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「ロールス・ロイス」がまさかの経営破綻…王室御用達の世界的高級車

Finasee / 2023年2月4日 11時0分

「ロールス・ロイス」がまさかの経営破綻…王室御用達の世界的高級車

Finasee(フィナシー)

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高級車の代名詞「ロールス・ロイス」は、1906年にイギリスで誕生しました。一流の自動車メーカーとして世界で認められており、多くの王室や政府専用車に採用されています。ボンネット先端部のエンブレム「スピリット・オブ・エクスタシー」は、世界で最も有名なトレードマークの1つといえるでしょう。

しかし、そんなロールス・ロイスも、実は経営破綻を経験しています。名門自動車メーカーに何が起こったのでしょうか。

高級外車の代表格がまさかの経営破綻

ロールス・ロイスは、チャールズ・スチュアート・ロールズとフレデリック・ヘンリー・ロイスが共同で設立しました。当初から良質なエンジンを開発し、初期に発表した「シルバーゴースト」が高く評価されことから、同社の名は世界に知られるようになります。

しかし1971年2月4日、ロールス・ロイスは経営破綻してしまいました。理由は、第2次世界大戦中に参入した航空機エンジンの開発事業でした。ロッキードに納入する予定だった「RB211エンジン」の開発がうまくいかず、損失が拡大したことから破綻に追い込まれます。

ロールス・ロイスは経営破綻を機に、航空機エンジン部門と自動車部門に分裂しました。前者は国有化(1987年に民営化)され、後者はフォルクスワーゲングループ、その後にBMWグループへと譲渡されます。

もっとも、他の自動車グループ傘下となった今も、ロールス・ロイスのステータスに揺らぎは見られません。また航空機エンジンメーカーのロールス・ロイスも、業界大手の地位を占めています 。失敗してもトップクラスの座に返り咲くところが、ロールス・ロイスが一流たるゆえんなのかもしれません。

MRJは撤退…国産ジェット機「ホンダジェット」は大丈夫?

ロールス・ロイスを破綻に至らしめた航空機開発は、近年日本でも機運が高まっています。特に2008年に発足した三菱航空機の「MRJ」は、国産初のジェット旅客機になるかと期待されていました(MRJは2019年に「スペースジェット」へ名称を変更)。

しかし、残念ながらMRJは、旅客機の採用に際して求められる「型式証明」を現在まで取得できていません。親会社の三菱重工業は、2020年10月発表の事業計画で航空機開発事業の凍結を発表し、事実上撤退します。

MRJは頓挫しますが、本田技研工業の「ホンダジェット」は順調に開発が進みました。MRJより小型で、ビジネスジェット機(いわゆるプライベートジェット)としての運用を想定した航空機です。

本田技研工業は1986年から航空機の研究に着手し、1997年にホンダジェットの特徴である「翼上エンジン」という着想を得ました。従来のビジネスジェット機が胴体後部にエンジンを搭載するところ、主翼の上にエンジンを配置することで、室内スペースを広く取れるほか、騒音と振動を低減でき、さらに空気抵抗の減少により飛行速度や燃費が向上する画期的な発見でした。

ホンダジェットは2003年の飛行試験をクリアし、2005年に初公開された実験機が多くの支持を得ます。2006年には「ホンダエアクラフトカンパニー」を設立し、ホンダジェットの開発を本格化させました。そしてついに2015年、アメリカで型式証明の取得に成功します。

以降、ホンダジェットは各国で型式証明を取得し、2018年には日本でも認められました。販売は好調で、同クラスの航空機では納入機数が2022年まで5年連続で世界首位となっています。昨年10月には新型機「HondaJet Elite II(ホンダジェット・エリート2)」を発表し、注目を集めました。

【本田技研工業の業績】

※2023年3月期(予想)は、同第2四半期時点における同社の予想

出所:本田技研工業 決算報告書

【本田技研工業の株価】

Investing.com より著者作成

拡大画像表示脱コロナで追い風の航空機メーカー

新型コロナウイルスが拡大した2020年は、多くの国で行動が制限されたため、航空機に対する需要が大きく落ち込みました。ジェット機の納入機数も、前年から急減しています。

【ジェット機の納入機数】

日本航空機開発協会「民間航空機に関する市場予測2022-2041」より著者作成

拡大画像表示

しかし経済活動が再開に向かうと、今度は世界的に航空機不足が懸念されるようになりました。航空機メーカーにとっては受注の好機であり、打撃を受けた業績も回復に向かうかもしれません。

また、航空機の需要は長期的に増加することも期待されています。日本航空機開発協会は、世界の航空会社が運航するジェット旅客機の数が、2021年の2万4055機から2041年に4万1358機に増えるという予想を立てました。うち5714機は既存機ですが、それを差し引いた3万5644機の需要が発生する計算です。

【ジェット旅客機の需要予測】

日本航空機開発協会「民間航空機に関する市場予測2022-2041」より著者作成

拡大画像表示

このように、航空機メーカーは中長期的な売り上げが見込めることから、投資先として検討する人も多いでしょう。

航空機メーカーといえばボーイングやエアバスといった外国企業が有名ですが、実は日本企業も製造に携わっています。例えば2011年に就航した「ボーイング787」では、三菱重工業や東レといった大企業が参加しました。航空機の受注が盛り上がれば、これらの企業にも恩恵が期待できるでしょう。

【ボーイング787の製造に参加した日本企業】
・主翼:三菱重工業
・中央翼:富士重工業(現SUBARU)
・前部胴体:川崎重工業
・炭素繊維:東レ
・エンジン:川崎重工業、三菱重工業、IHI

出所:経済産業省  我が国航空機産業の現状と課題(平成25年3月)

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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