終身保険はその用途に応じて選択しましょう
ファイナンシャルフィールド / 2020年12月6日 1時30分
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私たちが死亡保障のある保険に加入したいと思ったとき、定期保険と終身保険が思い浮かびます。定期保険とは死亡保障に特化した保険で、働き手に万が一のことがあった場合、死亡保険金が支払われます。
これに対して終身保険は、死亡保障だけではなく、貯蓄機能も兼ね備えています。
名前のとおり、いったん契約したら死亡するまで保障が続き、死亡保険金が必ず支払われるだけでなく、保障期間中は保険会社が契約者の払い込んだ保険料を運用するので、中途解約しても支払った保険料より大きい解約返戻金が戻ってくることがあります。
この記事では、終身保険の使い道について解説したいと思います。
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終身保険の使い道
冒頭で説明したように、終身保険には死亡保障に加えて貯蓄機能が付いており、それを利用した複数の使い道があります。具体的には次の用途が挙げられます。
・遺族に資産を残す
・資産運用をする
・相続税の節税対策
では、それぞれの用途について説明していきたいと思います。
遺族に資産を残す
これは終身保険の死亡保障機能に関連した使い道です。
同じ死亡保障保険である定期保険が、主に一家の働き手に万が一のことが起きた場合の遺族の生活費の確保が目的であるため、多くの場合は数千万円の保険金額になるのに対し、終身保険の場合は自分自身の葬儀費用を確保したり、遺族にいくらかの資産を残すために加入するので、数百万円台の保険金額になるのが一般的です。
被保険者が死亡するまで保障が続くため、葬儀費用など死亡関連費用の確保に使えるのが終身保険の特徴といえます。
加入目的 | 保障期間 | 死亡保障金額 (一般的なレベル) |
|
---|---|---|---|
定期保険 | 被保険者(働き手)に万が一のことがあった場合の遺族の生活費の確保 | 働き手の年齢に応じた一定の期間(10年、20年など、通常収入のある期間を対象にして保険をかける) | 数千万円程度 |
終身保険 | 被保険者の葬儀費用など、死亡に関連する費用の確保および遺族への資産の相続 | 被保険者が死亡するまでの期間 | 数百万円程度 |
※筆者作成
資産運用をする
終身保険には貯蓄機能があります。貯蓄機能とは、保険会社が契約者から預かった保険料を運用して増やす機能です。貯蓄機能を利用した保険には終身保険以外にも、学資保険、個人年金保険などがあります。いずれも契約者から預かった保険料を増やして、将来の教育資金や老後資金を確保することを目的としています。
また、低解約返戻金保険といって、加入から10年、20年程度は中途解約した場合の解約返戻金を低く抑えて、10年後、20年後に解約返戻金を高くする方式のものがあります。契約者はその時点で解約することで運用益を手にすることができます。
ただし、最近の超低金利によってどの保険も運用益が減少しており、銀行預金の金利を少し上回る程度の運用益しか期待できない状態になっています。
最近の状況から、保険による資産運用に大きなメリットは期待できませんが、運用益の約20%が課税対象となる株式・投資信託・銀行預金と比べれば保険商品には以下の税制優遇があり、今後、金利が高くなったときにはメリットが大きくなることに注目しておくべきだと思います。
1.保険料が生命保険料控除の対象になり、税金が還付または減額されること
2.満期保険金、解約返戻金を保険料支払者である契約者が受け取る形にすると一時所得として特別控除の対象となり、年間50万円までの運用益であれば非課税となること
相続税の節税対策
終身保険を活用することで、相続税の節税ができます。これは、法定相続人1人当たり生命保険金500万円が非課税になるというメリットを生かして、現金や株式ではなく、生命保険金として相続することで節税をしようというものです。
同じ死亡保険でも定期保険の場合は保障期間が限定されているので、相続対策には使えません。終身保険は被保険者が死亡するまで保障が続き、必ず死亡保険金が支払われるので、相続税の節税対策に使えることになります。
どのくらいの節税効果が期待できるかについて、以下の契約条件を例に簡単に説明してみたいと思います。
保険の種類:終身保険
契約者(保険料支払者):本人(被相続人)
被保険者:本人(被相続人)
保険金受取人:子ども2人(法定相続人)
死亡保険金:1000万円
生命保険金の非課税枠合計
500万円×2人=1000万円
死亡保険金のうち
非課税部分:1000万円
課税部分:なし
現金で残した場合は1000万円全てが相続税の課税対象になりますが、終身保険を使えば保険金1000万円が非課税になります。
仮に相続税率を10%として計算すると、
1000万円×10%=100万円
となり、ごくごく大ざっぱに計算して節税メリットは100万円ということになります。
実際の相続税の計算はもう少し複雑ですが、基本的な骨子としては、ここで説明したことで変わりません。節税のイメージをつかむには上記の説明で十分だと思います。
まとめ
終身保険には、いくつかの使い道があることをご理解いただけたでしょうか。目的に応じて、契約者にとって有利な保険は変わってきます。保険への加入を検討する場合は、まずご自分のニーズを見極めた上で、目的と用途に合った中から最も有利な保険を選択されることをお勧めします。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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