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「史上2人目」の女性リーダーが涙…味方おらず果たせなかった大仕事

Finasee / 2023年5月24日 12時0分

「史上2人目」の女性リーダーが涙…味方おらず果たせなかった大仕事

Finasee(フィナシー)

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4年前の5月24日、ある女性首相が辞任を発表します。辞意を表明したのはイギリスのテリーザ・メイ首相(当時)で、サッチャー氏に続くイギリス史上2人目の女性首相です。

メイ政権はブレグジット(イギリスのEU離脱)のために誕生しますが、退陣の理由もブレグジットでした。イギリスで何が起こったのでしょうか。経緯を振り返ってみましょう。

EU離脱に翻弄された不遇の政治家

メイ政権は2016年7月に誕生します。当時のイギリスは国民投票でブレグジットを決定した直後にあり、メイ首相は離脱に向けた協議を取りまとめることが大きな役割でした。

メイ首相自身はEU残留派でしたが、同じくEU残留派だったキャメロン前首相が辞任したため首相に就任しています。外相には主要な離脱派だったボリス・ジョンソン氏を任命し、離脱に向けてEUと交渉を始めました。

しかし離脱交渉は混迷を極めます。メイ首相がEUと取りまとめた離脱協定案はイギリス議会で承認を得られず3度も否決されました。イギリス議会はアイルランドとの国境管理や関税などの面でより良い条件をEUから引き出したい思惑があったと考えられています。

メイ首相は野党の取り込みを狙いEU残留もあり得る新しい提案を行いますが、与党はこれに反発。抗議のために政権を辞任するメンバーも出てしまいました。また肝心の野党もこの提案に乗らず、メイ首相は四面楚歌に陥ってしまいます。

結局メイ首相はイギリス議会から支持を取り付けることができず、2019年5月24日に辞任を発表しました。涙ながらに辞意を表明したスピーチを覚えている人も少なくないでしょう。メイ首相は政策スタンスを変えてまでブレグジットに奔走しますが、その労が報われることはありませんでした。

ブレグジットとは?

そもそもイギリスはなぜEU離脱を選んだのでしょうか。背景にはEU予算に対する拠出金の負担があったといわれています。

EUの歳入の多くは加盟国から集められる拠出金が占めています。拠出金はGNI(国民総所得)に応じて大きくなる仕組みのため、経済規模の大きいイギリスは比較的大きな負担を強いられていました。

EUに多額の拠出金を支払う一方、イギリスに割かれるEU予算は大きくありません。大和総研によると、イギリスの純拠出額(拠出金-EU予算からの受け取り)は2014~2016年の実績で200億ユーロ以上に上り、加盟国で2番目に大きかったようです。

出所:大和総研 Brexit により変革を迫られるEUの地域政策

また、移民の問題もあったといわれています。EU域内は人の移動が制限されないため、大きな経済を持つイギリスには仕事を求める移民が多く流入していました。EUに加盟している限りこれを制限することはできず、そのことに対する不満がイギリス国内にたまっていたとされています。

これらの不満を緩和することで自身の支持につなげたい思惑があったキャメロン前首相は、2013年にEU離脱を問う国民投票の実施を宣言し、2015年の総選挙時の公約にも盛り込みました。前述の通りキャメロン前首相自身はEU残留の考えを持っていましたが、イギリス国民がEU離脱を選ぶことはないと考えていたようです。しかし思惑は外れ、支持につなげるどころか辞任に追い込まれてしまいました。

後任のメイ首相もブレグジットを果たせませんでしたが、メイ政権で外相を務めたボリス・ジョンソン氏が政権を引き継ぎ、2020年1月にEUを離脱します。2020年末までの移行期間を経て、現在では完全にEU離脱を果たしました。

EUから抜けたいイギリス、加盟したいウクライナ

イギリスはEU離脱を選択しましたが、反対にEUへの加盟を目指す国もあります。昨年2月にロシアがウクライナに侵攻してからはウクライナと周辺国のジョージア、モルドバが立て続けにEU加盟を申請しました。ウクライナなどの3カ国はロシア経済に対する依存度を下げたい思惑があったと考えられています。

【EU加盟候補国の一覧】

※2023年5月時点

出所:駐日欧州連合代表部 欧州の安定と平和を強化するEUの拡大

EUは昨年加盟を申請したウクライナとモルドバについては加盟候補国として承認しました。しかし通常のEU加盟プロセスでは時間がかかり過ぎると懸念されています。例えば加盟候補国のトルコは1987年に加盟を申請しますが、交渉の開始は2005年まで待たねばなりませんでした。

フランスはウクライナが迅速に加盟できるよう「簡易版EU」の設立を提唱しますが、実現は不透明です。また、あくまで別の組織でありウクライナがEUに加盟できるわけではないことから設立の意義を疑問視する声もあります。

EUはウクライナを助けられるのでしょうか。世界の目がヨーロッパに集まっています。

【EU加盟国の一覧】

※イギリスの加盟は1973年、離脱は2020年

出所:外務省 EU加盟国

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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