不倫相手を訴えたい。裁判に必要な金額と不倫慰謝料の相場は?
ファイナンシャルフィールド / 2021年1月28日 12時0分
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配偶者(夫あるいは妻)の不倫が原因で離婚となった場合、不倫相手を訴えるにはいったいいくらぐらいかかるのでしょうか。その費用の目安について、お伝えします。
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「不倫相手を訴える」というのは、不倫相手に対する慰謝料を請求する裁判を起こすことを意味します。請求する慰謝料の金額が140万円以下であれば簡易裁判所へ、140万円を超える請求であれば地方裁判所へ、裁判を起こせる仕組みとなっています。
不倫をした配偶者(夫あるいは妻)に慰謝料を請求する場合、離婚前であれば家庭裁判所へ夫婦関係調整調停(離婚調停)を申し立てて、その調停の中で慰謝料について請求していくことが通常ですが、不倫相手に対し慰謝料を請求する場合は上記いずれかの裁判所へ裁判を起こすこととなります(慰謝料請求調停を申し立てるという手段も考えられますが、この場合は簡易裁判所へ申し立てます)。
裁判にかかる費用
(1)裁判所へ納める費用
地方裁判所あるいは簡易裁判所へ裁判を起こすにあたっては、裁判所へ手数料を納める必要があり、その金額については「民事訴訟費用等に関する」法律で定められています。
手数料金額は訴える金額に応じて加算されていく方式(別表(※)をご覧ください)となっていて、例えば100万円の請求であれば1万円、200万円の請求であれば1万5000円が必要です。
この手数料は現金あるいは収入印紙によって納付することとなっており、一般的には裁判を起こす際に提出する「訴状」へその金額の収入印紙を貼り付ける方法にて納付します。
同時に、裁判所から切手(「予納郵券」と呼ばれます)をおおむね5000円程度(それぞれの裁判所によって多少金額が異なることがあります)を納めることも指示されます。
これは、裁判所から被告となる相手へ送付する郵便物等を送る送料として使われます。裁判を起こした人が提出する訴状は裁判所から被告へ送られるのですが、この時の郵送費用も上記予納郵券から捻出されます。
裁判を起こした後に郵送の回数が多くなり、切手が足りなくなった場合には、追加で裁判所へ切手を預けるように指示されることもあります。
以上のことから、例えば200万円の慰謝料請求をする場合は、約2万円を裁判所へ納めます。
(2)付随的な費用
不倫相手へ裁判を起こすのにあたって、通常は自分と配偶者が夫婦関係であったことを証明するために、「戸籍謄本」も裁判所へ提出することとなるはずです。これを役所等で取得するのに、1通450円が必要となり、その取得費用も発生します。
また、裁判所へ提出する書面の印刷代やその郵送料等が発生しまし、住んでいる場所等によっては裁判所へ行くのに交通費がかかることもあります。
(3)弁護士費用
以上で述べてきたことは、弁護士をつけずに自分自身で裁判を起こした場合も必ず発生する費用ですが、不倫相手への裁判について代理人弁護士へ依頼した場合、その弁護士費用も発生します。
この金額については、個々の弁護士によりまちまちとなり定型化できるものではありませんが、依頼をする当初に「着手金」として10万~30万円ほどかかることが多いでしょう。
弁護士によっては、あるいは案件によっては完全成功報酬制が取られ、着手金がかからないケースもあるかもしれません(その場合も、不倫相手から支払われた慰謝料の中から弁護士費用を支払わなければなりません)。
なお、不倫慰謝料のような「不法行為に基づく損害賠償請求」の裁判では、請求する金額の1割を弁護士費用相当として訴えに加えることが、実務慣行上認められています。
(4)忘れてはならない、証拠収集費用
以上は、不倫相手が不倫をしていた事実が証拠上明らかであることを前提としています。もしも、配偶者が不倫をしている疑いはあるもののその証拠がない場合、証拠を確保できなければ裁判を起こしても請求が通らないこととなってしまいます。
最近では、特にLINEのやり取り等が証拠となるケースも多いですが、何も目ぼしい証拠がない場合、探偵へ証拠収集を依頼することも考えられます。その場合は、探偵費用が50万~100万円ほどかかります。
不倫慰謝料の相場
上記のようなさまざまな費用がかかる一方で、不倫相手から支払ってもらえる慰謝料金額の相場についてですが、50万~200万円程度となることが一般的です。これを上回る金額となることは、なかなかありません。
人生を台無しにされたことに対する慰謝料としては安すぎる、と感じる方も多いのではないかと思いますが(筆者もよくクライアントから「安すぎる!」と驚かれます)、むしろ不倫の事実があった場合は慰謝料を請求できるだけまだマシと言ってもよいかもしれないです。
不倫に限らず、何か嫌な思いをさせられるとすぐに「慰謝料を請求したい」と言う方も多いのですが、日本の裁判では精神的損害に対する賠償すなわち慰謝料が認められるというのは大変に難しく、認められたとしてもごくわずかな金額となることも多々あります。
世間のイメージとは異なり、そうそう簡単に慰謝料という存在は認めないのが、日本の裁判所の実態なのです。
(※)裁判所「別表(民事訴訟費用等に関する法律別表第1(第3条,第4条関係))」
執筆者:佐々木達憲
京都市役所前法律事務所弁護士
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