日本が誇る世界的大企業が過去最大の破綻…巨額負債、株価1円の衝撃【2月27日はどんな日?】
Finasee / 2023年2月27日 12時0分
Finasee(フィナシー)
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巨大企業も時に突然倒産します。2012年に経営破綻した「エルピーダメモリ」もその1つに数えられるでしょう。世界有数の半導体メーカーの倒産は国内に大きな衝撃を与えました。
なぜエルピーダメモリは破綻することになったのか、今日はその経緯について学びましょう。また昨今問題になっている「半導体不足」についてもご紹介します。
世界3位の半導体メーカーが破綻。負債総額4400億円エルピーダメモリはNECと日立製作所、三菱電機といった大手電機メーカーのDRAM(ディーラム)事業を統合してできた会社です。DRAMとはパソコンなどに用いられる半導体製品の1つで、エルピーダメモリは国内で唯一、世界で第3位のDRAMメーカーでした。
世界3位のシェアといっても内情は厳しかったようです。そもそも日本の電機メーカーは1980年代まで世界のDRAMの7割ほどのシェアを握っていましたが、韓国や台湾のメーカーが台頭したためシェアを落としていました。
そして2007年以降、DRAM価格の下落がエルピーダメモリを襲います。過剰供給やリーマンショックなどを理由にDRAM価格が下がり、エルピーダメモリは2009年3月期に1780億円以上の最終赤字を計上しました。
その後エルピーダメモリは公的資金の注入などを経て事業再生を目指し、翌期には約31億円、翌々期には約21億円の最終黒字を計上しています。辛くも復活できたかに見えましたが、再びDRAM価格の下落が発生。さらに円高の影響も加わり、2012年2月27日に会社更生法の申請に至りました。
当時の負債総額は4480億3300万円。東京商工リサーチによると、製造業としては過去最大の破綻となりました。当時エルピーダメモリは上場していましたが、同年3月27日に株価1円で最後の取引を終え、翌日に上場廃止を迎えます。
半導体って何? なぜ不足しているの?半導体とは物質の電気的な性質を表した言葉です。「絶縁体」は抵抗(オーム)が大きく電気をあまり通さない物質のことで、その反対の性質を持った物質を「導体」といいます。半導体は絶縁体と導体の中間の性質を持った物質を指し、シリコンやゲルマニウムなどが代表的です。
そしてニュースなどで言及される半導体は、これら半導体を利用した「半導体製品」を指すケースが多いでしょう。エルピーダメモリが製造していたDRAMなどがそうです。
半導体製品にはさまざまな種類があり、パソコンやスマートフォンといった精密機械から一般的な家電製品、自動車といった多様な製品に組み込まれています。私たち消費者が半導体製品を直接買うことは少ないでしょうが、間接的には必ずといっていいほど手にしているでしょう。
そんな半導体製品ですが、近年は世界的に不足しています。必要な半導体製品が手に入らないことから、多くの製品で生産の減少や遅延などが出てしまいました。どうしてこのような状況になっているのでしょうか? 一概には言えませんが、半導体製品は生産を簡単には増やせないことが理由の1つでしょう。
半導体製品を作るためには非常に多くのプロセスを踏まねばならず、総工程数は400~600にもなります。しかも半導体製品は非常にデリケートで汚損を防ぐ施策が欠かせません。そのため工場はどうしても大規模なものになりやすく、資金繰りの懸念から設備投資に慎重になるケースが多いでしょう。
また半導体製品は一般的に価格変動が大きく、エルピーダメモリもDRAM価格の変動に苦しめられました。仮に半導体製品の需要が増えても価格が落ちれば売り上げは伸びません。また海外の売り上げが多いため為替の影響も考える必要があります。長期的な事業の予測が難しい点も、半導体製品メーカーが設備投資に及び腰な理由でしょう。
これらの理由から、足元で需給が逼迫している状況にあっても半導体製品メーカーは簡単には生産を増やせないのです。半導体製品の不足はしばらく続く可能性があるでしょう。
日本の主な半導体関連企業半導体製品メーカーの大手は欧米のほか台湾や韓国といった海外に多いですが、その製造過程では日本企業も負けていません。例えば半導体製品の土台となるシリコンウエハーは「信越化学工業」と「SUMCO」の2社で世界のおよそ半分を生産しています。
また国内には世界的にシェアが高い半導体製造装置(半導体製品を作るための装置)メーカーがいくつかあります。「東京エレクトロン」はその代表的な存在で、売り上げは半導体製造装置メーカーの中で国内首位、世界で4番目です。
半導体製品の製造過程の1つに半導体の洗浄がありますが、「SCREEN」はその洗浄装置で世界トップのシェア(※2020年度)を持っています。例えば「枚葉式洗浄装置」は38%、「バッチ式洗浄装置」では70%ものシェアがあり、半導体製品の製造に欠かせない存在といえるでしょう。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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