老後破綻回避にコロナショックは有効か?
ファイナンシャルフィールド / 2020年10月30日 8時30分
![老後破綻回避にコロナショックは有効か?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_90127_0-small.jpg)
FP(ファイナンシャルプランナー)への相談の代表的な例の1つに、退職後の人生設計があります。
ここで一番問題になるのは、退職後、年金生活に移るけれど、生活費や諸経費を収入の減少に応じて減らすことが難しいということです。十分な貯蓄がなく、退職金に頼って老後設計をしようとしても、キャッシュフローを作成すると10年後には貯蓄がマイナスになって、老後破綻してしまうというパターンです。
この記事では老後破綻の問題について考えてみたいと思います。
The post 老後破綻回避にコロナショックは有効か? first appeared on ファイナンシャルフィールド.
老後破綻の1つのパターン
老後破綻のパターンの1つとして次のような例があります。
貯蓄:
60歳時点 1000万円
収入:
60歳まで 年収600万円+退職金2000万円
65歳まで 年収300万円
65歳以降 年金 233万円
支出:
住宅ローン 65歳まで 174万円
生活費 60歳 305万円
それ以降 毎年0.5%ずつ上昇
※物価上昇を考慮して、生活費が毎年0.5%上昇するベースで作成しています。
年間収支:
65歳まで △約370万円
66歳以降 △約130万円
60歳以降、毎年このパターンで生活を続けていくと、73歳のときに貯蓄が△9万円となり、破綻します。住宅ローンの返済を完了した持ち家を売れば当面は何とかしのげますが、かなり苦しいのは目に見えています。
表1 老後破綻のパターンのライフプラン
※筆者作成
退職後にやらねばならないこと
このパターンの一番の問題点は、収入に比べて生活費が高すぎることです。
特に61歳で年収が600万円から300万円に減少する時点、66歳で年収300万円が年金収入233万円に減少する時点で、収入に応じて生活費を減らす必要がありますが、それができないと73歳で老後破綻になってしまうことになります。
上記のキャッシュフローを見ていただければ分かるように、このパターンの場合は支出を減らすには生活費を減らすしか方法がありません。
生活費を減らすことの難しさ
収入に応じて生活費を減らすといっても、今までどおりの生活を続けていると、それはかなり難しいことになります。
上記の例でいうと、61歳になった時点で年収が600万円から300万円に半減しますが、会社勤めの生活パターンはそれほど変わることはないでしょう。食費、服飾費、マイカーの費用、交際費などを大きく減らすことは非常に難しいということになります。
コロナショックは生活のパターンを変えるチャンス
生活費を大きく削減するには、生活様式を変える必要があります。コロナショックは決して望ましいことではありませんが、生活様式は大きく変わりました。
旅行・レジャー費、外食費、服飾費、交際費が大きく減少しています。家で食事をするので食料品費、光熱費、消毒用品などの消耗品費は上がっていますが、2020年4~6月(月平均)の2人以上世帯の家計の消費支出は、対前年同期比で2万8427円も減っています。
もちろん、老後破綻を目の前にした上記のような例では、それ以上に無駄を減らさなければならないのですが、生活様式の変化は生活費のコストダウンへの大きな味方であることは間違いありません。
生活様式の変化と自分自身の努力により、仮に月当たり5万円の生活費のコストダウンに成功したとすれば、上記のキャッシュフローは次のとおりとなり、老後破綻の年齢が73歳から83歳にまで10年延びることになりました。
表2 生活費見直しにより、月当たり5万円コストダウンした場合のライフプラン
※筆者作成
まとめ
今回は退職後に老後破綻するパターンと、その対策として、次のことをご説明しました。ぜひ人生設計の参考にしてください。
1. 老後の収入減に合わせて生活費をコストダウンしないと、老後破綻を招く原因になりかねない。
2. 生活費を削減するのはそう簡単ではないが、生活様式が変わったときは生活費削減のチャンスである。
3. コロナショックは生活費削減の大きなチャンスである。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
関連記事
老後破綻を防ぐ近道は、老後費用の把握!? 現在のお金の使い方と見直すキッカケ
老後破綻を回避しつつ、ゆとりある老後生活を送るために「今すべきこと」
老後破産になってしまう人の共通点は、自立しない子供
The post 老後破綻回避にコロナショックは有効か? first appeared on ファイナンシャルフィールド.
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
50代で「貯蓄ゼロ」世帯の割合は? 定年まであと10年。会社員で「年収500万円」の世帯が、老後に向けてすべきことを解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月17日 2時10分
-
51歳、貯金840万円。教育費が負担で、住宅ローンも残り、老後の貯金ができません
オールアバウト / 2024年7月13日 20時5分
-
貯金1000万円の40歳おひとりさま男性「老後も生活水準を落としたくない…」貯金と年金だけで大丈夫?
MONEYPLUS / 2024年7月9日 7時30分
-
現在48歳で「年収600万円」です。退職金は「1500万円」ほどもらえるのですが、定年までにいくら貯蓄があれば専業主婦の妻と2人で生涯暮らしていけますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月9日 3時0分
-
60歳の専業主婦、夫が「仕事を辞めて年金をもらいたい」と言い出しました。退職金は「1000万円」もらえますが貯蓄がないため、あと「5年」は働いてほしいです。年収480万円ですが、年金額はどれだけの差になるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月30日 2時30分
ランキング
-
1「なだ万」、オノデラに売却=外食から撤退―アサヒGHD
時事通信 / 2024年7月25日 21時11分
-
2昨年度の郵便事業896億円の営業赤字、前年度の4倍超…封書やはがき減収・集配や運送委託費増
読売新聞 / 2024年7月25日 18時13分
-
3再送-NY外為市場=円が対ドルで一時2カ月半ぶり高値、米GDP受け伸び悩み
ロイター / 2024年7月26日 6時40分
-
4基礎的財政収支が25年度に黒字化、内閣府が試算提示へ…税収増で8000億円程度の黒字見込み
読売新聞 / 2024年7月25日 22時15分
-
5RIZIN「手越祐也の国歌独唱を批判」は失礼なのか 手越が辞退し、選手に批判が集まっているが…
東洋経済オンライン / 2024年7月24日 19時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)