標準的な不妊治療が保険適用に? 不妊治療の経済的負担の現実とは
ファイナンシャルフィールド / 2020年11月8日 11時0分
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菅内閣総理大臣が標準的な不妊治療の保険適用を掲げたことにより、現在厚生労働省が本格的な議論を行っています。もし保険適用が実現されれば、経済的な理由で不妊治療に苦しんでいるカップルや夫婦にとっていいニュースになりそうですね。
実際、不妊治療については長引けば長引くほどお金がかかり、精神的なプレッシャーも深刻になってしまうもの。ちまたの男女は、不妊治療についてどのように考えているのでしょうか。
また、実際に不妊治療を受けたことのある人たちの、経済的負担や仕事との両立などはどのようになっているのでしょうか。今回は、メルクバイオファーマ株式会社が発表した「第4回 妊活(R)および不妊治療に関する意識と実態調査」の結果(※)をひもといてみましょう。
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子どもを授かる理想年齢と実際の年齢にギャップあり
この調査は、全国の20代から40代男女3万人を対象にしたもの。まず、みなさんが考える理想の出産年齢を見てみます。
【子どもを授かる理想的な年齢】
1位:25~29歳 63.5%
2位:30~34歳 17.4%
3位:20~24歳 11.4%
4位:わからない 2.6%
5位:35~39歳 1.8%
圧倒的に、25歳から29歳で第1子を授かりたいと考えている人が多いということがわかります。子どもを授かる理想年齢として、30歳以上と答えた人の合計は、全体の19.8%でした。では、実際に第1子を授かった年齢は何歳代が多いのでしょうか。
【実際に第1子を授かった年齢】
1位:25~29歳 38.9%
2位:30~34歳 27.0%
3位:20~24歳 16.8%
4位:35~39歳 11.1%
5位:20歳未満 3.3%
理想的な年齢と、順位はほぼ同じでした。しかし、数字は結構違っているようです。実際に子どもを授かった年齢が30歳以上という人の合計は、全体の41.0%にも及ぶという結果に。女性の社会進出や晩婚化の影響なのか、理想と現実にギャップが生まれているということがわかりますね。
不妊治療経験者の割合と、その経済的負担
男女ともに年齢が上がるにつれ妊娠する能力は下がるとされているため、30歳以上で第1子を授かる人が4割以上いるという現実は、不妊治療に取り組まざるを得ない人たちが増えているということにもなりそうです。
経済的負担が大きい印象の多い不妊治療ですが、実際治療経験のある人はどれくらい支払っているのでしょうか。
【医療機関に支払った不妊治療費(総額)】
・約130.6万円
【不妊治療のための二次的出費*(総額)】
・約236.5万円
*二次的出費について負担と感じている人を対象
*二次的出費とは、サプリメントや漢方、気晴らしのための趣味や旅行、家事負担を減らすための出費
【不妊治療通院のための交通費・ガソリン費*(月額)】
・2万2244円
*交通費・ガソリン費を負担と感じている人を対象
もちろん、治療を始めて程なく授かれば、これより費用は安く抑えられるでしょう。しかし、すぐに授かれるという保証がないだけに、長引いたり高度不妊治療にステップアップしたりすれば、これ以上費用がかかってしまうことも。
医療費よりも二次的出費のほうが100万円ほど高くなっているという事実も、不妊治療という性質のデリケートさを裏付けているかのようです。さて、不妊治療の経験者のみなさんは、結果的に不妊治療にいくらであればかけてもいいと考えているのでしょうか。
【不妊治療にかけてもいい費用の総額】
・約150.4万円
なんと、医療機関に支払った治療費プラス20万程度という結果に。二次的出費や交通費などを考えると優にオーバーしてしまうため、やはり不妊治療の経済的負担はかなり大きくのしかかっているといえるのではないでしょうか。
不妊治療と仕事の両立の難しさ
最後に、不妊治療に対する、経済面以外での負担について見てみましょう。
【不妊治療に関して経済的なもの以外で負担に感じること(複数回答)】
1位:病院での待ち時間が長い 42.7%
2位:通院回数が多い 42.3%
3位:体調や体力など身体的な負担 35.3%
4位:仕事との両立 35.0%
5位:パートナーとのコミュニケーション 32.3%
女性なら誰しも経験があるといえるのが、レディースクリニックの待ち時間の長さ。予約制にもかかわらず、1時間以上待つという経験をした人も少なくないのでは?不妊治療に限らず、病院でいつ呼ばれるかもわからず待ち続けるというのは、ストレス以外の何物でもありませんよね。
そこへきて、通院回数が多かったり、場合によっては仕事を休んだり早退したりしなければならないとなると、経済面以外での負担もぐっと大きくなってしまいます。同調査によると、不妊治療経験者の約4人に1人は、週1回以上、有給休暇を取得して通院しているという事実も明らかになっています。
治療との兼ね合いで残業ができなかったり欠勤扱いになったり、通院しやすい部署への異動や転職をしたりすることで収入が減ったという人も。その平均金額は、なんと108万円減とのことです。
さらに、不妊治療の期間が1年以上に及んでいる人の割合を見ると、47.6%という大きな数字が。不妊治療経験者のおよそ半数は1年以上通院を続けており、なかには有給休暇を使って通院したり、通院との兼ね合いで収入が減ったりする人もいるという事実は、見過ごせないシビアな現実といえそうです。
標準的な不妊治療が保険適用になることで、経済的な負担はどれくらい減ることになるのでしょうか。続報を期待したいですね。
[出典]
※メルクバイオファーマ株式会社「第4回 妊活(R)および不妊治療に関する意識と実態調査」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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