70年ものロングセラー! 脇役に徹している小さな巨人とは?
ファイナンシャルフィールド / 2021年2月26日 23時30分
お年玉付き年賀はがきの3等当選賞品は、2020年や今年2021年では、63円切手と84円切手各1枚の「お年玉切手シート」です。
今年は2枚とも丸型のユニークなデザインで、一見するとミシン目沿いに切り取るのがとても面倒そうに思えましたが、実はシール式。はがすのも簡単なものでした。
郵便料金も値上がりしています
2019年のお年玉切手シートは、62円切手と82円切手各1枚の構成です。最近2年との違いはその金額。2019年10月からの消費増税と同時に郵便料金も、はがき(通常はがき、以下でも同じ)が62円から63円へ、封書(定形郵便物・25グラム以内、以下でも同じ)が82円から84円へと値上げされたためです。
1989年4月の消費税導入以来、上記2種類の郵便料金も消費税率改定などのタイミングに合わせて【図表1】のように改定されてきています。
30年ほどの間に、2種類とも22円の値上げ。値上げ率は、はがきで53%ほど、封書が35%ほどの計算となります。どちらも総額100円以内の中での推移なので、値上げの額や率の多寡をあれこれ騒ぐレベルではないのかもしれません。
値上げのたびに活躍する切手とは
それよりも気になるのは、手元にある切手や以前のお年玉切手シートを使おうとするときのこと。ついこの前の62円切手や82円切手でも、使うためにはあと1円分や2円分の切手を用意して貼る必要があるのです。
そんなときに備えて差額分の1円切手や2円切手をあらかじめ少し買い置きしておこうと、筆者も郵便局へ昨年出掛けたことがあります。窓口で1円切手を頼んだところ、前島密(日本の「近代郵便の父」とも呼ばれます)の肖像が描かれたもの(※1)が出てきて、ちょっとびっくりしました。
筆者が子どもだった半世紀ちょっと前の郵便料金は、はがき7円、封書15円でした。当時でも、1円切手は金額面で補助的な存在にすぎなかったわけですが、前島密の肖像のデザインはよく覚えています。
それと同じものが2020年の郵便局窓口で出てきたので、思わず「この切手、まだあるんですか?」と窓口の局員に聞いてしまいました。そして、1円切手は今でもこの1種類しかないと説明されて、さらにびっくりしたのでした。
調べてみると、このデザインの1円切手が発売されたのは1951年4月。以来、書体、レイアウト、印刷手法などの細かな変更はあるものの、基本的なデザインはずっと変わっていないようです。もうすぐ丸70年というロングセラーで、図柄が昭和時代から続いている唯一の存在となります。
こんな1円切手ですが、今年4月14日に新しいデザインのものが発行され、200万シート(1シート=50枚)限定のシート単位で販売されます(※2)。一方、現行のものも販売が継続され、こちらは引き続き1枚単位で買えます。
まとめ
「平成」が始まってすぐの1989年4月に税率3%でスタートした消費税は、その平成が終わって「令和」に代替わりしたばかりの2019年10月に税率10%となり、これで当面の消費増税は打ち止めといわれています。
そして、近時の消費増税に伴う1円・2円レベルの郵便料金値上げ。このために“追加で貼る”機会が増えて、「昭和」の残像のような存在の1円切手が再び脚光を浴びるようになっている状況には、何ともいえない歴史の綾(あや)のようなものさえ感じます。
コロナ禍への対策として講じられた各種経済政策などのため、2020年度の一般会計予算総額は当初の102.7兆円が第3次補正を経て175.7兆円まで急膨張しました。
これによって、国の借金である国債の発行額も32.6兆円から112.6兆円へと近年にない規模で増大することになります。結局は、将来世代への借金の付け回しなのです。
こうした状況を見ていると、消費税率も10%で“打ち止め”とは限らないのではないかとの思いも高まっていきます。
消費増税に連動して郵便料金も1円・2円きざみで値上げされて、そのたびに追加で貼るための1円切手が“小さな巨人”のようにまた活躍する。そんなサイクルが繰り返される可能性がないとは、いい切れないでしょう。
[出典]
(※1)日本郵便株式会社「切手」~「普通切手」
「もっと見る」をクリック後に表示される、画面3段目左端が「1円普通切手」(前島密)
(※2)日本郵便株式会社「PRESS RELEASE」~「グリーティング切手『グリーティング(シンプル)』の発行」(2021年1月28日)
画面の「切手画像」の右側「別紙のとおり」の別紙(青色字)をクリックすると同切手の画像が表示される
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
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