1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「損するのが怖い」投資アレルギーの人こそトライすべき、“テッパン”の投資方法は?

Finasee / 2021年10月6日 11時0分

「損するのが怖い」投資アレルギーの人こそトライすべき、“テッパン”の投資方法は?

Finasee(フィナシー)

相談者のプロフィールとお金データ
【浅田浩一さん(仮名)プロフィール】

・年齢:47歳
・お住まいの都道府県:東京都
・家族構成:妻(専業主婦)、子2人(中学生の長男・小学生の次男)
・職業:会社員                                                       

 【寄せられたお悩み】
「投資はこれまで関心がなかったのですが、この度友人に勧められネット証券で一般NISAの口座を開設しました。これから投資を始めたいと考えています。よくネット記事などで、『株よりも投資信託のほうが“リスク分散”が効いているので良い』といった文言を見かけ、始めるのなら投資信託かな、と思っています。
しかし、投資信託は定期預金と異なり、元本割れを起こす可能性があるようで、『高齢者が退職金で投資信託を購入して大損した』というニュースも以前聞いたことがあり、“怖い”と思う気持ちもあります。
さらに、息子2人の教育費の支出もあるので、無理のない範囲で投資したいと考えています。
投資信託を購入するにあたって不明瞭な点(利益、分配金、手数料など)もあり、そこはすっきり理解したうえで投資をしたいです。
来年、高校生になる長男も投資信託を含め資産形成について学校で習うようになりますが、私としてもしっかり理解しておきたいところです」

 【お悩みの論点】
①投資信託の基本的な仕組みを再確認したい
②利益や手数料、分配金の仕組みを理解したい
③ニュースで聞いたような「退職金で投資信託を購入して大損」という事態にならないためにはどうしたらいいか?

資産状況や月々の収支内訳
世帯の金融資産額:2000万円

内訳
預貯金:2000万円

収支
<収入>
・世帯の毎月の手取り収入: 60万円
・手取りの年収: 720万円                              

<支出>
・毎月60万円

<支出内訳>
住居費15万円、水道光熱費4万円、食費10万円、交通費2万円、通信費5万円、趣味2万円、交際費2万円、教育費7万円、貯金12万円※1、その他1万円

 ※1 現時点で2000万円の預貯金はあり、こちらからも子の将来の教育費に充てるが、相談者としては引き続き少しは貯金したいと考えている。

これから投資信託による資産運用を始めたい浅田さん。事前に投資信託の仕組みや注意点を理解しておきたいところですね。気になる手数料や分配金についてもご説明します。

投資信託ってどんな仕組み?をおさらい

投資信託は、投資家から集めた資金を元に運用のプロが運用を行い、運用結果に基づいて、投資家に投資額に応じた運用結果を分配する金融商品です。取引の単位は口数になり、投資信託を何口購入するかによって、投資する額や分配金を受ける額も異なります。投資先は、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券など多岐にわたります。

個々の株式に投資すると、その企業の業績などにより、株価が暴落することもあり、その場合大きな損失を被ることがありますが、投資信託では1つの商品(ファンド)で複数の企業に投資することで、そのリスクを分散できます。

個別の株式に投資する場合、株価がその価値を表すのに対し、投資信託は基準価額(ファンドごとに「純資産総額※2÷保有者の総口数」で計算)を用います。この基準価額は日々変動します。基準価額が高くなって売却すれば、利益が得られることになり、売却益と言います。

さらに、少額投資非課税制度(NISA)を活用し年間120万円までの範囲で購入すれば、5年間、この売却益についても非課税となります※3。反対に低くなって売却すると損失に繋がり、元本割れ(=売却損)となります。

ファンドごとに1万口あたりの基準価額が公表されています。投資信託での投資にあたっては、その動きについて日々確認が必要です。ただし、その日の基準価額の公表はその日の投資信託の取引の申込締切後であるため、購入時や売却時は、当日の基準価額がわからないまま取引をすることになります(ブラインド方式と言います)。

※2 純資産総額は 「運用している株式・債券等の時価評価額の総額+利息・配当金等のその他の収入-運用費用等」で計算。

※3 2024年より一般NISAは非課税枠が2階建ての新しいNISAとなります。

複数のファンドを併せ持つことで、分散に分散を重ねる

すでにファンドそのものも「分散」が効いているものだとご理解いただけたと思います。

それでも、1つのファンドに多くの資金で集中投資するのは、やはりリスクにもなりえます。以前浅田さんがニュースでご覧になったように、退職金などまとまった大きなお金を特定のファンドに投資し、その基準価額が大幅に下落すると、大きな損失を被ることもあります。

