日本における厚生年金の加入条件とは? 法改正でどう変わったのか解説
ファイナンシャルフィールド / 2020年11月21日 3時0分

2020年5月29日年金改革法が成立しました。「自分が老後を迎えたときに年金はどのくらいもらえるの?」と不安を感じている方もいるでしょう。少子高齢化が進み、働き方も多様化している現代の社会の中で、新法案が従来の法律と比較してどの点が変更となったのか解説します。
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日本の厚生年金制度の仕組み
日本の厚生年金は「二階建て」の仕組みです。一階部分は、日本に在住の20歳以上60歳未満の方全てが加入する基礎年金の「国民年金」。二階部分は、会社員や公務員が加入する「厚生年金」です。
加入する年金制度は働き方や職業によって異なります。第一号被保険者は自営業者や学生などで国民年金、第二号被保険者は会社員や公務員で国民年金と厚生年金、第三号被保険者は専業主婦などで国民年金です。
従来の厚生年金の加入条件
従来は、パートやアルバイトなどの非正規雇用者は、1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が同事業所の一般社員の4分の3以上である場合、厚生年金の加入対象でした。
4分の3未満であっても、次の5つの条件を満たしていれば加入の対象でした。
- ★1.週20時間以上勤務している
- ★2.雇用期間が1年以上見込まれる
- ★3.常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めている
- ★4.賃金月額が月8.8万円以上(年収106万円以上)である
- ★5.学生ではない
2020年5月に年金改革法案が成立! 変更点を解説
今年の5月に年金改革法が成立し6月に公布されました。柱となるのは、厚生年金の適用拡大し、多様化する働き方に対応していくことです。加速していく少子高齢化社会の中で、年金制度を維持していくために盛り込まれた変更点もあわせて解説します。
被用者保険の適用拡大
厚生年金の加入要件の中に、「従業員501人以上の企業」とありましたが、新法によって2022年10月には「101人以上」、2024年10月には「51人以上」と段階的に引き下げられます。パートなどの非正規雇用者が将来受け取る年金額の底上げ、年金制度を支えていく人々を増やし安定を図るという目的があります。
公的年金、私的年金の受け取り開始時期
年金の受け取り開始時期は、従来は基本的に65歳で、60歳から70歳の間で選べるものでした。この上限が、75歳に引き上げられました。「在職老齢年金制度」の見直しも行われ、60歳から64歳の減額基準が「月収28万円超」から「月収47万円超」となりました。この変更により、積極的な就労が期待されています。
雇用期間1年以上の条件撤廃
今回の改定により、従来の条件にあった「雇用期間が1年以上見込まれること」が撤廃されることとなりました。したがって、パートやアルバイトの場合、契約時点で他の条件とともに労働時間週20時間・月収8.8万円の条件を満たせば加入の対象となります。
今後は非正規雇用者も厚生年金への加入がお得!
今後、パートやアルバイト、短時間労働者で厚生年金に加入できる方はどんどん増えていくでしょう。とはいっても、「手取りが減ってしまうので不安」など心配な面もありますよね。「あと少し働く時間を長くすれば、厚生年金に加入できるけれど……」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
ここでは、厚生年金に加入することでどのようなメリットがあるのかを解説します。
●保障内容が充実している
厚生年金加入とともに健康保険にも加入します。社会保険の健康保険には、国民健康保険にはない保障があります。
病気やけがで働くことができない場合に「傷病手当金」という制度が利用できます。「業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること」などの条件を満たすと、一定の期間収入の3分の2が保障される制度です。
障害者になった場合の保障内容も、国民健康保険より充実しています。
●仕事への意欲が増す
厚生年金加入により保険料を支払うことになるので、手取りは減ります。しかし、厚生年金保険料は会社との折半です。目の前の手取り額は減りますが、将来的に受け取る年金が増えるのはメリットといえるでしょう。
公的年金の支給は生涯続きます。老後に安定した生活を送ることを目標として、より意欲的に働こうとする方も多いようです。
日本の法改正に着目しながら、自分に合った働き方を
厚生年金加入の法改正が行われ、これからも時代に合わせて変化していくことは、働き方や生き方を考えるいい機会となるでしょう。今後の動向にも着目し、自分に合った働き方を考えていきましょう。
[出典]
厚生労働省「国民年金の未加入・未納対策」
厚生労働省保険局「被用者保険の適用拡大について」(2019年12月25日)
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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