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債務超過計2.6兆円“未曽有”の悪夢…保険会社が次々破綻、契約者の運命は

Finasee / 2023年3月23日 12時0分

債務超過計2.6兆円“未曽有”の悪夢…保険会社が次々破綻、契約者の運命は

Finasee(フィナシー)

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22年前の3月23日、生命保険会社「東京生命保険」が破綻しました。2800人以上の職員と100年を超える歴史を持つ中堅生命保険会社でしたが経営に行き詰まり、現在の「T&Dフィナンシャル生命」に引き継がれます。

その時期は生命保険会社が次々と破綻していたタイミングでした。どうして多くの生命保険会社が破綻したのか理由を探りましょう。また、生命保険会社が破綻した場合のセーフティーネット「生命保険契約者保護制度」についても解説します。

731億円の債務超過で倒産

2001年3月23日、東京生命保険が破綻しました。金融庁によると同社は731億円の債務超過に陥っていました。この時期は生命保険会社の破綻が相次ぎ、1997年の日産生命から東京生命保険までおよそ4年間に7社もの破綻が起こります。債務超過額の合計は2兆6000億円を超え、まさに未曽有の危機といえるでしょう。

【2000年前後に破綻した生命保険会社の一覧】

出所:金融庁 保険契約者保護機構について

なぜこれだけ多くの生命保険会社が一気に破綻したのでしょうか。金融庁によると(1)生命保険会社が競合し高い利回りの保険商品を販売していたところ
(2)バブルの崩壊で運用利回りが落ち込み財務が急激に悪化した
ことが原因にあるようです。一時は好調だったようなだけに、バブル崩壊の影響がいかに大きかったかがうかがえますね。

……1980 年代に入ると簡保、銀行などと貯蓄型商品をめぐって競合するようになる。このような状況の中でバブル期の入り口である1985年度に生保は予定利率を一段と引き上げ、高予定利率の貯蓄型商品の販売に注力した。高予定利率商品は競争力も高く販売は好調であった。しかし、バブルの崩壊で一気に資産運用環境が悪化し、予定利率を運用実績が下回る利差損、いわゆる逆ざやの状況に陥った……

出所:金融庁 金融機関の破綻事例に関する調査報告書(一部抜粋)

生命保険契約者保護制度とは?

生命保険会社の倒産は契約者に大きな損害が生じてしまいます。できるだけ速やかに別の健全な保険会社(受け皿保険会社)へ引き継ぎ契約が維持されるようにしなければいけません。その手続きを確実に行うための仕組みが「生命保険契約者保護制度」です。

制度の主体は「生命保険契約者保護機構」(以下機構)が担います。保険業法に基づいて設立された法人で、国内全ての生命保険会社は加入し負担金を支払わなければいけません。

そして万が一生命保険会社が破綻した場合、機構はその契約を引き継いだ受け皿保険会社に負担金を原資として必要な資金援助を行う仕組みです。受け皿保険会社が現れない場合、機構が子会社として設立した「承継保険会社」か、または機構自身が契約を引き継ぎます。

ただし保険契約の全額が補償されるわけではなく、機構は原則「責任準備金(※)」の90%までしか資金援助を行いません。つまり制度により保護された場合でも元の契約より条件が悪くなる可能性に注意が必要です。

※責任準備金:保険会社が将来の保険金支払いのために積み立てておくべき資金

倒産しにくい保険会社はソルベンシー・マージン比率でチェック

生命保険契約者保護制度があるとはいえ保護には限度がありますし、やはり契約する生命保険会社が破綻しないに越したことはありません。どのように生命保険会社を選べばよいのでしょうか?

一つの目安となるものが「ソルベンシー・マージン比率」です。これは通常の予測を超えるリスクに対してその生命保険会社がどれくらいの支払い余力を持っているか表しています。

【ソルベンシー・マージン比率(%)の計算式】

支払い余力(マージン)の総額÷(通常の予測を超えるリスク÷2)×100

支払い余力の例:資本金、価格変動準備金、危険準備金など
通常の予測を超えるリスクの例:運用環境の悪化、金利の低下など

出所:金融庁 ソルベンシー・マージン比率とは?

生命保険会社は通常予測できるリスクの範囲内なら責任準備金で問題なく保険金を支払えるはずです。しかし通常の予測を超えるリスクが起きた場合、自己資本や準備金などで対応しなければいけません。つまりこの数値が高いほど保険金を支払う能力が高い健全な生命保険会社だと判断できるのです。

ソルベンシー・マージン比率の基準は一概にはいえませんが、最低でも200%を下回ってはならないと定められています。ちなみに破綻した東京生命保険は446.7%でした(2000年3月期)。

出所:金融庁 金融担当大臣談話─東京生命保険相互会社について─

これの数値を参考に生命保険会社を選んでみてください。もちろんソルベンシー・マージン比率だけでなく、自己資本や格付けなどもチェックし総合的に判断することが大切です。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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