フリーランスの節税対策としての「法人成り」メリットや必要な手続きって?
ファイナンシャルフィールド / 2020年11月17日 11時0分
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人生100年時代を迎え、長く働くことが課題となっています。自分らしい働き方を模索する中で、起業に踏み切った人も増えています。「事業は小さく始めて大きく育てる」と言われていますが、個人事業主から法人化する「法人成り」について考えます。
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節税対策としての「法人成り」
Sさんは会社を辞めてフリーランスになり、事業を順調にスタートさせました。税金について税理士に問い合わせた際、将来収入が増えた場合の節税対策についてアドバイスを求めたところ、「法人成り」が有効だと提案されたそうです。「法人成り」とは個人事業を法人化することです。
個人事業主は所得税を納税しますが、法人(株式会社・合同会社)になると、それが法人税になります。所得税はご存じのとおり累進課税ですので、課税所得金額に応じて税率は5~45%で、所得が増えると税率が段階的に上がっていきます。
それに対して資本金1億円以下の法人の場合の法人税は、所得金額が800万円までは15%、800万円超の部分は23.2%です。このように所得税と法人税の税率には違いがありますので「ある程度の所得に達したら法人化することが節税につながる」というわけです。“ある程度”とはいくらなのか気になります。
税理士から「売上から費用を引いた金額が600万円くらいまでなら個人事業主のほうが税金は安いと思う」とのことです。もろもろの条件によって変わってはきますが、ひとつ金額の目安になりそうです。
法人化すると、事業主は役員報酬という形でお給料を受け取ります。給与所得となると給与所得控除が適用され、青色申告とは所得税の控除額も変わってきます。役員報酬をいくらに設定するのかなど、税理士などの専門家に相談して精査すると良いと思います。
個人と違って法人の場合は、赤字になっても住民税の均等割がかかります。所在地によって税額は変わりますが6万円程度かかることにも注意が必要です。
法人化することで信用力アップ
もちろん、法人化によるメリットは節税効果だけではありません。むしろ法人化を希望する第一の理由は、社会的な信用度が大きくなることだと思います。
企業によっては取引先を法人に限定している場合もありますし、大型プロジェクトなどは個人では受注できないことも多いです。「法人化できていれば…」となれば、せっかくのチャンスをつかむ機会を逃すことになりかねません。
事業拡大が順調に進むと人材も必要になりますが、会社が組織としてしっかり整っていると求人もしやすくなります。金融機関からの融資など、資金調達にも有利に働きます。これらが相乗効果を生むことが期待できます。
「法人成り」に必要な手続き
このようにメリットがある法人化ですが、簡単にできるわけではありません。法人設立には約款の作成や資本金の振込、登記申請などいくつもの手続きがあります。
厚生年金保険や健康保険などの社会保険の加入も必須となります。必要な書類を期限までに提出するなど、計画的に進めるためには、社会保険労務士などの専門家に依頼することも多いです。
設立時に費用がかかることはもちろんですが、設立後も税務や会計書類、財務諸表などを作成するためには、税理士などの専門家に業務を依頼することを考えなければなりません。その報酬額も予算に算入する必要があります。社会保険料や専門家への報酬額、法人住民税の均等割額などは、事業利益の有無に関わらず支払うことになります。
「法人成り」の時期をどうするか? これは事業の内容や形態、規模などの条件によっても変わります。法人化した場合は、将来にわたり法人をどうしたいのか、事業承継などの問題も考慮しなければなりません。メリットは魅力的ではありますが、慎重に進めることが肝要です。
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
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