パワハラ防止法が強化、どうなるの?どんな言動がパワハラにあたる?
ファイナンシャルフィールド / 2020年11月17日 12時0分
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2020年6月より職場におけるハラスメントの防止対策が強化され、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。パワハラとは、立場的に優位に立つ者の言動の中で、業務上必要な範囲を超えたものを指します。
近年、パワハラに対する社会の目がいっそう厳しくなっています。今までパワハラを受けているのではと思いつつも、我慢しながら働いていた人に、法改正により無意識にあるいは悪意的になされてきたパワハラが減ると期待されています。
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パワーハラスメントとは?
職場における「パワーハラスメント」とは、次の3つの要素をすべて満たすものとされています。
(1)優越的な関係を背景とした言動
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
(3)労働者の就業環境が害されるもの
ただし、客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、該当しません。また対象の労働者は正社員だけではなく、契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど、事業主が雇用するすべての労働者をいいます。
パワハラ防止法とは?
パワハラ防止法の正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(略称:労働施策総合推進法)です。大企業2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日から義務化されます。
パワハラ防止法では、職場におけるパワーハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。さらに事業主に相談したなどを理由に、例えば給与を減額する、昇給や昇進を遅らすなど不利益となる扱いも禁止されています。
事業主は職場環境配慮義務があるため、パワハラを含む各種ハラスメントを防止するための環境を整え、ハラスメント事案が発生した際には速やかに対処する必要があります。法改正に伴い、事業主が職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置が次のとおり記されています。
(1)事業主の職場におけるパワハラに関する方針等を就業規則等に明確化し、労働者への周知、啓発を行うこと
(2)相談窓口を定め労働者に周知し、担当者が相談に応じ、適切な対策を講じるために必要な体制を整備すること
(3)職場におけるパワハラの相談を受けた場合、事実関係の迅速かつ正確な確認と適正な対処を行うこと
そのほかに、プライバシーの保護のために必要な措置を講じることや、パワハラの相談したことを理由として、労働者の解雇や不利益な取り扱いをしないことなどが事業主に義務化されます。
どんなことがパワハラになる? 法で定められたパワハラ6類型
職場におけるパワーハラスメントの状況は多様ですが、代表的な言動の類型としては、以下のものがあります。ただし、この6類型だけがパワハラにあたるわけではありません。個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ることであり、これらの例は限定列挙ではありません。
典型的なパワハラの6類型を見てみましょう。
1 身体的な攻撃(暴行・傷害)…殴る蹴る、相手に物を投げつけるなど。
2 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)…人格を否定する暴言をはく、他の労働者の面前で大声での威圧的な叱責を繰り返し行う、罵倒する、長時間にわたって執拗に非難するなど。
3 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)…長期間にわたり別室に隔離する、1人の労働者に対して同僚が集団で無視をする、他の労働者との接触や協力を禁止するなど。
4 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)…管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる、嫌がらせのため仕事を与えないなど。
5 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)…長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる、終業間際に大量の仕事を押し付けるなど。
6 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)……労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする、本人の了解を得ずに個人情報を他の労働者へ暴露するなど。
まとめ
ハラスメント(嫌がらせ)は他者に不利益を与えたり、不愉快にさせることを指し、発言や行動によって、身体的なものと精神的なものの両方が含まれます。
・会社や労働組合に相談窓口がない…。
・相談したけれども取り合ってくれなかった…。
・会社に相談すると不利益がありそうでなかなか相談できない…。
このような時は外部の相談窓口もあります。(厚生労働省ホームページのQ&Aより)
特にコロナ禍において、パワハラを受けていながらも転職が難しく、生活(お金)のために我慢して働いている人もいらっしゃるかもしれません。
ハラスメントは受け止め方には個人差があり、ハラスメントにあたるか否かについては、ケースバイケースで判断されることとなります。
そのため、無意識のうちに行為者になってしまうこともあります。日頃から職場内でのコミュニケーションや研修などを通して、パワハラ防止のための環境作りをお勧めします。さらに職場内だけでなく、取引先や顧客が行為者や被害者になる場合があることにも留意しましょう。
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
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