これからインフレになるといわれていますが、どういうことでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2021年2月6日 0時30分
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新型コロナウイルス感染症に伴う経済の悪化を食い止めようと、多くの国で金融緩和政策が実施されています。
日本でもさまざまな経済支援策が実行されていますが、これらの目的は目下の経済を下支えし、将来の景気回復を狙ったものです。
そんな中、これからインフレになるといわれています。本当でしょうか。
景気が良くなるだろうと考えるから、物価が上がるだろうという予測
インフレ(インフレーション)とは、物価が上昇することです。
物価が上昇するためには、実際の景気の状況が良くなる、つまり、今のような景気の悪い状況から脱却し、回復に向かっていくことが前提になります。新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本では2021年1月8日に2回目の緊急事態宣言が発出されました。
これを受けて、2021年1‐3月期の実質GDP成長率が再び低下するだろうといわれていますが、一方で、ワクチンを接種する機会が増えると感染抑制につながるため、経済活動は徐々に元に戻るだろうと先行きの景気については必ずしも悲観的にはなっていないようです。
金融政策を見ると、大規模な金融緩和政策により市中に流れる資金量をかなり多く増やしていることから、金利の水準はほぼゼロ金利で維持できています。
また、財政出動においては、必ずしも十分な規模とは言いにくい面もありますが、金融緩和政策と財政政策の両輪で経済を回していこうという意図は受け取れます。
このような状況を見ると、近い将来、景気は回復し、金利は上昇、物価も上がるだろうと予測するのは至って当然のことのように思えます。
物価が上がるかどうかは、その国の事情によって違う
このようなことから、近い将来インフレになるだろうという予測がされていますが、日本の場合、アベノミクスによりデフレから脱却することを目指していたものの、2度の消費税率の引き上げや社会保障制度に対する不透明感からくる老後の生活不安も相まって、いまだにデフレから脱却できていない状況です。
日本の景気が長年良くならないのは、単に需要が不足している、つまり、お金を使うよりもお金を貯めようとする傾向が強くなっているからですが、これが日本社会の根底に流れていると仮定すると、そう簡単に物価が上がるとはいえないと考えることができます。
片や、アメリカの場合、新型コロナウイルス感染症に伴い経済は大きく減速しましたが、必ずしも日本と同じというわけではありません。
ワクチン接種の広がりや大規模な金融緩和政策、財政出動を見ると、日本よりも進んでいる印象を受けもしますし、その結果、金利が低下し、物価も下落、人々の暮らしを支える経済的な条件を整え、景気回復に本腰を入れようという意思を感じます。
日本とアメリカの最大の違いは、そもそもアメリカ経済はデフレ下にはないという点です。このため、適切に金融政策や財政政策を実施すると、行き渡ったお金がその分、直接経済を刺激し、比較的速いスピードで景気が回復していくだろうと考えられます。
しかし日本の場合、デフレという長年続く病が完治できていないため、金融政策や財政政策を適切に行っても期待どおりに景気を回復させることができないのが実情ではないでしょうか。
つまり、物価が上昇するかどうかは、それぞれの国の事情によって異なるというのが答えで、アメリカの場合はインフレに傾く可能性は高いといえますが、日本では消費性向を高めない限り、なかなか物価は上がらないだろうと考えるのが妥当といえるでしょう。
まとめ
私たちはつい、新型コロナウイルス感染症で景気が悪化したと考えてしまいがちですが、日本の場合、それ以前から景気はそれほど良くなってはいません。その理由は、人々の抱く増税予測と社会保障制度への不信感です。
本来、これらは政治が解決すべきことですが、高齢化と少子化という2つの大きな問題に直面しているため、今後もこのような流れはそれほど変わらず推移していく可能性が高いのではないでしょうか。
政治と経済は密接に結び付いているわけですが、このようなことを考えると、政治と私たちに身近な暮らしも密接に関係しているといえます。
物価が上がるかどうか、つまり、景気が良くなるかどうかは国の行う政治による影響が強いわけですが、裏を返すと、私たちの政治に対する意識も関係しています。
これからインフレになるかどうかは、つまるところ、政策次第で、その政策を決めるのは国民から選ばれた国会議員からなる政府で、その国会議員を選んでいるのは私たち国民です。
物価が上がるということは景気が良くなるということなので、国の政策が間違っているだろうと思うならば、自分にできる範囲でしっかりと声を上げていく。そんなことを気付かせてくれるのが、これからインフレになるかどうかという話なのかもしれません。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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