子ども1人当たり月5000円の児童手当特例給付が廃止! およそ8割のママは否定的な意見も
ファイナンシャルフィールド / 2021年1月17日 11時30分
昨年末、世帯のなかで最も収入が多い人の年収が1200万円以上の場合に児童手当を廃止することが発表され、働きながら子育てをしている世代に衝撃が走りました(※1)。
児童手当制度は、中学生以下の子ども1人につき決められた額が毎月支給されるというもの。3歳未満は一律1万5000円、3歳以上小学校修了前は1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律1万円と、決して少なくない額が支給されるため、子育てをしている家庭にとっては非常に頼りになる制度といえます(※2)。
ただし、この児童手当制度には所得制限限度額というものがあります。これは、例えば夫が妻と子ども1人を扶養している場合、夫の収入額の目安が約917万円を超えてしまうと、法律の附則に基づく特例給付として子ども1人当たり月額一律5000円が支給されるという仕組み。
要するに、定められた以上の所得がある家庭の場合は、児童手当も少なくなるということです。
今回物議を醸しているのは、この特例給付の部分。養育者が年収1200万円を超えた場合、上記のようにただでさえ縮小されている児童手当の特例給付が、まったくのゼロになるということになったのです。
さて、この事態について、世の中の子育て世代はどのように考えているのでしょうか。株式会社カラダノートが発表した「特例給付の廃止検討について緊急アンケート」の結果(※3)を見てみましょう。
児童手当の特例給付の廃止については、否定的な意見がほとんど
この調査は、株式会社カラダノートが運営するママ向けメディア「ママびより」のメルマガ登録者を対象に行われたもの。まずは、児童手当の特例給付の廃止について、率直な気持ちを見てみます。
【廃止検討のニュースに対するご自身の気持ちに最も近いものを教えてください】
・税金ばかり払って不平等に感じる 64.4%
・金銭的な不安を感じる 16.8%
・待機児童解消が実現するなら納得する 7.4%
・ニュースを知らなかった 5.4%
特例給付を廃止して浮いた財源は、待機児童解消にあてると政府は発表しています。そのことから、7.4%の人は「待機児童解消が実現するなら納得する」という条件付きの肯定的な回答をしています。
ただ、その他大多数の人たちは否定的な回答に。所得が多くなれば納める税金も多くなるため、「税金ばかり払って児童手当はなくなるなんて、不平等」と感じるのも当然といえるのかもしれません。
また、特例給付を頼りにしている家庭にとっては、それがなくなると金銭的な不安に直結してしまうということもわかります。
その他、自由回答として、「税金の使い道が不透明」「保育士の方が報われるなら納得出来るが、果たしてその為に財源が使われるかは疑問」「どのような対策を行うのか、明確ではない」といった、本当に待機児童が解消されるのか、税金の使い道への不信感を持つ人も少なくない模様。
たしかに政策が漠然としているうちは、疑いの目を向けてしまうのも仕方ないといえそうです。
もし判断基準が世帯年収になったら……仕事を辞める決断をするママも?
児童手当は、世帯年収ではなく世帯のなかで最も収入が多い人を基準にしています。今回は見送られたものの、政府はこの基準を夫婦合算にし、一定以上の世帯収入がある場合は特例給付を半額に、さらにそれ以上の世帯収入の場合はゼロにするという検討もしていました。
もし今後、判断基準が世帯年収になった場合、働くママたちは仕事をどうしていくのでしょうか。
この調査によると、特例給付が半額になってしまう可能性が高い世帯年収800万円以上の回答者からは、「夫婦どちらかは働かない方がいい」「共働きしていると保育料も高く支払っているのに、その上児童手当も減らされるのは納得できない。働かない方がいいのではと思った」「共働きフルタイムで生計を立てているが、政府は共働きフルタイムからショートタイム勤務にさせたいのか、と考える世帯も多数いるのでは」といった声があがっています。
特例給付をあきらめるのか、それとも収入をあきらめるのか、どちらが現実的なのかはじっくり考える必要がありそうですが、「税金まで納めてがんばっているのに給付金を減らされるなんて……」という思いが、働く子育て世代に不安と不信感を与えていることは間違いなさそうです。
特例給付の廃止で少子化がより加速する可能性も
子どもの数が多いほど、お金がかかるのは当然のこと。年収1200万円以上の特例給付が廃止されることにより、子どもを産み控える家庭も出てくるのでしょうか。
<現在>
・希望する 32%
・希望しない 13%
・わからない 25%
<改正案が決定した場合>
・希望する 12%
・希望しない 28%
・わからない 30%
この調査は、まだ特例給付廃止が決定していない時期に行われたもの。そのため、もし特例給付が本当に廃止されたら……という仮定の上での質問内容になっています。
現在は、2人目以降を希望する人は32%。ところが、特例給付が廃止されるとなると、2人目以降を希望する人は12%までガクっと落ちています。希望しないという明確な意志は13%から28%と、こちらも倍以上の変化が。
わからないという回答は5ポイントと微増しており、働く子育て世代の戸惑いが見て取れます。
具体的には、「収入が少ないので、支援のない中での子育ては不安(世帯年収300万)」「判断基準が見直され世帯年収になった場合、忙しく共働きして頑張っているのが馬鹿らしく感じる。実情的に子供を養っていくお金はない。(世帯年収600万)」「子どもにきちんと教育を受けさせることが出来るか不安だから。(世帯年収800万)」「税金をかなり払うため年収1000万もらっても3人育てるのは、本当に大変です。(世帯年収900万)」といった声があがっています。
不妊治療への支援や男性の家事・育児に関する啓発など、子どもを産むことに対する政策は進められているものの、このように特例給付が廃止されるという実情に、子どもを育てていく政策が追いついていないと感じる人も少なくないのかもしれません。
特例給付廃止は2022年10月支給分から適用される方針。まずは浮いた財源で待機児童解消が進み、子育て世代が安心して子どもを預けられるような状態になることに期待したいですね。
[出典]
※1:首相官邸「全世代型社会保障検討会議」
※2:内閣府「児童手当制度のご案内」
※3:株式会社カラダノート「特例給付の廃止検討について緊急アンケート」(株式会社 PR TIMES)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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