ステイホーム中に終活を考えよう。後編「お葬式のこと」
ファイナンシャルフィールド / 2021年2月4日 3時10分
「シュウカツ」と聞いて、「就職活動? 関係ないね」と人ごとだったシニアの方たちが、終活がブームとなった今では、即座に「終活!」と敏感に反応するようになりました。
具体的に準備をしていなくても、情報を入手しておくことは大切です。
お葬式も多種多様
私事ですが、数カ月前に叔母を亡くしました。コロナの影響で地方への移動が難しい時期でもあり、いとこが配慮して、訃報を知ったのは葬儀が終わってからのことでした。この数年の間にお葬式も変化しています。
訃報を受けても、「家族葬で」という理由で参列の機会は少なくなっています。家族葬や直葬など、以前は聞きなれなかった形式なので、簡単に葬儀の種類を整理してみます。
参列者は遺族・親族にとどまらず、友人や仕事関係者、近隣の住民など幅広い。
費用は人数などにもよるが、目安は100~200万円。
家族など身内中心で親しかった友人知人など、参列者は30名程度。
費用の目安は50~80万円。
参列者は20~30名程度。
費用の目安は40~70万円。
参列者は10名程度。
費用の目安は15~25万円。
費用は、会場やお花、物品などのグレードによって差がありますので、あくまでも目安としてください。亡くなった前後には葬儀以外にももろもろの費用が掛かります。
「迷惑を掛けたくないので、お葬式代くらいは自分で準備したい」という生命保険のCMは、シニアの心理を突いていると思います。
お葬式は残された家族にとっても重要な儀式
家族葬が増えた理由は、主に高齢化が要因と考えられます。父が他界した時、生前お世話になった友人知人の方たちに連絡しましたが、多くは高齢者です。
「この頃体調を崩していまして」「足が不自由で付き添いが必要なので」等々の理由で参列されない方がいらっしゃいました。ご近所ではない方に連絡をした結果、気を遣わせることになってしまいました。
残された家族にとっては、どの程度の範囲で連絡するのか悩ましいところです。
バブルの時代は喪主を務める長男などが現役世代でしたので、「○○部長のご尊父さまの葬儀」ということで、会社関係の参列者も多かったように記憶しています。当時会社員だった私も、何度か受付のお手伝いをしましたが、弔問客だけでなく供花や弔電などの整理も大変でした。
ご存じのとおり、約30年で寿命は随分延びました。それに伴い喪主世代も現役ではないことが多いので、お葬式も様変わりしました。「仕事の関係者や遠縁の人に気を遣うことなく家族で見送りたい」そのような思いも家族葬を選ぶ動機ではないでしょうか。
最近は葬儀を縮小し、別途「お別れの会」を開催する傾向もあります。呼ぶ側も呼ばれる側も、これなら事前に準備もできます。「お別れの会」というと、一部の有名人や会社の社長のイメージがありますが、一般的になりつつあるようです。
葬儀は突然訪れます。多くは病院などでみとった後、取り急ぎ葬儀の内容を決めなければなりません。「お花はどうしましょうか」と葬儀屋さんにたずねられた時、なぜか結婚式とダブりました。冠婚葬祭といいますが、時間をかけて決めた結婚式のようなことを短時間で決断するのはとてもつらいことです。
「故人の見送り方をゆっくりと考えられる」という意味で、お別れの会は良いアイデアです。葬儀の専門家の方から「葬儀はお別れとともに、新しいスタートでもあります」という言葉を聞きました。
残された家族にとって前を向くための儀式だとしたら、故人もうれしいのではないでしょうか。
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
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