アメリカが大量にドル資金を放出すると、私たちの暮らしや資産運用はどうなるか
ファイナンシャルフィールド / 2021年2月2日 22時10分
資産運用をする上で、金融政策の知識や情報は欠かせないものの1つといえるかもしれません。金融政策は金利だけでなく、為替にも影響を及ぼしますが、金融政策と為替について見ていきたいと思います。
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金融政策には、「金融引き締め」と「金融緩和」の2つがあります。端的にいうと、金融引き締めは市中に流れているお金を減らすこと、金融緩和は市中に流れるお金を増やすことです。
日銀などの中央銀行は、これらを通じて物価と雇用を安定させることが目的ですが、為替は輸出入といった貿易に関わる事柄であるため、私たちの行う日々の買い物に深く関わってきます。また、企業経営にとっては物価の変動は、直接仕入れなどの経費の変動を意味するため、為替は間接的に雇用にも影響を与えることになります。
金融緩和と私たちの暮らし
そこで、私たちが知っておく必要のあることは、金融政策が実施されると、為替はどうなり、暮らしはどうなるかです。コロナショック後の金融政策を例に取ると、比較的分かりやすいかもしれません。
2020年3月、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、株式市場は大きく下落しました。その後、マーケットは回復し、2021年1月現在、リーマンショック後の最高値を更新し続けています。
この理由は主として「大規模な金融緩和政策」ですが、つまり、中央銀行が大量のマネーを市中に流し込んでいるからです。お金の総量が増えると、お金の価値は下がります。お金の価値が下がるということは、その国の通貨が下がることを意味します。
例えば、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は、コロナショック後、史上空前の大規模な金融緩和政策を実施しています。大量のマネーを市中に流し込んでいることで、ドルの価値が下がり、ドル安局面が続いています。
ドル安は、他の通貨と相対的に比べた場合の表現ですが、例えば、日本円に対してドルが安いという場合、ドル安・円高といった表現をします。このようにドルが安くなるということは、相対的に日本円が高くなるということなので、日本国内に入ってくるモノの値段は安くなります。
要は、日米間の貿易で考えると、日本円の方が米ドルよりも購買力が高まるため、円高になると、より多くのモノを買える力が強くなり、安くモノが買えるようになるわけです。
その意味では、輸入企業にとっては、円高になることは歓迎すべきことといえるかもしれません。反面、輸出企業にとっては、日本で作られたモノはアメリカで作られたモノよりも高く売らざるを得なくなるため不利に働きます。
この意味では、輸出企業にとって円高は歓迎すべきことではないかもしれません。一方、私たちの家計にとっては、例えば、円高になると輸入物価が下がりやすくなるため、スーパーなどでの買い物でモノをより安く買うことができます。
逆に円安になると輸入物価は上がるので、買い物の値段も上がります。
金融緩和と資産運用
このように、金融政策は私たちの身近な実体経済に間接的な影響を及ぼしますが、貯蓄や資産運用などにはどのような影響を与えるのでしょうか。
今のように、アメリカが大規模な金融緩和政策を実施している場合、ドルマネーの総量が極端に増えるため、ドルの価値は下がります。ドル安はドルの人気が下がることを意味するため、ドルで運用することが敬遠され、金利は低下します。
この結果、ドルマネーがアメリカ国内から流出し、他の国の金融資産などに流れていきます。原則論としては、このようなお金の流れ方を軸に考える必要がありますが、実際のお金の流れはもっと入り組んでいます。
例えば、ドルが敬遠される、つまり、アメリカの金利が下がるわけですから、株式投資などでは企業経営の効率化が着目され、株式に割安感が出てきます。この結果、米国株が買われやすくなり、株高になるといった流れです。
まとめ
金融政策の影響について理解する場合、「金利」と「為替」がどうなるかがカギになります。
アメリカにおける大規模な金融緩和政策を題材に為替と私たちの暮らしがどうなるかをお伝えしましたが、特にマーケットでは他にもさまざまな変動要因があるため、一概にこうなるとは言いにくい側面もあります。
金融政策が金利と為替に影響を与え、その結果、他の要因も含めマーケットがどのように動くか。状況に応じて結果が異なるため、原則論を軸にしながら、その都度なぜそのように動いているのかを観察していくことが重要といえるかもしれません。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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