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「朝ドラの島」五島列島が50年後には無人島に? 迫りくる重大危機

Finasee / 2023年5月10日 12時0分

「朝ドラの島」五島列島が50年後には無人島に? 迫りくる重大危機

Finasee(フィナシー)

・アイスの「当たり」がなかなか出ない理由…実は国が管理していた!?

日本には魅力的な島がたくさんありますが、全部でどれくらいあるかご存じですか? 内閣府の資料「日本の離島の現況」によると、日本には有人島・無人島を合わせて6847もの島があるようです(※)。最も多くの島を持つのは長崎県でその数は971島。2位の鹿児島県(605島)に大きな差を付け圧倒的な1位となりました。

※本州、北海道、四国、九州、沖縄本島を除く

5月10日は「五島の日」です。長崎県にある五島列島にちなんだ日で、5と10で五島(ごとう)と読めることから2013年に制定されました。今日は五島列島にまつわる情報と、五島列島のような離島地域へお得に旅行できる「有人国境離島法」について紹介します。

川口春奈さんが生まれた島

五島列島は長崎県本土から西におよそ100キロメートル離れた場所にあります。五つの島と書きますが実際には129もの島々で構成されており、うち有人島は18あります。

対馬暖流の影響で温暖な五島列島はツバキの生育に適しており、良質なつばき油の産地として有名です。伝統的な特産品の「五島うどん」につばき油が使用されており、現代では資生堂の「TSUBAKI」や「アクアレーベル」などにも採用されました。

独特な風習も多い島で、中でも福江島で行われる「ヘトマト」の奇抜さは見ものです。毎年1月にふんどし姿の青年たちが女性を大きなわらじに乗せて胴上げする民俗行事で、1987年に重要無形民俗文化財に指定されました。

1月はブリやマグロなど魚がおいしい季節でもあります。奇祭ファンの方は一度ヘトマトを見に行ってみてはいかがでしょうか。

そんな五島列島ですが、近年は川口春奈さんの出身地ということで知った方も少なくないでしょう。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』や、朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』などに出演した俳優です。公式YouTubeチャンネルで五島列島に帰省する様子を配信したことでも話題を集めました。

五島列島ゆかりの有名人は川口春奈さんだけではありません。アイドルグループ「欅坂46」元メンバーの長濱ねるさんは幼少期を五島列島で過ごしており、日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』のナレーションで有名な立木文彦さんも五島列島の出身です。

【五島列島ゆかりの有名人】
・川口春奈(俳優・モデル)
・長濱ねる(俳優・タレント。元欅坂46メンバー)
・立木文彦(声優・ナレーター。『世界の果てまでイッテQ!』ナレーションなど)
・山本二三(スタジオジブリ『もののけ姫』などの美術監督)
・高嶋仁(元智辯和歌山高校野球部監督)
・ヨシノサツキ(漫画家。『ばらかもん』など)

「潜伏キリシタン」の聖地が世界遺産に

五島列島は2018年6月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産に登録されました。五島列島ではいくつかの集落が構成遺産として指定されています。

【五島列島にある「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成遺産】
・奈留島の江上集落
・頭ヶ島の集落
・野崎島の集落跡
・久賀島の集落 

出所:文化庁 文化遺産オンライン 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産

世界文化遺産登録の効果もあり五島列島の観光消費額は2018年・2019年に大きく上昇しました。しかし、2020年・2021年は新型コロナウイルスの影響で急落します。順調に推移していただけに関係者は肩を落としたことでしょう。今年は入国制限や感染症対策が緩和されつつあるので、これからに期待したいところですね。

【五島列島の観光消費額の推移】 
・2017年:122.8億円
・2018年:137.1億円(世界文化遺産に登録)
・2019年:153.2億円
・2020年:90.2億円(新型コロナウイルスの流行)
・2021年:70.9億円

※五島市、新上五島町、小値賀町の合計
出所:長崎県 長崎県観光統計

お得に旅行できる?「有人国境離島法」とは

五島列島のように都市部から遠く離れた島々の多くは人口減少の問題に直面しています。例えば五島列島の場合、2015~2020年の5年間で5000人以上もの人口が失われました(五島市、新上五島町、小値賀町の合計)。減少ペースは1年に1000人以上で、単純に考えるとおよそ50年後には五島列島に人がいなくなる計算です。

【五島列島の人口推移】

※五島市、新上五島町、小値賀町の合計

出所:総務省統計局 令和2年国勢調査 人口等基本集計

離島地域における人口減少はその島だけの問題ではなく日本全体の安全にも関わります。国境に位置する島も多く、それらの地域が無人となることは安全保障の観点から好ましくありません。また、文化の継承が難しくなる点も問題です。

そういった状況を打開するため、2017年4月に「有人国境離島法」が施行されました。安全保障などで重要な役割を持つ地域のうち特に無人化の恐れが強い地域を「特定有人国境離島地域」に指定し、該当地域における人口増加を目指す法律です。特定有人国境離島地域には五島列島を含む71島15地域が指定されました。

この法律に基づき該当地域に住む人を対象にした航路・航空路運賃の割引などが行われています。通常よりも安く船や飛行機を利用できるため、移住を促す効果が期待できるでしょう。事実五島市は2020年までに2年連続で社会増(※)を達成しました。

※社会増:人口の転出数よりも転入数が大きい状態。「自然増」は死亡数より出生数が大きい状態。

有人国境離島法のメリットは島外に住む私たちにもあります。同法では該当地域の観光事業にも交付金が出されており、各旅行会社は通常より値下げして旅行商品を販売しています。これらを利用すれば普段よりお得に旅行できるでしょう。

五島列島をはじめ日本には魅力的な島々がたくさんあります。また、特定有人国境離島地域への旅行は単なるレジャーにとどまらず社会貢献にもつながります。「コロナ明け」ともいわれつつある現在、離島への旅行を検討してみてはいかがでしょうか。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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