結婚詐欺の被害に遭った…結婚前でも慰謝料って請求できるの?
ファイナンシャルフィールド / 2021年2月24日 12時10分
結婚……幸せを感じるライフイベントですよね。しかし、予期せぬことが生じ、破談となる場合があります。それが「結婚詐欺」だったら、精神的な苦痛だけでなく、体に不調が出たり、なかには経済的な損失を伴ったりするかもしれません。せめて慰謝料の請求ができたら、傷は和らぐかもしれません。
しかしながら、結婚以前でも、慰謝料の請求できるものなのでしょうか。
結婚詐欺にはどのようなものがあるのか?!
一時期、「国際ロマンス詐欺」という、恋愛・結婚詐欺が話題となりました。恋人がほしい・結婚がしたい、そんな結婚適齢期の主に女性に対して、言葉巧みに近づき、金品を請求。投資などに勧誘するケースもあったそうです。
結婚詐欺に遭う多くの人が「結婚願望」が強いこと。そこを逆手にとられ、金品・資産を請求されます。心や体を許した相手なので財布のひもが緩み、大切な資産を相手に渡してしまうのです。
余談ですが、破談の原因には家族による結婚妨害のケースもあります。本人同士は気持ちが寄り添っていたのに、親の大反対にあい破談となるケース。さらに、相手の浮気による破談もあります。
夫婦問題コンサルタントの筆者としては、結婚前にわかってよかったと思う反面、ご本人の傷の深さや悲しみを案じてしまいます。このように、結婚詐欺といっても多様な事例があります。
結婚詐欺の「慰謝料」請求に必要な条件
結婚・婚約詐欺と、恋愛の関係の線引きはどこなのでしょうか。それは「第三者に証明できる事実」があることです。『「婚約」していたか否か』。昔のように、仰々しく婚約儀式が行われることは少なくなったかもしれませんが、その証明に必要なことは主に下記のとおりです。
〇結婚の約束をした(詳細なメモや写真・証拠の品があると良い)
○両親・家族・友人に婚約者として紹介をした
○結納を交わした
○婚約指輪をもらった・交換した
○新居を契約した
○結婚式場やブライダルサロンなどを予約した
○結婚相談所へ結婚報告をした
○新婚旅行を予約した
○職場を寿退社した
など
特に「寿退社」をしている場合、その後の生活に支障が出るので、慰謝料が増額されるケースもあるようです。
詐欺にあったことを立証できるのか
上記のように、請求するには「立証」が必要です。また、相手が「本当は結婚するつもりがなかったのに、結婚するとうそをついた」証拠も重ねなければなりません。例えば……、
〇SNSのやりとり
○相手が他の異性とも付き合っていた
○相手には他の婚約者もいた
○相手は既婚者だった
○住所・年齢・勤務先などの情報を偽っていた
など
証拠が多いほど立証しやすくなります。「もしや……」と思ったら、証拠探しをしてみましょう。また、出会ってからの経過を冷静にメモしておくことも必要です。弁護士へ相談する際にも、感情的にならずに話が進められるものです。
ここでひとつ注意があります。それは「自分に落ち度がなかったか」という点です。
もしも自分に落ち度があった場合、そもそも婚約自体が成立していないとみなされてしまうことがありますので、言動には気をつけましょう。また、自分自身に「結婚を維持する上で重要な事実判明」(多重債務・精神疾患・家族の犯罪など)があった場合も同様です。
請求金額の相場
被害状況やダメージの大きさにもよりますが、「結婚詐欺」の慰謝料は、数十万円~300万円くらいが多いようです。もちろん、多額の金品・資産をだましとられた場合には、実損金額も加味されます。
また、請求期限は基本的には、詐欺にあってから3年以内。しかし、本人が結婚詐欺に気づかず、犯人が認めた場合は前記に限りはありません。気づいた時点から5年以内であれば、民事訴訟が起こせます。また、多くのお金をだましとられてしまった場合の請求は、結婚・婚約解消(契約取り消し)から10年以内です。
最近筆者に寄せられる離婚相談の中で、グレーなものがあり、気になっております。恋愛経験が少ない高収入の男性が、年の離れた女性と結婚相談所で知り合い結婚したものの、結婚生活とは言い難い状況で離婚になったり、金銭的・精神的に追い詰められたりしているケースです。
結婚詐欺に遭ってしまうときの多くは、「結婚しなくてはいけないと焦っている」という状況から生まれるもの。焦らず、友人や家族に紹介し、万が一、評判がよくない場合は、しっかり相手を見極めてください。
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
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