売れ筋が米国ファンドの影響か? 知名度より「信頼」への評価が高まる
Finasee / 2023年1月31日 19時0分
Finasee(フィナシー)
投資信託をはじめ金融商品の販売関連業務に携わる読者を持つ金融リテール専門誌『Ma-Do』が実施した「運用会社ブランドインテグレーション評価2022」で、販売会社は運用会社に「信頼」に対するブランド価値を求めていることが分かった。2022年の回答では、「世間における知名度がある」という項目について、本部が前年54.5%に対し今年33.6%に、支店では前年62.6%が今年40.7%と大きく評価ポイントを落とした。特に支店では、前年調査で「知名度」はトップの項目だったものの今年は2位に沈んだ格好だ。代わりに評価ポイントを上げたのは「信頼ができる」で、本部では前年67.3%が今年85.3%に、支店は前年54.9%が今年75.4%になっている。
「運用会社ブランドインテグレーション評価」は、投信販売会社が運用会社を評価する調査で、運用会社について「運用力」「商品開発力・企画力」「営業担当者・研修担当者の質」「サポート力」「ブランド力」「ガバナンス」の6つの軸で評価してもらい、得点順にランキングした。2022年調査は9月~10月にWEBで実施し、国内外の運用会社36社を評価の対象とし、310件の回答を得た。
米国系の運用商品が販売の主力に販売会社にとって商品の持つブランド力は、形のない投資信託という商品を説明する上で一番難しい「信頼」の裏付けとして重要な意味がある。国内の多くの運用会社は、「三井住友」や「三菱UFJ」、あるいは、「野村」や「大和」といった国内の大手金融グループのブランドを持っている。それぞれの金融機関が国内で数十年、あるいは100年におよぶような長期を通じて培ってきた信頼のブランドだ。これが外資系運用会社になると、「ゴールドマン・サックス」や「HSBC」など国内系と同様に金融グループのブランドを掲げる運用会社に加えて、「フィデリティ」や「アライアンス・バーンスタイン」など運用会社を起点として大きく成長したブランドがある。国内系に比べると海外の運用会社は、「名前を聞いたことがある」という知名度では劣るのかもしれない。特に、資産運用をしたことがなかった初心者にとっては、海外ブランドは縁遠い存在といえる。
2022年のブランドインテグレーション評価をみると、名前を聞いたことがあるというような「世間における知名度」の重要度が低くなった。これは、銀行や証券会社といった販売会社を通じて販売される投信の人気商品が「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」や「フィデリティ・世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)」のような外資系が運用するファンドに偏ったことが影響しているように感じられる。2021年12月末までの米国を中心とした成長株の値上がりの大きさと2022年前半まで続いた影響が起因している。当然、外資系が運用する商品の販売が多くなれば、知名度よりも運用実績や客観的なデータに基づく評価など「信頼できる」ことを重要視する傾向は強くなるだろう。
知名度のある大手に需要が傾斜か?2022年には「ブランド力」を評価する項目のひとつに「歴史がある」を加えたが、こちらは「特長や運用哲学を良く理解している」という項目と並んで、評価の2番手グループになった。「特長のわかりやすさ」などはどちらかといえば、規模が小さくて特定の分野を注力・強化しやすい中堅以下の規模の運用会社の特徴になり、「歴史がある」ということも現在の規模の大小にはあまり関係のない項目だ。これらの評価が、30%台程度にとどまるのは、販売会社の間では、長年の環境に耐えてきた独特の運用手法等で特徴が際立った商品よりも大手で知名度のある運用会社のオーソドックスな商品の需要が強いという傾向があるのかもしれない。
なお、2023年になって米国経済にリセッション懸念が高まり、米国株式市場の見通しが厳しいものになっているため、2022年までのように米国系のファンドが投資家にアピールしやすい環境ではなくなる。このような変化が、運用会社のブランドに対する評価に、どのような影響を与えるのか興味深い。
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