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「元祖かけ放題」ウィルコムが戦後最悪の破産…医療現場で現役も終焉【2月18日はどんな日?】

Finasee / 2023年2月18日 12時0分

「元祖かけ放題」ウィルコムが戦後最悪の破産…医療現場で現役も終焉【2月18日はどんな日?】

Finasee(フィナシー)

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30~40代なら「ウィルコム」と聞いて懐かしいと思うでしょう。ウィルコムは国内最後のPHS事業者で、定額の音声通話プランとカラフルな機種「HONEY BEE(ハニービー)」シリーズで人気を集めました。恋人同士でウィルコムを持ち合い、長電話を楽しんだ方も多いのではないでしょうか。

ウィルコムは2010年の2月18日に経営破綻を迎えます。どうしてウィルコムが破綻することになったのか、その経緯を確認しましょう。また、高いと批判されることも多い日本の通信料金について、その国際比較も紹介します。

国内最後のPHS事業者

ウィルコムは2010年2月18日、会社更生法の適用を申請し、事実上の破綻を迎えました。破産時の負債総額は2060億円と、通信事業者としては戦後最悪の水準です。同年に携帯電話大手ソフトバンクがウィルコムの全株式を取得しており、2014年に現在のワイモバイルとなりました。

PHSは「Personal Handy-phone System」の略で、既存の電話回線に小規模のアンテナを設置し、端末と電話回線を無線でつなぐ通信サービスです。1995年に開始されますが、比較的料金が安かったため多くの若者がポケベルからPHSへ移行しました。

しかし携帯電話の通信網が発展したこともあり、国内における個人向けのPHS事業は2021年1月に終了しています。もっとも、当時PHS事業を展開しているのはウィルコムを引き継いだワイモバイルだけでした。音声品質に優れるPHSは病院で採用されているケースが多いですが、それも来月の2023年3月末に完全終了する見込みです。1995年からスタートしたPHSの歴史は30年足らずで幕を下ろします。

かけ放題プランで業績を伸ばすも、携帯電話との競争に敗れる

ウィルコムは革新的なサービスを提供し続けてきました。国内で初めて移動端末向けの定額データ通信サービスを始めたほか、MVNO(※)を日本で初めて提供したのもウィルコムです。

※MVNO:Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略。大手通信会社から通信回線を借り、通信サービスを提供する事業のこと。

特に2005年に開始した「ウィルコム定額プラン」は同社のヒット商品となりました。ウィルコム同士なら月額2900円で音声通話を無制限にできるもので、いわゆる“かけ放題”のはしりです。電気通信事業者協会によると、ウィルコムの契約数は2006年8月時点で400万件を超えるほどになりました。

さらにウィルコムは2006年には国内初のスマートフォンともいえる「W-ZERO3」を展開し、スマートフォン市場の開拓にも乗り出します。NTTドコモやソフトバンクといった巨大な携帯電話大手と競争を続けられたのは、ウィルコムがそれまでにない価値を提供し続けたことが大きいでしょう。

しかし2007年1月、ソフトバンクが同じく定額で音声通話ができる「ホワイトプラン」を発表します。しかも料金は月980円と、ウィルコム定額プラン(2900円)を劇的に下回る水準でした。ホワイトプランは非常に大きな人気を集め、同年12月時点で申し込みが1000万件を超えています。

さらに2007年にはイーモバイルが定額データ通信サービスに参入し、2008年にはソフトバンクが「iPhone」を発売しました。これにより、ウィルコムは3つの強み(定額制のデータ通信・定額制の音声通話・スマートフォン)の全てで優位性を失ったことになります。

結果的にウィルコムは経営に行き詰まり、上述の通りソフトバンクの傘下に収まりました。ウィルコムの例は大手の参入リスクが顕在化した典型といえるでしょう。

日本のスマホ料金は高い? 国際比較を紹介

時々「日本の通信料金は高い」という批判が見られます。菅元総理大臣も携帯電話大手キャリアに料金の引き下げを強く求めていました。

そもそも日本の通信料金は他国と比べて高いのでしょうか? 総務省によると、最もシェアの高い通信事業者を比較すると以下のようになったようです。日本(東京)とアメリカ(ニューヨーク)が突出して高く、データ容量20GBにおいては日本が最も高くなりました。GDPの差を考えれば、日本とアメリカの通信料金が同水準というのは確かに高いかもしれません。

※スマートフォン(MNO)で最もユーザーシェアの高い事業者の料金プラン

出所1:総務省 電気通信サービスに係る内外価格差調査 令和元年度調査
出所2:OECD Gross domestic product (GDP)

政府からの圧力もあって通信料金は大手も含め低下傾向にあります。この機会にプランの見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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