仮想通貨のレンディングサービスって?利息や税金はいくら?注意点は?
ファイナンシャルフィールド / 2021年2月19日 10時30分
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2020年から価格上昇を見せている仮想通貨。将来のさらなる値上がりを期待して長期保有されている人もいるのではないでしょうか。長期保有中に仮想通貨を貸し出すことで利息を得る方法があります。
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所有している仮想通貨を第三者に貸し出して、利息(取引所により貸借料もしくは利用料など呼び方が異なります)を得る仕組みとして提供されているサービスに「貸仮想通貨(レンディング)サービス」があります。
仮想通貨取引を扱っている取引所などでレンディングサービスが提供されていて、「貸暗号資産サービス」などサービスを扱っている会社によってはその名称も異なったりします。「レンディング(Lending)」とは「貸し出す」という意味です。
単に所有していても銀行預金のように利息の付かない仮想通貨(注)ですが、レンディングサービスを利用することで貸出数量と貸出期間に応じて、年数%の利息を得ることができます。
(注)仮想通貨によってはステーキングという仕組みにより、所有していることで報酬という形で配当のような収入を得られるものもあります。
貸仮想通貨でどのくらいの利息が得られるの?
仮想通貨のレンディングサービスで得られる利息は主に貸出期間と年率、貸出数量によって決まりますが、サービスを提供している取引所などによってサービス内容は異なります。
サービスの基本的な内容は以下の点で取引所ごとに異なります。
●対象仮想通貨
●貸出期間と年率
●最低貸出数量
●中途解約の可否
●募集期間
多くの仮想通貨を貸出対象としているところもあれば、ビットコインだけを対象としているところもあります。年率は貸出期間に応じて決めているところが多いですが、取引所によっては貸出数量に応じて年率が決定されるところもあります。
また、最低貸出数量は1万円相当額としているところもあれば、1BTC(ビットコイン)を最低貸出数量としているところもあります。2021年1月末時点のビットコイン価格は日本円で約350万円相当ですから、1BTCが最低貸出数量だと少々ハードルが高いかもしれません。貸し出された仮想通貨は貸出期間経過後に、貸し出した仮想通貨と同種類の仮想通貨で利息として支払われます。
では、ある取引所のサービス内容を基に、どのぐらいの利息が得られるのか計算してみます。条件は以下のようになっています。
貸出期間 | 14日間 | 30日間 | 90日間 | 180日間 | 365日間 |
---|---|---|---|---|---|
年率 | 1% | 2% | 3% | 4% | 5% |
■1BTCを90日間、3%で貸し出した場合
1BTC×3%÷365×90日間 = 0.00739726BTC
■1BTCを365日間、5%で貸し出した場合
1BTC×5%÷365×365日間 = 0.05BTC
2021年1月末時点の1BTCの日本円価格約350万円で計算すると、上記例で1BTCを365日間貸し出した場合は、17万5000円相当の利息がビットコインで支払われることになります。
貸仮想通貨で得られた利息の税金は?
貸仮想通貨で得られた利息には所得税がかかります。所得税を計算するときには所得は10種類の所得(給与所得や事業所得など)に分類して計算します。所得の種類の1つに「利子所得」があります。
貸仮想通貨の利息は一見、この利子所得に当てはまるように思えますが、国税庁によれば利子所得とは「預貯金及び公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得」と定義されています。そのため貸仮想通貨の利息は利子所得には該当せず、雑所得扱いになるようです。
雑所得としての扱いとなる貸仮想通貨の利息は、他の給与所得などと合算して総合課税されますので、どのくらいの税金がかかってくるかは他の所得によっても変わってきます。合算された所得が多ければ多いほど税率も上がり、その所得税の税率は課税される所得金額に応じて5%~45%となります。住民税はおよそ10%となります。
雑所得として扱われるため、税金の申告には確定申告が必要となります。ただし、例えば会社員で給与や退職金とは別に仮想通貨を含めた他の所得が20万円以下の場合は確定申告不要です。
貸仮想通貨での注意点
貸仮想通貨の利用時にはいくつか注意点もあります。
・貸出中の解約が原則できません。解約できる場合でも、利息の支払いが行われず解約手数料が取られるため損失が発生する可能性があります。
・仮想通貨の価格変動により、貸出開始時点より終了時点の価格が下落している可能性があります。仮想通貨は価格変動が大きいため、貸仮想通貨での利息の年率以上の価格下落率となる可能性が低くはありません。
・貸仮想通貨サービスを利用している取引所の破綻などにより、貸し出した仮想通貨が返還されないといった可能性があります。
・貸仮想通貨サービスで貸し出された仮想通貨は預金保険の対象でもありません。
・貸出を希望しても必ずしも貸出が実施できるとは限りません。取引所によっては貸出の申請をしても承認までに時間がかかることもあるようです。
まとめ
過去、個人の取引が中心だった仮想通貨も最近では企業や大口投資家の参入が増えてきて、その将来性にさらに期待が持たれているようです。
価格のさらなる上昇を期待して長期保有している人にとっては、保有中の仮想通貨を増やす手段のひとつとして貸仮想通貨サービスは検討の余地はありそうですが、無担保で貸し出すことによるリスクには注意が必要です。手持ちの仮想通貨全てを貸し出すのではなく、返還されないかもしれないといったリスクも考慮して、手持ちの一部で利用することも検討しましょう。
参考
国税庁 No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)
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