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一般人が128億円の被害…国も激怒、破産に追い込まれた“異例”の会社

Finasee / 2023年4月9日 12時0分

一般人が128億円の被害…国も激怒、破産に追い込まれた“異例”の会社

Finasee(フィナシー)

・年金は実質的に“目減り”している?「増額」の裏にある不都合な仕組み

ちょうど2年前の4月9日、ソーシャルレンディング事業者「グリーンインフラレンディング」(以下GIL社)は東京地裁から破産手続きの開始を受けます。同社の破綻は自主的なものではなく債権者に申し立てられた異例のケースでした。つまりGIL社は半ば強制的に破綻を宣告されたのです。

なぜGIL社は破綻を強いられたのでしょうか。今日はその経緯とソーシャルレンディングの仕組みについて解説します。

投資家のお金を流用した悪質な事件

GIL社は再生可能エネルギー事業に特化したソーシャルレンディング事業者です。ソーシャルレンディングとはインターネットを通じ事業者に資金を貸し出す仕組みで、GIL社のようなソーシャルレンディング事業者はその仲介を担います。

GIL社は同じくソーシャルレンディング事業者の「maneoマーケット」(以下マネオ社)を通じた募集も行っていましたが、2018年6月にマネオ社はGIL社の募集を停止します。GIL社が投資家に分配すべき原資を「JCサービス」(GIL社の親会社)に不正に送金した疑いが強まったためです。

マネオ社は資金を投資家に返還するようGIL社に求めますが解決に至らず、2021年3月8日に東京地裁にGIL社の破産を申し立てました。そして同年4月9日、東京地裁は破産手続きの開始を決定します。東京商工リサーチによると負債総額は約128億円。多くの一般投資家が被害に遭ってしまいました。

マネオ社はGIL社のケースで2018年7月に金融庁(関東財務局)から行政処分が下されています。また、他にも複数の案件で投資家に損失が生じたことから信用が失墜し、2019年7月を最後にマネオ社ではソーシャルレンディングの募集は行われていません。同年から代表取締役を交代した新体制に入っていますが再起の道は険しいようです。

なぜ高利回り? ソーシャルレンディングのリスク

ソーシャルレンディングは貸し付けの対価として受け取る利息が利益となります。利回りは仕組みが似ている債券と比較して高く、5%を超える案件も珍しくありません。GIL社では利回りが10%を超えるものもありました。

ソーシャルレンディングの利回りが高い理由は借り手の信用リスクにあります。端的にいえば、ソーシャルレンディングは借り手の信用リスクが大きい(破綻の可能性が高い)ため高い利回りが設定されているのです。

お金を貸す側に立って考えてみましょう。もしも確実に返済されるなら低い金利で貸し出してもよいかもしれません。しかし返済の可能性に疑いがある場合はどうでしょうか? おそらく貸し倒れリスクに見合うだけの対価を求めるでしょう。これが反映されるため、信用力が低い貸し出しほど金利は高く設定されるのです。

つまりソーシャルレンディングの利回りには借り手の信用力が現れています。年限や担保の有無なども金利に影響を与えるため一概にはいえませんが、利回りが高い案件ほど信用リスクが高いといえるでしょう。

信用リスクが表面化すれば高利回りどころか大きな損失も覚悟しなければいけません。ソーシャルレンディングは見かけの利回りだけで判断しないようにしましょう。

5種のクラウドファンディングを整理

ソーシャルレンディングは「クラウドファンディング」の一形態です。クラウド(Crowd)は群衆、ファンディング(Funding)は資金調達という意味があり、主にインターネットを通じ不特定多数から資金を集めることをクラウドファンディングといいます。私たち(出資側)から見ればインターネットを介し少額で出資できる方法と言い換えられるでしょう。

クラウドファンディングは大きく5つのタイプに分かれます。少しややこしいですが出資の見返りに注目すると整理しやすいかもしれません。

【クラウドファンディング5種の概要】

※ファンドを介し分配金や元本の償還などで支払われることが一般的

「寄付型」は主に復興支援など公益性の高い事業の資金調達に用いられます。出資の見返りは基本的にありません。純粋な支援に近いでしょう。

「購入型」は商品(サービス)の開発に用いられるケースが一般的です。事業者は調達した資金で開発を行い、出資者はその新商品を対価として受け取ります。

「貸付型(ソーシャルレンディング)」や「不動産投資型」、「株式型」はより投資に近いクラウドファンディングです。それぞれの投資対象に応じた利益を得られるでしょう。もちろんいずれも元本保証ではないため注意が必要です。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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