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「掃除してから出勤してほしい」―50歳女性の脳裏に「離婚」の2文字がよぎった瞬間

Finasee / 2022年9月14日 11時0分

「掃除してから出勤してほしい」―50歳女性の脳裏に「離婚」の2文字がよぎった瞬間

Finasee(フィナシー)

「離婚しても私は1人で生活していけるでしょうか」

夫婦問題を扱うFPである筆者の事務所には、このようなお問い合わせは少なくありません。今回ご紹介する、会社員の戸田郁美さん(仮名、50歳)も、夫と離婚しても経済的に問題なく老後も生活できるのか知りたいとのことでご相談に来られました。

嫌いではないが、今後の人生は一緒に歩めない

郁美さんに現在の夫婦状況をうかがったところ、夫のことが大嫌いというわけではないようです。ただ、高校生の息子の大学入学も決まり、教育費の目処もついたところで、今後の人生を考えた時、夫と一緒に過ごす人生は考えられないと言います。

郁美さんが離婚を考えるようになったのは、コロナがきっかけでした。夫は在宅ワークが増え、郁美さんが会社から帰宅すると、夫は必ず家にいます。しかし、洗濯物は干しっぱなし、もちろん、掃除機をかけてくれた形跡はありません。

通勤時間がない分、時間はあるはずなのですが、それを指摘しようものなら「家を掃除してから出勤してほしい」と、逆に掃除をお願いされる始末です。郁美さんは、掃除をしてから出勤したこともあったようですが、帰宅するなり「廊下がきれいになってなかった、俺が掃除しておいたから」の一言。郁美さんも「ありがとう」と言える心の余裕はなく、無視でかわします。

結婚して約20年――これまでも、郁美さんは今まで正社員として働きながら家事・育児をこなしてきましたが、夫から感謝されたことはなかったと言います。そんな日々の小さな不満が、コロナをきっかけにいよいよ確実な不満へと変わっていき、離婚を考えるまでに至ったようです。

とはいえ、離婚しても1人で生活していくことはできるのか、特に老後の生活が不安とのことで、筆者の元にご相談にいらっしゃったのです。

離婚後の生活設計をイメージする

筆者は、離婚しても1人で生きていけるかを見極めるために、キャッシュフロー表を作成しています。細かなお金の話をすることで、意識していなかった支出が数字になって現れ、離婚後のお金の現実を見ることができます。

※キャッシュフロー表とは、一定期間(一般的には1年単位)の家計の全収入と全支出から、増減する貯蓄残高を把握し、老後など将来の資金シミュレーションのために用いられる。

支出「1人なら生活費もそれほどかからない」だと甘い!?

自分1人なら生活費は、それほどかからないと思っている人は多いのですが、支出を確認していくと、想像以上にお金がかかることに気づくケースも多いものです。郁美さんもそのパターンで、生命保険料や医療費、今は夫が負担している光熱費や自宅の通信費など、あらためて支出を1人で負担する大変さを感じたようです。ただ、働いている間は“足が出る”ことはなさそうです。

そうはいっても、働いている間にも“不測の事態”はありえることは念頭に置いてほしいところです。例えば、お子さんの大学の学費は準備済みとはいえ、準備額以上の学費が発生すると、郁美さんには負担する余裕はありません。したがって、予想以上に学費がかかった場合は、夫や子ども自身に負担してもらうなど対応を考えておく必要はあるでしょう。

ただ、さらに重要なのは、郁美さんご自身も今回の相談のポイントに置いている、定年を迎えた後の収支です。後編で解説していきます。

後編へ続く >>

 

前田 菜緒/ファイナンシャルプランナー

FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。

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