パート主婦ですが今さら加入しても遅いですか? 老齢厚生年金を受け取るための要件とは
ファイナンシャルフィールド / 2021年2月9日 12時10分
老後を考え、パートでも厚生年金に加入したいと思っている主婦の方が以前よりも多くなりました。そこで、パート勤めの主婦の方が厚生年金を受け取るための要件や、今から加入しても手遅れではないのか厚生年金の加入時期などについて解説していきます。
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パート勤務の主婦の方であっても、法定の要件を満たすことで厚生年金に加入することができます。基本的には、就業規則などで定められた一般社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3以上勤務することで加入対象となりますが、短時間勤務の方においても下記の条件を全て満たすことで厚生年金への加入が可能です。
・雇用期間が1年以上見込まれる
・賃金の月額が8.8万円以上である
・学生でない
・厚生年金の加入者が常時501人以上の勤務先であること(501人未満であっても労使合意に基づき申し出をした場合、この条件を満たすものとする)
厚生年金を受け取るための要件
厚生年金を受け取るための要件は大きく分けて2つあります。
老齢基礎年金の受給要件を満たしていること
厚生年金を受け取るための1つ目の要件は、老齢基礎年金の受給要件を満たしていることです。具体的には、国民年金の保険料納付期間および免除期間、そして合算期間(年金額に反映されないが受給資格期間としては加入される期間)が合計で10年以上ある65歳以上(一定の要件の下、60歳まで繰り下げ可能)の方です。
厚生年金に加入していると国民年金も同時に加入していることになるので、過去に厚生年金に加入している期間があればそれも合算して計算します。
厚生年金の加入期間が1ヶ月以上あること
老齢厚生年金は、1ヶ月以上の加入期間があれば老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができます。ただし、65歳未満の方が受け取る場合は1年以上の加入期間が必要になります。
厚生年金って今更パートで加入しても遅いのでは?
厚生年金の加入時期について、遅いということは基本的にはないと考えてよいでしょう。理由としては、厚生年金には1ヶ月でも加入していれば、ごくごくわずかな金額でもその分が年金に上乗せして支給されますし、厚生年金の加入期間中にけがなどで障害認定を受けた場合は障害厚生年金を受け取れるなど、手厚い保障を受けられるからです。
ただし保険料が発生することから、65歳など年金を受給できる目前の年齢で数ヶ月だけ加入するといったケースでは、加入するメリットは少ないでしょう。
パートの主婦が無理して厚生年金に加入する必要はない
厚生年金の加入時期に遅いということがないとはいえ、無理に加入する必要はありません。理由は保険料によって支出が増えることと、配偶者控除(配偶者特別控除)の適用が外れてしまう可能性があり、家計の負担が重くなる場合があるからです。
厚生年金と健康保険保険料が発生する
厚生年金の保険料は労使折半であるとはいえ、決して安い金額ではありません。最も保険料が低い標準報酬1等級であったとしても、月々負担する保険料は8052円(令和2年9月分)です。
さらに、厚生年金に加入する場合は健康保険についても夫の扶養から外れ、自分で加入することになります。厚生年金の標準報酬が1等級でも健康保険の保険料は約5130円です(40歳未満の方は介護保険料がかからないので4343円)。
家事をしながら生活費の足しにと限られた時間でパート勤務をしているところ、月の手取りが1万3000円ほど減ってしまうのは決して小さい負担とは言い切れないでしょう。
配偶者控除に影響する
パートでの年収が103万円を超えると配偶者控除の適用がなくなり、150万円を超えると夫が受けている配偶者特別控除の額が減っていき、夫の税負担も重くなります。なお、年収201万円を超えると配偶者特別控除が0になります。
妻の収入が増えても、その分、夫の負担が増えてしまうと家計全体の手取りが思うように増えないということにもなりかねません。
パートで働く主婦が無理して厚生年金に加入する必要はない
厚生年金は1ヶ月でも加入していれば、将来、国民年金に上乗せして年金を受け取ることができますし、加入期間中に支給要件に該当するけがなどがあれば障害厚生年金を受け取れます。
パートで働く主婦の方の厚生年金加入について、時期によっては遅くて意味がないということはありませんが、年齢が65歳目前など、場合によってはメリットが少ないこともあります。主婦の方が厚生年金に加入する場合、保険料が増えたり、夫の控除が減る可能性があることも念頭に置き、本当に加入するメリットがあるのか十分検討するようにしてください。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表
全国健康保険協会 令和2年9月分(10月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
日本年金機構 会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。
執筆者:柘植輝
行政書士
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