老後資金の考え方って?前編 2000万円必要というわけではない?
ファイナンシャルフィールド / 2020年11月12日 8時30分
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2019年に話題となった「老後2000万円問題」は、まだ記憶に新しいと思います。あの騒動で人々は確実に「『老後資金』は自分で蓄えなくてはいけない」という意識ができたと思います。
しかし「勘違い」しているところが多々あるのが実情です。では、いったいどのように考え、どのように行動したら良いのか、一緒に見ていきましょう。
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「老後2000万円問題」から学ぶ『老後資産』の課題
『老後資金』とは、一般的に現役終了後の、生活費・娯楽費・医療費などを含めた「生きていくために必要な経費」のことです。これまでの日本では、この資金の原資は「公的年金」と「預貯金」が主なものでした。
しかし、一部の「お金持ち」といわれる人たちは、不動産収入・経営者・利権者・投資などで、資産形成をしていました。そして、生まれたのが「格差」です。
この20年余り、欧米では「資産運用」が定着しました。その結果個人資産が3倍強も増えたのです。しかし、日本人はどうでしょう。統計的には、1.5倍増えたといいますが、中心値の人々の資産は目減りしていると思います。
預金比率の高い日本では、金利の低下により、預金では資産は増えなくなっています。また、賞与などの低下や年金額の増加で、毎月給与手取りギリギリの生活をしている人も多いと思います。
あの「老後2000万円問題」の報告書のベースには、あるモデルケースの夫婦を基本に試算したところ、「老後2000万円足りなそうだよ」という結果がでたレポートです。
「2000万円足りないよ」とか「2000万円貯めなさい」というメッセージではありません。簡単に伝えますと「足りない人もいれば、足りる人もいる。人それぞれだから、調べてね」という内容なのです。
考え方(1):平均寿命の変化
『老後資金』の計算方法は以下のとおりです。
■老後1年間の必要経費 × 寿命 + 臨時支出=老後の必要経費総額
上記で予測が立てづらいのが「寿命」です。これは、神のみぞ知る世界のことなのですが、傾向を知ることで予測を立てるしかありません。令和2年度に発表になった、平均寿命は以下のとおりです(厚生労働省:簡易生命表)。
男性:81.41歳
女性:87.45歳
男女ともに、過去最高を更新しました。平均寿命とは、0歳児の平均余命のことで数学的な分析を経て出した数値です。老後を考えるに、この平均寿命だけでは役に立ちません。『老後資金』を考えるときに利用していただきたいのが「人が一番多く亡くなる年齢」です。
今まで男性1位は87歳でした。しかし今年は、88歳と1歳延びました。女性に至っては、90~95歳までに亡くなる確率が極めて高い・・ということになります。
また、令和2年9月15日「老人の日」に厚生労働省が発表したデータでは、100歳以上の人口が初めて8万人を超えて、そのうち88%が女性でした。つまり、女性のほうが、人生の経費は増加傾向にありということです。
考え方(2):預金金利の変化
平成の初め頃、セレブの間では「死ぬときは1億円の預金を残して死ぬのが目標。金利6%で年間600万円の利息と年金があれば、妻は死ぬまでぜいたくな暮らしができるから」と、語り継がれていたそうです。
1990年前後、定期預金の金利は6%前後ありました。しかし今は、空前の低金利時代。メガバンクの大口定期預金に1億円預けていても、金利は0.002%で年2000円。これでは、増やすことはできません。
仮に2000万円預金があったと仮定して、92歳まで生きた場合を想定して考えてみましょう。
考え方(3):ケーススタディで考えてみる
今回は、下記を想定してみましょう。
<想定>
年金受給額:夫婦で22万円
月間経費 :一家で月平均30万円
預 金 :2000万円
寿 命 :夫88歳・妻92歳
年 齢 :同じ年
上記を見てわかるように、年金受給額22万円 – 月間平均経費30万円=▲8万円で、毎月8万円不足するのがわかります。1年間で不足する金額は96万円です。現在の預金金利を想定すると、1年間に400円程度の金利なので、金利で増えることは考えないとしましょう。
その際、預金原資2000万円の寿命は、20年間(余り80万円)となります。20年後の夫婦の年齢は85歳。夫の想定寿命はあと3年間、妻の想定寿命はあと7年間あるのです。この夫婦の場合、85歳で「老後破綻」の可能性がある! という考えになります。
まず、大切なことは「自分の場合はどうしたら良いのか」ということを考えることです。人の事例を読み「自分の場合はどうなるのか」ということを考えてみてください。
では、この夫婦が「老後破綻」を回避するにはどうしたら良いのでしょうか? 後編では、『老後資金』の作り方についてお伝えします。
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
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