父の遺産で豪遊する継母…「ゴミ屋敷だけ」相続させられた息子の末路
Finasee / 2023年1月26日 11時0分
![父の遺産で豪遊する継母…「ゴミ屋敷だけ」相続させられた息子の末路](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/finasee/finasee_11661_0-small.jpg)
Finasee(フィナシー)
埼玉県在住の内藤隆史さん(仮名、51歳)は妻、大学生の長男、高校生の次男の4人家族。内藤さんは実母の死と父親の再婚をきっかけに実家とは疎遠になっていました。数年前、父親がアルツハイマー型認知症を患い介護施設に入居。その際に、内藤さんは継母に対しある話をしました。
軽い注意喚起のつもりで口にしたその言葉を、内藤さんは父親の死後になって深く後悔することに。通夜と告別式を終えた後、会食の席で継母がいきなり信じられないことを切り出したのです……。
●「深く後悔…」内藤さんが継母にした話とは?
前編:「認知症の父」の財産を継母が横取り!? 息子が引き下がった“深い理由”
認知症で亡くなった父の通夜や葬儀を終え、私の家族と精進落としの料理を囲んだ席で継母が言い放った一言は強烈でした。
「お父さんの財産はほとんどないから、当てにしないで」
あぜんとした私の隣で妻がやんわりと「まだ葬儀が終わったばかりですし」と返しましたが、その場を取り巻く緊迫した空気が変わるものではありません。「役所の手続きもあるから、来週また家に行くよ。詳しい話はその時にしない?」と何とかその場を収めました。子供たちにまで、きな臭い話を聞かせたくなかったからです。
翌週、実家を訪れた私を待っていたのは、更新したばかりと思われる父名義の預金通帳2冊。中身を見ると、両方を足しても葬儀代程度の残高しかありません。「お父さんの預金はこれだけ。後は私名義の預金だけれど、それは私が自分の年金をためておいたものだから、関係ないわよね?」。継母は一方的に言い立てました。さらに、同じ町内に住む継母の妹から紹介されたという司法書士の名刺を出してきて、「この人に手続きを頼もうと思うのよ。妹の同級生なんだけど、うちの母が亡くなった時もとてもよくしてくれたというから」と続けたのです。
準備万端とはまさにこういうことだな、と思いました。継母は父が不在の間、父亡き後の承継プランを着々と立てていたのでしょう。
父の預金を自分名義の通帳に移し替えていた?私が父から相続するのは自宅不動産のみ。さえない地方都市の100坪ばかりの土地と築40年の家屋など、資産価値はたかが知れています。むしろ、継母が足を悪くしてからほとんど掃除もしていない2階などはほとんどゴミ屋敷状態で、後片付けを考えると気が重くなりました。継母は自分の実家に戻って妹と暮らすと話していたので、早めに処分しないと、その間は固定資産税を支払い続けなければなりません。
それにしても、です。25年前に父がリタイアした時には3000万円ほどの退職金があったと聞きました。父はその後も数年にわたって町の教育長などを務めており、当時の収入や退職金もあったはずです。年金収入も、月額25万円は下らなかったと思います。いくら仲間とのゴルフや旅行で散財したといっても、父の財産がわずか数百万円というのは解せない話です。
恐らくは継母が父の預金を何度かに分けて引き出し、自分名義の通帳に移し替えていたのでしょう。そして、そのきっかけとなったのが、私が継母に伝えた「認知症だと分かると、父のお金が自由に使えなくなる」という言葉だったのは想像に難くありません。いくら同僚からさんざん愚痴を聞かされていたとはいえ、あの時、不用意にあんな話を継母に聞かせるべきではなかったのです。いくら悔やんでも悔やみきれません。
私たち夫婦や子供たちが将来地元の栃木に戻ることはないでしょうから、今後は“家じまい”だけでなく、祖父母や父母が眠る“墓じまい”もする必要が出てきます。となれば、数百万円単位の出費を覚悟しなければならないでしょう。父の遺産が当てにできないとすれば、“全額自己負担”です。わが家は共働きですが、下の息子はまだ高校生ですから、あと5年ほどは教育費もかかります。
相続税の不安はないものの…継母の姿にモヤモヤ若い頃に会計事務所に勤務していた妻は、「信頼できる税理士の先生を紹介するから、先生を交えてお母さんと話し合ってみたら」と言います。しかし、父との関係性や、これまで父の世話を継母任せにしてきたことを考えると、私の立場から強く言えることでもありません。
加えて、わが家の場合、相続税の基礎控除(3000万円+〈相続人の数×600万円〉)は4200万円になりますから、課税対象となるのはそれを超える金額です。さすがの継母も3000万~4000万円単位のお金をごっそり移し替えてはいないでしょうから、相続税の申告をしなくても、後で税務署の“お尋ね”が来ることはないはずです。そう思って、継母の言うままに件の司法書士から送られてきた遺産分割協議書にサインして実印を押し、返送しました。
あれから1年半。案の定、継母はさっさと自分の実家に引き上げ、昨夏の父の一周忌にも「体調が悪いので出席を控える」と姿を見せませんでした。しかし、地元に住む叔母(父の妹)の情報によると、婦人会のコンサートや歌舞伎の鑑賞会に顔を出したり、妹と海外旅行に出かけたりしているようです。頑固な父の介護から解放され、セカンドライフを謳歌しているのでしょう。
身から出たさびではありますが、釈然としない思いを抱えながら月に1度、実家の片付けに通う昨今です。
●資産家一家で骨肉の相続トラブル! 詳しくは【「金持ち」高齢男性、相続税対策で孫を養子にするも…まさかの大失敗】で紹介します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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