さらに、投資にあたって浅田さんは今後想定される教育費の支出とのバランスを考えたいとのこと。現在の預貯金2000万円から投資するのは勇気が要るでしょう。

しかし、投資信託は少額から(証券会社によっては100円から)でも購入することができます。毎月の預貯金(月12万円)から今後投資に回すのでしたら、月5~6万円程度から始められて、複数のファンドに分散させて購入すると安全性が高まるかと考えられます。その中で、ハイリスク・ハイリターンが良ければ外国株式のファンドを中心に、そうでない場合は国内債券のファンドを中心に購入してはいかがでしょうか。

ご自身でそうしたファンドの組み合わせを考えるのも投資の醍醐味ではあるものの、もし不安ならば複数の資産が1本に組み入れられたバランスファンドという選択肢があることも申し添えておきます。

あとは、将来のお子様の教育費の支出状況(進学先は国公立か私立か、部活や学習塾、習い事の費用はいくらかなど)も見たりしながら柔軟にお決めになられるのがよろしいでしょう。

手数料が高いと実質的な利益が減る! コスト意識を

ただし、投資信託を購入し、運用するにあたっては様々なコストがかかります。

まず、購入時に販売会社(証券会社、銀行等)に支払う販売手数料があります。ファンドによって手数料の額も変わりますし、同じファンドでも販売会社によって異なりますし、購入時の手数料がかからないノーロードのものもあります。

そして、投資信託の保有中に運用会社等に対して支払う信託報酬があります。運用管理費用のことを指しますが、投資家から集めた投資信託の財産(信託財産)の中から日々差し引かれることになります。投資信託には、投資の指数(日経平均株価、TOPIXなど)への連動を目標とするインデックス型と、指数を上回るリターンを求めてプロが独自の商品を選んで投資するアクティブ型がありますが、インデックス型よりアクティブ型のほうがプロに手間がかかるため信託報酬は高くなる傾向にあります。

最後に信託財産留保額があります。信託期間の途中で売却・換金時にかかるもので、売却代金から差し引かれるものとなります。いくら設定されるかはファンドによって異なります(信託財産留保額がかからないファンドもあります)。

こうしたコストが高いと利益に影響しうることを踏まえて売買することが大切です。

元本の一部が取り崩されている!? 分配型ファンドには注意

投資信託で運用が上手くいくと利益が得られ、基準価額が上がって売却した場合に売却益が得られますが、ファンドの決算(年1回以上)が行われる際、運用実績によって分配金が受けられるものもあります。毎月決算・分配するファンドもあれば、半年に1回や年に1回決算・分配するファンドもあります。

しかし、その分配金の受け取りには注意点があります。まず、「普通分配金」と「特別分配金」の違いの理解が必要です。分配金は信託財産から支払われますが、その分配落ち後に基準価額が下がり、それが個別元本(投資家個々の平均取得価額)を上回る場合、分配金は普通分配金として受けられます。普通分配金は利益となっている部分ですので、その普通分配金の利益については課税対象となります(ただし、NISAの枠内で投資すると非課税)。

一方、特別分配金は分配落ち後の基準価額が個別元本を下回る場合に、下回った分が支払われるものとなります。これは元本払戻金となっています。特別分配金は元本を一部取り崩すことになり、利益の部分ではないため、元々非課税です。

同じ分配金という名前でもそれぞれ大きく意味が異なり、両者の違いをまず整理することが大切です。

信託財産から分配金の支払が行われた結果、純資産総額が減り、最終的に基準価額が下がるため、分配の頻度が高いほど、基準価額が下がる回数も増えることになります。もし、投資信託で長期投資を行うにあたり、運用する純資産総額が減るとなると、その後将来の運用成果に影響が出るでしょう。

自己資金で無理のない範囲で投資するのであれば、運用中に分配金を受け取らなくとも、手持ちの現金や預貯金の心配はないかと考えられます。分配金なしのファンドを選ぶか、分配金ありでも年1回などその回数が少ないファンドでよろしいのではないでしょうか。

投資信託の購入の際は目論見書が交付されます。投資判断のための重要事項が記載されていますので、確認した上での購入が大切です。また、投資信託の保有中は運用実績、今後の運用の方針等を記した運用報告書が交付されますので、投資期間中の状況の把握も可能です。

今後、お子様も学校で資産形成や金融商品について習うようになりますし、親子で資産形成のことを考える機会が増えると良いですね。

まとめ
●投資信託を複数本持つことで、投資先を分散させよう
(あるいはバランスファンドという手段もあり)
●投資信託の売却益を阻む要因は、手数料と特別分配金(分配型の場合)。ファンド選びの際、念入りにチェックを

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください