「世界に高評価」のワイン、輸出・国内消費ともに急減で危機的状況
Finasee / 2023年2月2日 7時0分
Finasee(フィナシー)
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2月2日は「南アフリカワインの日」です。1659年2月2日に南アフリカで初めてワインが作られたことに由来し、食品や酒類の卸売業を手掛ける国分グループ本社株式会社が制定しました。
ワインといえばフランスやイタリアのイメージが強いですが、実は南アフリカも主要な生産国の1つで、世界で8番目に多く生産しています。
【2021年のワイン生産量(リットル)】
OIV「STATE OF THE WORLD VINE AND WINE SECTOR 2021」より著者作成拡大画像表示「新世界ワイン」の代表格
南アフリカのように、ワイン生産の歴史が比較的新しい国のワインを「新世界ワイン」といいます。新しいといっても、南アフリカのワイン作りは日本が江戸時代の頃から始まっており、その歴史はおよそ350年にも及びます。南アフリカワインは、新世界ワインの中でも歴史の深いワインといえるでしょう。
南アフリカのワインは、主にウェスタン・ケープ州を中心とした沿岸部で作られます。気候や土壌がブドウ栽培に適しており、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンなど、さまざまな品種でワインが作られています。
1920年代には、南アフリカ固有の品種としてピノタージュも誕生しました。ピノ・ノワールとサンソーを人工交配させた黒ブドウで、ピノタージュで作られる赤ワインは国際的に高い評価を得ています。
南アフリカにおいて、ワインは主要な産業の1つに数えられます。農産物輸出品ではワインが2番目に多く、全体の7.7%を占めました。皆さんも「KWV」とラベルに書かれたワインを見たことがあるのではないでしょうか。南アフリカの代表的なワイナリーで、同社のワインは世界中で販売されています。
【南アフリカの農産物輸出上位5品目(2018年)】
1.オレンジ:8.12億ドル(シェア:8.0%)
2.ワイン:7.81億ドル(同7.7%)
3.ぶどう:5.38億ドル(同5.3%)
4.とうもろこし:4.52億ドル(同4.5%)
5.調整食料品:4.23億ドル(同4.2%)
出所:農林水産省 南アフリカの農林水産業概況
干ばつに禁酒令…未曽有の危機に直面する南アフリカワインブドウ生育の条件に恵まれた南アフリカですが、近年は干ばつで厳しい環境が続いています。干ばつは2015年ごろから大規模になり、同国の農業は大きなダメージを受けました。特に2018年から2019年は、アフリカ南部の広い地域で1981年以降最少の降雨量を記録するなど、深刻な被害が生じます。これらを受け、南アフリカはワインの輸出量が大きく減少しました。
【南アフリカのワイン輸出量(リットル)】
Wines of South Africa「SOUTH AFRICAN WINE INDUSTRY STATISTICS」より著者作成拡大画像表示
さらに南アフリカ国内においても、ワイン消費量が急減する事態となりました。新型コロナウイルス感染者が急増したため、南アフリカ政府が酒類の販売を禁じる厳しい処置を下したのです。南アフリカ国内のワイン消費量は2020年、前年比で2割以上減少してしまいました。
【南アフリカのワイン消費量(リットル)】
OIV「STATE OF THE WORLD VINE AND WINE SECTOR 2021」より著者作成拡大画像表示
2021年は輸出と国内消費の双方が伸びていることから、南アフリカワインは危機から脱しつつあることがうかがえます。しかしアフリカ地域の干ばつは慢性的に起こっており、また新型コロナウイルスの終息は依然見えません。今後も厳しい環境が続く可能性は十分にあるでしょう。
南アフリカワインは、比較的価格が安く、コストパフォーマンスに優れるとよく評価されています。応援するためにも、今日は南アフリカワインで乾杯してみてはいかがでしょうか。
経済成長、人口増加が予想される新興国市場南アフリカのような新興国は、投資対象としても魅力的です。一般に先進国よりも経済成長の余地が大きく、投資すればその恩恵を受けることができるでしょう。IMFの「世界経済見通し(2022年10月)」においても、多くの新興国地域で先進国を上回る経済成長が起こる予想が示されました。
【新興国地域の米ドル建てGDP見通し(2021年=100)】
IMF「世界経済見通し(2022年10月)」より著者作成拡大画像表示
新興国の経済成長を支える要因として、人口の増加があります。国際連合の「世界人口推計2022」によると、新興国の人口は2050年までにおよそ26%増加するとみられますが、先進国はやや減少する予測が立てられました。
【世界人口の予測(2022年=100)】
国際連合「世界人口推計2022」より著者作成拡大画像表示
これらから、新興国地域は長期的に経済成長する可能性が高く、投資する妙味がありそうです。
ただし、新興国の多くは金融市場の規模が小さく、値動きは比較的大きくなるでしょう。また紛争や政変といった地政学リスクが高く、顕在化した際は大きな値下がりが予想されます。新興国への投資は、ポートフォリオの一部にとどめておく方がいいかもしれません。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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