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「日本で投資するより高利回り」のうたい文句はワナ!? 「オフショア投資」の恐ろしい盲点

Finasee / 2023年1月23日 11時0分

「日本で投資するより高利回り」のうたい文句はワナ!? 「オフショア投資」の恐ろしい盲点

Finasee(フィナシー)

〈前編のあらすじ〉

石田道代さん(仮名・63歳)は、補整下着や化粧品の販売の会社を経営する女性。1億円近い資産を持ち、「もう働からなくてもいいか」と思う反面、仕事をしているといろいろと“しがらみ”もあるそうで、「簡単にはやめられない」と経営を続けています。

そんな道代さんに、持ちかけられた「“理論上”、確実にもうかる」投資話。道代さんとしては、投資してみたい気持ちもある一方で、「大丈夫だろうか……?」という不安もあり、FPに相談することに。

その投資話とは、「スポーツブックアービトラージ」という投資スキームのようでした。これは、グレーな要素も多い危険なスキームで、FPとしてはやめておくよう説明するほかありませんでした(詳細は前編『60代女性が持ちかけられた“グレーな投資話”「驚きのロジック」』にて解説)。

ただ、話を聞いていると、今回の相談の目的であった「スポーツブックアービトラージ」以前にも、なかなか危なげな投資に手を出していることが判明。

それはどんな投資なのでしょうか――。

さらに驚くべき事実が発覚…!

自分ひとりで長年事業を営んできた道代さんには、一般の人にはない「リスクテイカー」の側面があるようです。「高いリターンを得たいと思えば高いリスクを取るべき」という考えが根底にあることがうかがえます。

実はスポーツアービトラージの投資話の前に、道代さんは海外のオフショアファンドに5000万円ほど投資していたことが、お話をうかがっている中で発覚しました。

オフショアファンドとは、香港やシンガポールなど日本に比べて税金が安い国や地域(タックスヘイブン)で設立されたファンドを指します。多くの場合、海外の金融機関を通じて購入します。こうしたオフショア投資は日本の金融機関で海外投資信託などを買うよりも、高利回りが期待できるといわれています。

道代さんは知人の勧めで、ここでもさまざまなリスクを理解せずに始めてしまったようです。特に途中解約では元本割れするかもしれない点を後で知り、「多く預けすぎた」と後悔したのだとか。

この海外投資に関しては投資助言・代理業の会社を通じて投資しているようで、おそらく違法ではないと考えられます。しかし、このオフショアファンドの金融機関が破綻するなどのトラブルがあっても、少なくとも日本の法律での投資家保護は適用されません。また、ファンドが満期になったり売却したりして運用益が出た場合、日本において課税されます。

同じリスクを取れるなら、日本の金融機関の商品ラインナップから選べば十分

海外投資には「日本では買えない金融商品が買える」という勧誘フレーズがつきものです。確かに日本の金融機関で買えない商品はありますが、そのような商品でなければ資産形成できないわけでもありません。

海外の商品に直接投資をしなくても、日本の金融機関を通じて海外への投資は可能です。オフショア投資へのリスクが許容できるなら、日本の金融機関が取り扱うハイリスクハイリターンな金融商品に投資することもできるでしょう。

特に投資対象の内容が理解できない状況での海外投資は、運用以外のリスクまで負うことになります。そのようなリスクを負うくらいなら、日本の金融機関で投資をしたほうがずっと合理的ではないでしょうか。

「そういえば、今まで証券会社で株や投資信託を買うことはほとんどありませんでした。日本でもお金を増やせる商品があるんですね」

と驚いた表情の道代さん。

道代さんには余裕資金を積極的に増やしたいという気持ちはありますが、投資をするために最低限必要な知識が不足しています。

“まとまった資産を投資で増やしたいけれど知識がない”状態の人には、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の活用がおすすめです。IFAは資産運用の専門家で、顧客の意向に寄り添った中立的な投資提案をしてくれます。大手ネット証券と業務委託契約を結んでいるIFAであれば、豊富な取扱商品から最適な組み合わせを考えてもらえるでしょう。道代さんには地元のIFAを紹介したところ、希望するハイリターンな運用を提案してもらえたと喜ばれました。

怪しい投資話を疑わない人もいる

このような投資話を最初から相手にしない人も多いでしょう。また、道代さんのようなケースを「(怪しげな投資話に)引っかかるなんて……」と冷ややかに見る人もいるかもしれません。

しかし、世の中には投資詐欺の被害を受けた人が集団訴訟を起こすなどのトラブルもしばしば起こっています。そして、そうしたトラブルは後を絶ちません。日本では投資についての知識がないために、勧められた投資話のリスクに気づかない人も少なくないのです。

成年年齢の引き下げなどに伴い、金融リテラシーの重要性が認知されるようになりました。NISA拡充などもあり、これからは誰もが投資によって資産を育てていくことが推奨され、投資の機運は高まるでしょう。そのためにも、まずは怪しい投資話に乗らないような最低限の投資の知識を身に付けたいところです。

心配なことがあれば、すぐに話に乗らず一呼吸置き、FP相談はじめプロも積極的に活用してほしいと思います。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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