調査』結果から~」
※2020/10/20 タイトルを一部修正させていただきました。
執筆者:藤木俊明
副業評論家
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