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「鉛筆の音がうるさい」高齢男性が図書館で勉強する学生に驚きの行動

Finasee / 2022年9月2日 11時0分

「鉛筆の音がうるさい」高齢男性が図書館で勉強する学生に驚きの行動

Finasee(フィナシー)

空白の時間

彩子さん(仮名、50歳)は金融関係のシステム会社に勤めるシステムエンジニア。新卒から同じ会社に勤めており、現在は40人の部下をまとめる管理職です。30歳の時に一度結婚しましたが、3年後に離婚して以来、おひとりさま。実家は3駅離れた隣町にあり、弟夫婦が母親と二世帯住宅で暮らしています。

久しぶりの長期休暇、彩子さんは仲間と趣味の登山に出掛けることを楽しみにしていました。しかし、仲間のうち数人が新型コロナウイルス感染症のために行けなくなり、彩子さんも予定を取りやめざるを得ませんでした。

ぽっかりと空いてしまった時間に何をしたらいいか、彩子さんには見当もつきません。とりあえず近所の図書館に行ってみると、たくさんの高齢の男性が新聞や本を読みふけっています。受験勉強をする学生の鉛筆の音がうるさいと叱りつけている人もいて、普段図書館に来ることのない彩子さんは少し驚きました。

おひとりさま高齢者の時間の使い方

総務省統計局が行っている社会生活基本調査(2016年)は、国民の社会生活の実態を把握するために、生活時間の配分や余暇時間での主な活動の状況を5年ごとに調べています。

65歳以上の高齢者の「仕事等(通勤・通学・仕事・学業)」に使う時間が男性で2時間7分、女性が55分で、前回の調査から少し増えていました。また、仕事を持っている割合も男性は38.3%、女性は21.0%で、やはり前回調査と比べて約3%増えていました。家事に使う時間はわずかではありますが減っていて(男性36分、女性2時間52分)、高齢になっても仕事を続ける人が多くなっていることがうかがえます。

また、睡眠時間を除いた時間に何をしているかというと、65歳以上の高齢者は家族といた時間が6時間27分、1人でいた時間が6時間15分で、それ以外の人といた時間は1時間半程度です。

特に注目を集めた結果は、1人暮らしの高齢者が睡眠時間を除くと11時間18分、1人で過ごしていたというものでした。

高齢になると、もっぱら家の中や家族と共にいることが多く、家族のいない人は1人でいるという生活の様子が分かります。

日本では相談し合ったり、病気のときに助け合ったりする高齢者の割合が低い

内閣府が行った高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(2020年)では、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの高齢者の生活を比較しています。

日本の高齢者の特徴としては、同居の家族以外に頼れる人として友人や近所の人を挙げる割合が低いことがあります。同居の家族以外に頼れる人はいない、と答えている人も男性では2割もいます。近所の人との付き合いがないわけではないのですが、外でちょっと立ち話をする程度が多く、相談事があったときに相談したり相談されたりするとか、病気のときに助け合うということはあまりないようです(ちなみにスウェーデンの高齢者も似たような傾向を持っています)。

同じく内閣府が行った高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(2021年)では細かな分析がされていますが、1人暮らしの人は近所の人とあいさつは交わすものの、立ち話や物をあげたりもらったりするようなことは、同居者がいる人と比べて少ないという結果が出ています。また、人との付き合いがないと感じる(孤独・孤立感がある)人が4割、取り残されていると感じる人が25%程でした。

●孤立は健康をも害し孤独死につながる…? 後半へ続く>>

沢村 香苗/日本総合研究所 スペシャリスト

東京大学文学部卒業。同大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程単位取得済み退学。研究機関勤務を経て、2014年に株式会社日本総合研究所に入社。研究・専門分野は高齢者心理学、消費者行動論で、「高齢者の身元保証人、身元保証等高齢者サポート事業に関する調査研究」など実績多数。著書に『自治体・地域で出来る!シニアのデジタル化が拓く豊かな未来』(学陽書房)。

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