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この春「年金手帳」が廃止。今、持っている手帳は有効? 使い道はある?

Finasee / 2022年2月2日 11時0分

この春「年金手帳」が廃止。今、持っている手帳は有効? 使い道はある?

Finasee(フィナシー)

これまで公的年金に加入している人に発行されてきた年金手帳。オレンジ色の手帳の人もいれば青色の手帳の人もいるでしょうし、20歳になって発行されたばかりの人もいれば、会社にずっと預けたままの人もいるでしょう。

年金制度の加入者の証として、長年発行され続けていた年金手帳ですが、その役目を終えつつあり、2022年4月に廃止されることになりました。

60年以上の歴史がある年金手帳、色の違いはなぜ?

年金手帳は、国民年金被保険者や厚生年金被保険者に発行される手帳です。その中には基礎年金番号が記載されており、それは4桁と6桁の計10桁の数字で年金の被保険者個々人に割り当てられています。1997年1月に基礎年金番号制度が始まったことにより、それまで年金制度ごとに異なった年金番号(4桁の記号と6桁の番号の計10桁)だったところを一つの基礎年金番号で全ての年金記録を管理することになっています。

その年金手帳の始まりは1960年10月にさかのぼります。その時から、国民年金の被保険者となった人(資格を取得した人)には、主に茶色の国民年金手帳を発行していました。一方、厚生年金被保険者となった人には当時、手帳ではなく被保険者証でした。その後、1974年11月から国民年金被保険者だけでなく、厚生年金被保険者となった人にもオレンジ色の年金手帳が発行されるようになり、基礎年金番号制度が始まった1997年1月以降は、これらの被保険者となった人に青色の年金手帳が発行され、基礎年金番号が記載されるようになりました。すでに1996年12月以前の年金手帳を持っている場合は、その手帳の番号が基礎年金番号となり、年金手帳のなかった共済組合加入者の人に対しては基礎年金番号通知書が発行されました。また、青い年金手帳についても、発行元(表紙に記載)が2010年1月より社会保険庁から日本年金機構に変わり、公的年金制度の歴史とともに年金手帳も60年以上の歴史が作られたと言えます。

年金手帳の中には何が書かれている?

年金手帳の中を見てみると、個々の被保険者の基礎年金番号、氏名、性別、生年月日が記載されているページの他に、被保険者の年金加入記録についてのページがあります。かつて、「国民年金の記録」や「厚生年金保険の記録」の欄に「被保険者となった日」、「被保険者でなくなった日」等について、手書きで書かれることがありました。また、国民年金保険料納付の証明もされていました。年金制度の被保険者として、いつからいつまで加入していたか、どれほど保険料の納付実績があったかについて、年金手帳を見ながら確認できた時代もあったのです。

しかし、現在、こういった個々の被保険者の年金加入記録は全てオンラインシステムで管理されています。年金手帳に書かれていなくても、毎年誕生月(1日生まれの人はその前月)に送られてくる「ねんきん定期便」に載っていれば、その期間の記録はしっかり入っていることになります。「年金手帳に自分の加入記録について何も書かれていない……」と不安になる人もいますが、「ねんきん定期便」の記録が正確に記載されていれば問題はなく、年金手帳での記録の記載は必要ないものとなるでしょう。

マイナンバーでも年金の手続きが可能に

以前は年金の手続きにおいても、年金手帳の添付が必要とされていましたが、現在、“基礎年金番号を明らかにする書類”があれば手続き可能となっています。

老齢年金の受給が始まる頃に、その請求のために送られる、事前送付用の年金請求書にも基礎年金番号が印字されていますし、また、年金請求後に発行される年金証書にも基礎年金番号が記載されています。従って、年金手帳そのものがなくても手続きが可能であると言えます。さらに、近年は、12桁の数字で個々人に指定・通知されているマイナンバー(個人番号)があれば、基礎年金番号自体がなくても年金の手続きや相談ができるようにもなっています。

こういった年金の手続きの面でも、年金手帳の存在感はますますなくなってきていることになるでしょう。

年金手帳廃止により基礎年金番号通知書へ切り替え

こうした経緯から2022年4月の改正によって年金手帳は廃止されることになりました。2022年4月以降20歳になって国民年金に加入する人に対して、年金手帳に代わって基礎年金番号通知書が発行されることになっています。そして、廃止後は年金手帳を紛失した場合、その再発行もされなくなり、代わりに基礎年金番号通知書が発行されることになります。

新しい基礎年金番号通知書については、年金制度の象徴となるシンボリックなもの(色付きの上質紙等を使用)とされ、基礎年金番号、氏名、生年月日、交付日が記載され、厚生労働大臣の印影があるものとなる予定です。手帳という形式での発行がなくなると、国としてもその発行・再発行の事務コストを削減できることにもなるでしょう。

もちろん、今すでに持っている年金手帳は、2022年4月以降も基礎年金番号を証明する書類として有効です。捨てずにそのまま保管しておきましょう。

年金手帳はなくなっても記録の確認は大切

ここまで見てきたように、年金の記録の管理や手続きの方法は効率化、簡易化されることになり、それとともに年金手帳の役目を終えることとなりました。しかしながら、年金手帳は廃止となっても年金記録を確認することはいつの時代も大切で、年金記録の確認から将来への備えが始まると言えます。

基礎年金番号制度導入前は、国民年金、厚生年金で年金番号が異なっていただけでなく、転職等で勤務先が変わって年金番号が変わることもありました。基礎年金番号以外の年金番号が書かれた別の年金手帳があり、その年金番号が示す年金記録が「ねんきん定期便」に記載されて入っていないと、記録の漏れがあることになります。漏れていた記録の基礎年金番号への統合によって、国民年金の納付記録や厚生年金の加入記録が追加されれば、その分年金の受給額が増えることにもつながります。

言い換えると、未統合のままでは本来の自身の加入記録による年金より少ない年金で受給することになってしまいます。その年金手帳の存在が未統合の記録があることの証明にもなりますので、まだ記録確認をしていない人で過去の年金手帳がある場合、それも持って年金事務所等で記録確認をしましょう。

 

 

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。

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