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70歳男性、同性パートナーと“ついのすみか”で最期まで…下した重大決断

Finasee / 2022年5月6日 11時0分

70歳男性、同性パートナーと“ついのすみか”で最期まで…下した重大決断

Finasee(フィナシー)

注目を集めるリバースモーゲージ

高齢者にとって、「住み慣れた自宅」は必ずしも(そのままの状態では)住みやすくない、ということは前半に紹介した通りです。しかし、リフォームや住み替えをするにはどうしてもお金が必要になります。

●同性パートナーに“ついのすみか”のことを相談したら… 前半の記事を読む>>

そのニーズに着目した「リバースモーゲージ」という仕組みが数年前から注目されています。リバースモーゲージとは、所有している自宅を担保に資金を借り入れ、死亡したときに自宅を処分して借入金を返済する仕組みです。生存中は利息のみ支払い、自宅に住み続けることも可能です。特におひとりさまや、財産を相続させる子どもがいない人にとっては、生前に資産をより有効活用する方法として有力な選択肢の1つといえます。

民間の金融機関だけでなく社会福祉協議会も同じ仕組みのサービスを提供していますが、こちらは土地や建物は所有しているけれど現金収入が少ない場合に、生活資金として融資を行うことが目的となっており、貸付金額や対象となる世帯の所得に制限があります。

同性カップルへの対応

これまで、日本の社会におけるさまざまな仕組みは、法的な結婚をしている夫婦を前提としてきました。それによって、おひとりさまも苦労をしてきましたが、法的な結婚をしていないカップル、特に同性同士の場合は不自由な思いをする場面が多くありました。例えば、家族向けの住宅に入居できなかったり、パートナーの死後に財産分与を受けられなかったり、重大な医療処置を受けるときに意見を聞いてもらえないといったことです。

一方で、2015年には渋谷区と世田谷区でパートナーシップ制度が取り入れられ、現在は209の自治体に広がっています。制度を利用するとできるようになることは自治体によって異なりますが、住まい関連でいうと、公営住宅の入居申し込みの際に同居親族として認められたり、家賃補助や住宅取得の際の補助金が申請できたりすることが挙げられます。

あくまで自治体の制度なのでその効力には限界があるものの、2人の関係性が証明できることで、民間サービスの利用時や医療機関等の利用時にも家族として扱われることが増えており、中でも住宅ローンは複数の金融機関がペアローンの対象として同性パートナーを含めるようになっています。

千里さん(70歳男性)の決断

千里さんは、パートナーの不安ももっともだと思い、法律に詳しい知り合いに相談してみました(詳しくは記事前半)。折しも、今住んでいる地域でパートナーシップ制度が導入されるそうで、まずはそれを申請するつもりです。住宅の購入については、年齢が高いことや収入の安定性なども含めて金融機関に相談してみた上で、最終的には自分の蓄えを使って買う決心をしました。リノベーションについても、これまでは趣味の楽器が弾けることや見た目を中心に計画してきたのですが、心身が弱っても最期までいられるためにはどうしたらよいかを調べ始めました。

その前に、これまでなんとなく先送りにしてきた、遺言書の作成などの相続対策にきちんと取り組むことを自分への宿題にしました。面倒くさがりのパートナーに説明するのは頭が痛いですが、後になってもっと面倒なことにならないように、年長者としてしっかり話そうと思っています。

●同性パートナーに“ついのすみか”のことを相談したら… 前半の記事を読む>>

沢村 香苗/日本総合研究所 スペシャリスト

東京大学文学部卒業。同大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程単位取得済み退学。研究機関勤務を経て、2014年に株式会社日本総合研究所に入社。研究・専門分野は高齢者心理学、消費者行動論で、「高齢者の身元保証人、身元保証等高齢者サポート事業に関する調査研究」など実績多数。著書に『自治体・地域で出来る!シニアのデジタル化が拓く豊かな未来』(学陽書房)。

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