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totoもBIGも国への“寄付”だった?「当たらない」くじ、税金の側面も

Finasee / 2023年3月3日 12時0分

totoもBIGも国への“寄付”だった?「当たらない」くじ、税金の側面も

Finasee(フィナシー)

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2001(平成13)年3月3日、スポーツ振興くじ「toto」が発売されました。日本のスポーツくじの所轄は文部科学省で、独立行政法人日本スポーツ振興センターにより運営されています。

スポーツくじとは?

日本のサッカーくじは、スポーツ振興のための財源確保を目的としています。Jリーグスタートの前年である1992年に日本体育協会、日本オリンピック委員会(JOC)から各政党やスポーツ議員連盟等に要望書が提出されました。これにより、サッカーくじの導入が議論されるようになったのです。

財政難が続く日本では、施設拡充や選手強化などのスポーツ振興に国の予算を十分に充てられないという問題があります。JOCや文部科学省は財源不足の解決のため、Jリーグはサッカー人気の拡大のためにサッカーくじは有効と考えられたのです。

サッカーくじを推進したい立場の人もいる一方で、「青少年の射幸心をあおる」「日本において賭博は禁止されている」などの反対意見も多数出されました。

さまざまな議論を経て、1998年11月に「スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び関係省令」が施行されるに至りました。その後、2001年3月3日に「toto」が発売されたのです。

サッカーくじの仕組み

日本のサッカーくじは大きく分けて、勝敗の予想を自分でする「toto」(予想系)とコンピューターが予想する「BIG」(非予想系)の2種類があります。

「toto」の仕組み

「toto」は指定されたサッカーの各試合の結果を予想するタイプのくじです。ホームチームを基準に、

・勝ち:1
・負け:2
・その他:0

という形式で予想します。「toto」は13試合、「mini toto」は5試合が指定されます。「totoGOAL3」は指定された3試合(6チーム)の各チームの得点数を予想します。勝ち負けや得点数を予想するので、競馬に似た仕組みです。

「BIG」の仕組み

指定されたサッカーの各試合の結果を、コンピューターがランダムに選択するタイプのくじです。予想の形式は「toto」と同じで、試合数14で勝敗を予想する「BIG」、試合数12で得点数を予想する「MEGA BIG」などがあります。くじを買う人に予想の必要はなく、運任せなのは宝くじと同様です。

売り上げはBIGが圧倒的に多い

「toto」と「BIG」の売り上げはどちらが多いか気になる人もいるでしょう。2020年のスポーツくじの売り上げは以下の通りでした。

出所:独立行政法人日本スポーツ振興センター「ニュースリリース(令和3年3月30日)」

サッカーくじは当初「toto」のみでスタートしましたが売り上げが伸び悩み、2006年に「BIG」が導入されました。以来「BIG」の売り上げが全体の90%前後を占めるようになったのです。

「toto」の予想は面倒な割に当せん確率が低いのが、不人気の理由の1つです。また、予想がいらない「BIG」はサッカーファンだけでなく、宝くじファンにも支持されていると考えられます。

スポーツくじの収益による助成

サッカーくじの収益からの助成は2002年にスタートし、2021年6月までに約2188億円の助成が行われてきました。また、約1020億円を国庫に納付し、国のスポーツ振興に関連する事業などに活用されています。助成の対象には東京オリンピック・パラリンピックなども含まれ、サッカーくじは導入の目的を果たしてきたといえます。

日本とは違う海外のスポーツくじ事情

「toto」の語源は、イタリア語の「トトカルチョ」(サッカーくじ)です。サッカー先進国である欧州や南米では日本で「toto」が始まる前から、さまざまなスポーツくじが行われています。つまり、日本のサッカーくじは、海外のスポーツくじに倣って導入されたのです。一口にスポーツくじといっても、国によって国営や民営など運営方法もさまざまです。

英国のブックメーカー

日本では、賭博が刑法で禁止されています。しかし、英国ではブックメーカーという政府から公認された賭博業者がいて、上場企業もあるほどです。プレミアリーグのクラブチームの胸スポンサーになっているブックメーカーもあります。

サッカーが日常に根付いている英国では、プラスアルファの楽しみ方としてサッカーくじが普及しています。サッカーくじに投じる金額は少額でもリアルなお金を賭けるので、当てるための情報収集に力が入るのです。くじを買う人のサッカーへの関心が自然に高まり、観客動員などにもつながるというわけです。

新しいくじの導入

スポーツへの助成に役割を果たしてきたスポーツくじですが、近年のコロナ禍によりさらに貢献が求められています。新型コロナウイルスの影響による大会中止や観客制限などで、スポーツの団体は大幅な減収にあえいできました。雇用の維持も容易ではありません。そこで、スポーツくじの売り上げ増を狙い、2020年12月に「スポーツ振興投票法」が改正されました。改正の主な内容は以下の通りです。

1.くじの対象にバスケットボールのBリーグが加わる
2.サッカーもバスケットボールも1試合の結果を予想する「単一試合投票」などくじの種類を増やす

1試合のみの結果を予想する単一試合投票は、以前から要望がありました。しかし、単一試合投票は、欧州サッカーや日本のプロ野球などで八百長の温床になってきました。実際に導入されて健全な運営が続けられるか、懸念する声も聞かれます。

スポーツくじで身を滅ぼす人はいない?

スポーツくじに反対で「すぐにでも廃止すべき」という人は、今でも一定数います。反対理由はスポーツくじのギャンブル性ですが、推進派は「スポーツくじはギャンブルではない」と主張しているようです。

今までのところ、スポーツくじのために借金までするようなケースは聞いたことはなく、問題視するほどではないでしょう。当たる確率が極めて低いため、スポーツ振興のための寄付と考える人もいるかもしれません。

今後は英国式に「toto」を買って予想を楽しむ人が増えると、スポーツ興行の活性化にもつながるのではないでしょうか。

執筆/松田聡子

明治大学卒業後、ITエンジニア、国内生命保険会社での法人営業を経て、2007年より独立系FPとして開業。コンサルティングの他、企業型確定拠出年金講師や執筆活動に従事。人生100年時代を最後まで自分らしく生きるためのお金のアドバイスと情報発信がライフワーク。日本FP協会認定CFP、DCアドバイザー、証券外務員二種。

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