出産後、仕事に復帰する? 辞める? 働き方に悩む女性たち
ファイナンシャルフィールド / 2021年2月23日 10時40分
2020年からの新型コロナ禍での経済支援として、国民すべてに定額給付金が支払われ、さらに雇用調整助成金や持続化給付金など、たくさんの支援が打ち出されているにも関わらず、十分行き渡っているとは言い難い状態です。
勤務を減らされ、給料も減っていく中、貯蓄を切り崩して、何とか日常生活を送っている方も多いでしょう。ただ、例えば、夫婦共働きであれば、片方の収入が減額されても、一方の収入で維持できるというケースもあります。
今回は、出産後に退職するかどうするかを迷う女性のために、職場復帰するにあたってのアドバイスをお話しましょう。
すでに専業主婦世帯と共働き世帯の割合は逆転している
古い話になっていますが、「男女共同参画白書(概要版) 平成30年版」に記載されている、昭和55年から調査されている調査結果からは、すでに平成9年、専業主婦世帯の数は共働き世帯に逆転されているということがわかります。
(出典:内閣府「男女共同参画白書(概要版) 平成30年版/第1節 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)をめぐる状況」(※))
さらに、第1子出産前後に女性が就業を継続する割合がこれまで4割前後で推移してきたものの,約5割へと上昇しているようです。
ただ、その内訳を「正規の職員」と「パート・派遣」に分けてみると,平成22年から26年に第1子を出産後に就業を継続した者の割合は、「正規の職員」では69.1%であるのに対し、「パート・派遣」では25.2%にとどまっています。
全体でいえば、出産後も就業を継続している方は増えているのですが、一定数は、出産を機に退職することがわかります。
(出典:内閣府「男女共同参画白書(概要版) 平成30年版/第1節 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)をめぐる状況」(※))
子どもを産むからこそ利用できる特典の数々
子どもの妊娠がわかった時に、仕事をどうするかと悩まない女性はおそらくいないでしょう。最初から、子どもを産み育てる環境があるという方ばかりではないと思います。
子どもを産む際いったん退職し、その後、子育てが一段落した段階で仕事を探そう、と決心する場合もあるでしょう。また、近所に子どもを見てもらえる親族もいないし、保育園には入園できそうにないという困難なケースもあるでしょう。
ただ、今は、出産に際して支給される補償はかなり整備されており、産休期間(産前42日産後56日)に対して健康保険から支給される「出産手当金」と出産した場合の「出産育児一時金」、その後、育児休業を引き続き取得した場合に、雇用保険から支給される「育児休業給付」が支給されることになっています。
そして、新たに妊婦に有給を取得させた場合の支援金が創設されています。この支援金は、2020年12月、新たに支給要件の見直しが行われています。
見直しのポイントとしては、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、休業を必要とされた妊娠中の女性労働者が、安心して休暇を取得して出産し、出産後も継続して活躍できる職場環境を整備するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、妊娠中の女性労働者に有給の休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた企業が対象になるという点です。
体調が悪い場合に、有給を取得するのを遠慮してしまう職場もあるでしょうが、このような助成金が出るのであれば、会社に制度を導入することを考えてもらうきっかけになるのではないでしょうか。
共働き家庭だからこそ考えておきたい柔軟な働き方とは
「働き方に悩む女性」がたくさんいるのは事実です。誰にでも理想どおりの環境が整うわけではありません。今回の新型コロナウイルス騒動の中、子育てと両立して働くということはただでさえ大変です。
子どもがいる状況で、感染を防ぐために、かなりの神経を使わざるを得ない働き続けることが困難な状況が続いています。ただ、もし、働き続けられるのであれば、いろいろな制度を利用しながら継続して働くことが、経済的にもリスクへの備えとなります。
そして、企業側の変革が急激に進んでいます。これまであまり利用されてこなかったテレワークや短時間勤務やシフト勤務など、新たな働き方が模索されているのです。
サテライトオフィスなど、会社に出勤しなくても働けるという状況が整いつつあるというのは、女性の働き方を後押しすることになるでしょう。今後、夫の育児休業を法制化する動きも出ています。
妻が、自分だけで子育てをしようと思わず、どうすれば働き続けられるのかと夫婦で話し合うことで、就業を継続できる可能性が広がります。その他にも、地方自治体が手がけるベビーシッター代などの助成措置について、厚生労働省と財務省で非課税にすることも検討されています。
妻が「扶養家族の範囲130万円で働く」という選択肢は、依然根強い考えではあるのですが、共働きだからこそ利用できる支援や制度があるということにも目を向けて、「できない」とあきらめず、できない理由が解決できることかどうかを検討することから、将来の働き方を決めていただきたいと思っています。
(※)内閣府「男女共同参画白書(概要版) 平成30年版/第1節 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)をめぐる状況」
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
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