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50代女性「こんな毎日が続くのか」図書館で時間つぶし…孤独死の恐怖

Finasee / 2022年9月2日 11時0分

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Finasee(フィナシー)

●高齢者の4割が「人との付き合いがない」事実… 前半の記事はこちら>>

英国では高齢期の孤独が国レベルでも注目されている

英国は2018年に孤独問題担当国務大臣を任命して、世界に驚きを与えました。高齢者について、転倒予防や認知症といった問題に対処するための対策だけでなく、孤独・孤立への対策も始まっています。

社会的孤立は1日15本の喫煙と同じくらい健康に害があるという研究結果もよく紹介されており、健康問題の1つとして捉えるようになっています。「孤独を終わらせる」キャンペーンのHPによると、電話やSNSで友達と連絡したり、新しいつながりを作るために時間を使ったり、深いつながりだけでなく店員やバス停で会った人とちょっとしたあいさつをすることや、SNSで新しい友達を作ることなどが提案されています。

特に男性に向けての取り組みとしてオーストラリアで始まった「Men’s Shed」は、男性同士のコミュニケーションはface to faceではなくてshoulder to shoulderだ、という考え方で、一緒の小屋(shed)でものづくりをする中でつながりが生まれることを目指しており、英国をはじめヨーロッパにも広がっています。

孤独死・孤立死にははっきりした定義はない

日本で孤独死が初めて注目されたのは1970年代です。当時はまだ、家族が高齢者の世話をし、最期も家で亡くなることが多い時代でした。そんな中で、都会では誰も見守る人がいない状況で亡くなる人がいる、ということがショッキングなこととして受け止められたようです。

今や高齢の1人暮らしは普通のことになりつつあり、家で1人で亡くなることがそのまま「よくないこと」とは受け止められなくなっています。1人でいること=孤独は悪いことではないけれど、社会との接点を失った結果、死後長期間誰にも気付かれないようなことは避けるべきだという考え方で「孤立死」として呼び分けられています。ただし、長期間というのが何日なのかがはっきり決まっておらず、また多くの自治体では、1人で亡くなった方について、どのくらい経過して発見されたのかを確認するすべもないので、はっきりした実態は分かっていないのが現状です。

50歳おひとりさま女性が考える今後

彩子さん(仮名、50歳)が図書館でいろいろな雑誌や新聞を読みあさって、ふと気付くとお昼になっていました。ランチを食べながら、これからの休暇をどう過ごしたらいいか、と考えつつも、退職したらこんな毎日が続くのかと想像し、少し怖くなってしまいました。普段忙しく過ごしていると悠々自適という響きに憧れますが、図書館で学生を叱りつけていた男性の姿を見ると、そうきれいなものではないのかもしれません。

雑誌や新聞で読むと、主に男性が孤立しがちのようですが、仕事に多くの時間を割いて、普段の友達付き合いや地域での活動がとても少ないという意味では彩子さんも同じです。趣味の山登りは楽しく、仲間はたくさんいますが、何かのきっかけで山に行けなくなったら今のようにいきなり暇になってしまいます。一日のほとんどを1人で過ごし、困ったときには頼る人がいない、そんな「悠々自適」はごめんだ、と彩子さんは強く思いました。

50代を超えても再婚する人は結構いるようだし、パートナーが誰かいたらいいなという気持ちはずっとあります。婚活サイトも以前に比べるとかなり増えています。試しに検索してみると、介護の話が前面に出ていたりして、夢がないなあと彩子さんは少し笑ってしまいました。

地域のボランティア活動には今まで参加したことがありませんでしたが、将来自分がお世話になるかもしれないし、説明だけでも受けてみようという気になってきました。

●彩子さんが驚いた高齢男性の図書館での行動とは… 記事はこちら>>

沢村 香苗/日本総合研究所 スペシャリスト

東京大学文学部卒業。同大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程単位取得済み退学。研究機関勤務を経て、2014年に株式会社日本総合研究所に入社。研究・専門分野は高齢者心理学、消費者行動論で、「高齢者の身元保証人、身元保証等高齢者サポート事業に関する調査研究」など実績多数。著書に『自治体・地域で出来る!シニアのデジタル化が拓く豊かな未来』(学陽書房)。

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