株式投資を始める前に覚えておきたいこと(3)現在の状況と今後
ファイナンシャルフィールド / 2021年3月3日 9時10分
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2021年2月15日、日経平均が30年半ぶりに3万円台の大台に乗せました。市場金利は依然として超低金利水準であるため、株式に投資していた人と、預貯金だけの人とでは運用成績に大きな差が出ていることになります。
しかし、それは結果論。今後も株式相場が上昇を続けるのか、どこかのタイミングで大きく下げに転じるのかはわかりません。株式相場で利益を上げるために、今考えておくべきこととはどのようなことでしょう。
日経平均株価とは
今回3万円を超えたのは「日経平均株価」です。まず「日経平均株価とはどのようにして算出される指数なのか」について確認します。
「日経平均株価」は「日経225」ともいわれ、東京証券取引所の一部市場(東証一部)に上場する株式のうち、日本経済新聞が選んだ225銘柄の単純平均で算出する指数です。(ただし、株式分割などが行われた場合に数値を補正しており、実際には単純平均ではありません)。
そのため、株価が高い銘柄(値がさ株)の影響を大きく受けることになります。
現在の日経平均株価では、ソフトバンクグループやユニクロを展開するファーストリテイリングなどの銘柄の、日経平均に占める構成割合が非常に大きくなっており、これらの株の騰落で、1日の日経平均の変動額を1銘柄で100円分以上影響してしまうようなことも起こります。
日本では昔から日経平均がなじみ深いため、最も注目される指数として扱われていますが、海外の投資家などはむしろ東証株価指数(TOPIX)のほうを重視しています。
東証株価指数はTOPIXとも呼ばれ、東証1部上場に上場している全銘柄(2021年2月16日現在2194銘柄)の浮動株数(市場で取引されている株数)の時価総額の合計を算出し、1968年1月4日当時の時価総額を100とした場合の指数です。
30年前と今との違い
日経平均に話を戻しましょう。30年前といえばバブルがはじけたころ。そのころと今とでは状況がだいぶ異なります。日経平均株価に組み入れられる銘柄は、入れ替えが発生します。
組み入れられている会社が経営統合されたり、上場廃止になったりすると225社を維持するため、不足分を補います。流動性や業種間のバランスなどを考慮して定期的な入れ替えも行われています。
では、30年前の日経平均組み入れ銘柄のうち現在も残っているのはどのくらいでしょう。実は3分の1程度しか残っていません。バブル以降、大手金融機関などは合併・統合を繰り返しました。
今の日経平均株価で大きなウエイトを占めているファーストリテイリングもソフトバンクグループも、2000年以降に上場した会社ですので、30年前の日経平均には当然組み入れられていません。
なんとなく継続性・連続性のある指数として扱われている日経平均株価ですが、実際には30年前のものとは別物だといってよいでしょう。
現在の状況と今後
昨年の日経平均は2万4000円台から始まったものの、コロナウイルスの感染拡大の影響で3月に大幅下落。一時1万6000円台まで下げました。その後、政府が打ち出した景気対策、コロナ対策などや、日銀のETF買いなどによって株価は大きく持ち直しました。
その間、安倍内閣から菅内閣への交代、米大統領選など政治的にも大きなイベントがありました。こうした政治的なイベントは株価変動の大きな要因になりえますが、2020年に限っていえば、コロナの影響のほうが市場に与えたインパクトははるかに大きかったように感じます。
米中の貿易摩擦なども不確定要素ではありますが、やはり今はコロナウイルス対策の行方が市場への影響は大きそうです。
アメリカのバイデン新政権は増税も視野に入れているといわれており、実際に増税が現実的になると経済活動にはネガティブな要因になりえます。しかし、現在はコロナへの対応が最優先であることを考えると、しばらくは政治的要因が株価に与える影響は大きくなさそうです。
コロナウイルス感染の拡大は大きなヤマを越えたようにも見え、ワクチン接種も始まっていることから収束へ向かう期待感も広がっています。現在の状況については、市場関係者の間でも「バブル」とみる人もいれば「妥当な水準」と評価する人もいます。
コロナウイルスの影響で、日本でも働き方改革や生産性の改善が進んでいると考えられます。コロナが収束に向かい、企業の売り上げが通常に戻れば、企業業績はコロナ前を以上まで改善するところも少なくないでしょう。
実際、最近各企業が出した決算報告や今後の業績予想では、多くの企業が3ヶ月前、半年前の予想を上方修正しており、これも株価をここまで押し上げてきた要因と考えられます。
まだ慎重な姿勢を崩していない企業もあり、今後コロナが収束に向かう気配が強まれば、よりいっそう回復基調が強まると考えられます。
まとめ
希望的観測も含めて書いてきましたが、実際には市場は一進一退を繰り返します。一本調子で上がり続けることはなく、少しずつ調整が入るのが市場です。
株式相場は売る人もいれば買う人もいます。双方が折り合わなければ売買は成立しないことは、これまでのコラムでも触れたとおりです。時に相場は過熱しすぎることもあります。時にやんわり、時には何かのきっかけで激しく調整が入ることもあります。
株式相場は景気や企業業績、金利などに影響を受けるのはもちろんですが、それに加えて「人気」も影響します。この「人気」が厄介で「なぜ上がっているのかわからない」ということもあります。
資産運用は自分自身のためのもの。勝手に盛り上がっている、わけのわからないものに乗る必要はありません。自分なりにストーリーを描き、人に惑わされず、余裕を持って臨んだほうがうまくいくことが多いように感じます。
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、宅建マイスター(上級宅建士)、上級相続診断士、西山ライフデザイン代表取締役
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