所得税が還付されるかも? 会社員でも「確定申告した方が良い人」
ファイナンシャルフィールド / 2020年12月25日 23時50分
給与所得者である会社員のほとんどの方は、年末調整によって会社が正しい所得税の金額を算定してくれるため、それ以上の煩わしい手続きは必要ありません。
しかし、会社員の中にも給与収入が2000万円超の方や、給与のほかに20万円超の収入がある方など、いわゆる「確定申告が必要となる人」がいます。
ここではいったん年末調整で精算した所得税について、確定申告することで税金の還付を受けられるかもしれない人、いわゆる「確定申告した方が良い人」についてまとめてみたいと思います。
所得から控除できる「所得控除」
皆さんにもおなじみの所得控除は、以下のとおり15種類あります。所得税の税率を掛ける前に所得金額から一定額を控除できるわけですから、適用すればするほど節税につながる効果があります。
所得控除は、大きくは「人的控除」と「物的控除」に分かれます。人的控除とは、納税者(会社員)本人やその家族の年齢、所得、障害などの状況に応じて適用される控除です。物的控除とは、一定の社会政策に基づき控除できるものと捉えられます。
【人的控除】(8種類)
基礎控除(2020年分から最高48万円)
配偶者控除
配偶者特別控除
扶養控除
障害者控除
寡婦控除
ひとり親控除(2020年分から創設)
勤労学生控除
【物的控除】(7種類)
社会保険料控除
生命保険料控除
地震保険料控除
小規模企業共済等掛金控除
医療費控除
雑損控除
寄附金控除
確定申告しないと受けられない所得控除
これらの15種類の所得控除のほとんどが、年末調整で会社に必要な書類などを提出することで適用できるようになっています。皆さんも毎年やっているものも多いでしょう。
この中で、確定申告しないと適用できない所得控除は、「医療費控除」「雑損控除」「寄附金控除」の3種類です。つまり、会社員でもこの3つを適用したい、適用できる場合には確定申告が必要となります。自ら確定申告することで節税につながる(税金が還付される)、いわゆる「確定申告をした方が良い人」ということです。
【確定申告しないと適用できない所得控除】
1.医療費控除
納税者本人、または生計を一にする配偶者やその他の親族の1年間に支払った医療費について、10万円を超えた部分(総所得金額が200万円未満であれば総所得金額×5%)が控除されます。特例であるセルフメディケーション税制とは、いずれかの選択適用となります。
2.雑損控除
納税者本人、または生計を一にする配偶者やその他の親族が保有する住宅、家財、現金などについて、災害や盗難などによって損害が生じた場合に適用されます。
3.寄附金控除
国や地方公共団体などに特定寄附金を支払った場合に適用できます。ふるさと納税を利用した場合には確定申告する必要がありますが、年間の寄付先が5自治体までであれば、確定申告しなくても寄附金控除が受けられるワンストップ特例制度があります。
その他に会社員が注意すること
住宅ローンを利用して一定の要件を満たす住宅を取得したり、増改築した場合には、住宅ローン控除を適用することができます。住宅ローン控除は、これまで説明してきた所得控除とは違い、計算された所得税額から直接控除する税額控除の1つです。
住宅ローン控除を会社員が利用する場合には、適用初年度のみ確定申告が必要となります。2年目以降、確定申告は不要で、年末調整で控除できるようになります。
その年の途中で会社を退職して、年末調整を受けることなく、その後に就職していない人も「確定申告した方が良い人」に該当します。
会社員のときに給与や賞与から源泉徴収されていた所得税などは、年末調整で所得控除などを適用しないと多くの場合は税金の払い過ぎの状態となっています。源泉徴収で払い過ぎた税金を取り戻すためには確定申告する必要があります。
さらに、株式や投資信託、債券などの譲渡益や利子所得、配当所得について、申告分離課税や総合課税を適用する場合にも確定申告が必要となります。
まとめ
以上、会社員でも「確定申告した方が良い人」について簡単に見てきました。このような方々が自ら確定申告を行うか否かは、それぞれ本人の意思に任されています。確定申告を煩わしい、面倒だと思えば、払い過ぎている税金や還付されるべき税金はそのままということになります。
確定申告書の作成にはさまざまな方法がありますが、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を使えば比較的簡単に作成できますし、e-Tax(国税電子申告・納税システム)により自宅のパソコンやスマホからいつでも電子申告することができます。ぜひ、煩わしいと思わずチャレンジしてみましょう。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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