話題の「家族代わり」サービスは危険? 注意点と準備しておくべきこと
Finasee / 2022年7月5日 11時0分
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Finasee(フィナシー)
身元保証事業を利用する際の注意点
身元保証事業というのは、これまで家族・親族が提供してきた支援を、有償で引き受けるものです。家族・親族がいたとしても遠方に住んでいて頼れないことや、他人にお金を払ってサービスを受ける方が気楽という人も増えてきています。
●身元保証事業のもっと詳しい内容はこちら>>
一方で、家族・親族がしてくれるようなことを契約にし、その対価を払い、満足のいくように利用するのは決して簡単なことではありません。その難しさは以下のようなものです。
サービス内容の複雑さサービス内容全体としては事業者ごとに大きな差はありません。ただし、サービスをどのようにパッケージ化するかは事業者ごとに違っています。例えば「身元保証サービス」というカテゴリーが含むサービスの範囲は、入院や入所の際の身元保証人としての働きだけを含んでいる場合、生活支援も含んでいる場合、さらに金銭管理や支払い代行も含んでいる場合があります。
また、課金の方式も事業者によって異なります(月額か一括かなど)。各事業者は利用者に分かりやすいように、また支払いがしやすいように独自の工夫をしているのですが、利用者にとっては事業者の比較検討がしにくいことや、結局全体でいくらかかるかの見通しが立ちにくいことになってしまうのです。
サービス利用中の不満契約した後は、呼んだときに来てくれなかったとか、ちょっとしたことを頼んだだけなのに高額な料金が発生した、などの「思ったようなサービスではない」ことがよくあります。ただ、事業者が悪いかというとそうとは限らず、いつでも無料で対応してくれる家族と比べるとこのように感じられがちだという一面もあります。「家族代わり」という言葉はとても魅力的ですが、同時に危険でもあります。理想化した家族の姿をそのまま事業者に期待し、何でも安価でしてくれると思ってしまうからです。
これらのことを踏まえて作られたのが、「『身元保証』や『お亡くなりになられた後』を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ」というパンフレットです。厚生労働省の調査(日本総合研究所が実施)の中で検討・作成されたもので、厚生労働省の通知や消費者庁の事務連絡によって地方自治体への周知が行われているものですが、個人向けのメッセージとなっていますので、機会があればご覧ください。
前半の記事で書いたように、身元保証事業にはまだ決まった定義がありません。あくまで、契約に基づいて自分のしてほしいことを有償でしてもらうという、非常に原始的な状況であるといえます。つまり、自分のしてほしいことは何なのか、いくら支払うことができるのかをよく見極めて、事業者との契約を行うことが消費者側にも求められます。
「老後の不安を解消したい」「いざというときに頼りたい」といったレベルではなく、老後の何が不安なのか、いざというときはいつなのか、何を助けてほしいのか、という点を具体化し、身元保証事業者がそれに対応してくれるのか、いくらかかるのかを確認していかねばなりません。
また、契約をしたら、自分が意思表示できない状態になっても(つまり「いざというとき」)、この契約があることが人に分かるようにしておくことが必要です。身元保証事業者の多くは、緊急時の連絡カードを用意し、それを家に掲示したり財布に入れておいたりするよう推奨しています。
文蔵さん(60歳男性)の決意検索して見つけた資料を読んで、文蔵さんはまず自分の要望を整理する必要があることに気づきました(詳しくは前半の記事)。以前の経験で、入退院については何に困りそうか具体化ができます。それ以外のことについても明確化しておかねばなりません。
考えていても分からないので、両親が介護施設に入所するときはどうだっただろうか、これから亡くなったとき自分たちが何をしなければならないのかといったことを、妹たちと話してみた方がいいかなと思い始めています。娘の住むオランダではどうなっているのかにも興味があります。話題は明るくはありませんが、大仕事だと思うと少し張り切るような気持ちにもなってきました。
●10年前に妻を亡くし孤独…文蔵さんの切実な老後の不安 前半の記事を読む>>
沢村 香苗/日本総合研究所 スペシャリスト
東京大学文学部卒業。同大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程単位取得済み退学。研究機関勤務を経て、2014年に株式会社日本総合研究所に入社。研究・専門分野は高齢者心理学、消費者行動論で、「高齢者の身元保証人、身元保証等高齢者サポート事業に関する調査研究」など実績多数。著書に『自治体・地域で出来る!シニアのデジタル化が拓く豊かな未来』(学陽書房)。
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