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50歳“独女”が真剣に悩む「再婚」と「お墓」…家族の負担減らすには

Finasee / 2022年4月5日 11時0分

50歳“独女”が真剣に悩む「再婚」と「お墓」…家族の負担減らすには

Finasee(フィナシー)

私のお墓はどうなる?

彩子さん(仮名、50歳)は金融関係のシステム会社に勤めるシステムエンジニア。新卒から同じ会社に勤めており、現在は40人の部下をまとめる管理職です。30歳の時に一度結婚しましたが、3年後に離婚して以来、おひとりさま。実家は3駅離れた隣町にあり、弟夫婦が母親と二世帯住宅で暮らしています。

彩子さんは久々に実家に帰りました。母と雑談をしていると、たくさんのお墓や葬儀のパンフレットが目に留まりました。どうしたのか尋ねると、父の郷里が遠く、お墓を管理するのがこの先難しいので、「墓じまい」をして近隣で改めてお墓を購入したいと考えているとのことでした。今お墓があるお寺に挨拶に行ったり、役所に届けを出したり、他にもたくさんやることがあるそうです。

久々に父の郷里を訪ねるのもいいかもしれないなと思いつつ、彩子さんは、近隣に購入するというお墓に自分は入れるのだろうか? とふと疑問に思いました。母に聞こうとしましたが、弟夫妻はどう思うだろうか、お墓の購入の費用は誰が出すのか、再婚したらどうするのか、といろいろな疑問が湧いてきて、その場では何も言えませんでした。

おひとりさまのお墓、葬送

現代のお墓事情

民法897条では「1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」と定められており、系譜、祭具及び墳墓(家系図、仏壇、位牌、墓石など)は祭祀財産として、その他の相続財産と区別されています。つまり「家」や祖先に関わることは祭祀承継者が引き継いで、慣習に従って取り扱うことがこれまでの前提となってきました。ただし、近年では、この祭祀承継者がおらず、誰も管理しない「無縁墓」が増加しています。また、先祖代々のお墓を閉じ(墓じまい)、他の場所に移転する(改葬)ことも多くなっています。

明治期以来、祖先を祭ることが国民道徳の基礎とされ、お墓はそのための大切な財産として子孫に継承されるものと考えられてきました。しかし、高度経済成長期を経て産業構造、家族構造が変わり、生まれた土地を離れて家族をつくること、あるいは家族をつくらないことも今や一般的になっています。そのため、特定の土地に「家」単位の墓を持ち受け継いでいくことが、実際の私たちの生活スタイルでは難しいことが増えているのです。

それでも、人がいつか亡くなることには変わりがありません。日本では99.97%の人が火葬になりますが、ご遺骨を納める方法は多様化しています。都会ではお墓ではなく納骨堂を選択することも多いですし、遺族が手元に保管することもあります。墓地に納めるとしても、合葬墓・共同墓といった形で、血縁のない人たちが同じお墓に入る選択肢もあります。また、散骨を選ぶ方もいます。

このように多様な選択肢がある中では、自分の死後にどのような形で葬られたいかを生前に決めておくことが、遺された人たちの負担を減らすことにもなるでしょう。

彩子さんはさまざまな疑問や迷いから、自分の死後について家族に話を切り出せませんでした。お墓をどうするのかという問題は、入るお墓の決まっていない全ての人にとって課題といえますが、特に彩子さんのようなおひとりさまに関係するのが、「お墓に入る前の段階」なのです――。

●おひとりさまに関係する重大な問題とは… 後半へ続く>>

沢村 香苗/日本総合研究所 スペシャリスト

東京大学文学部卒業。同大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程単位取得済み退学。研究機関勤務を経て、2014年に株式会社日本総合研究所に入社。研究・専門分野は高齢者心理学、消費者行動論で、「高齢者の身元保証人、身元保証等高齢者サポート事業に関する調査研究」など実績多数。著書に『自治体・地域で出来る!シニアのデジタル化が拓く豊かな未来』(学陽書房)。

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