「遺言書は偽物だ」認知症母が死…介護した長男に弟と妹が衝撃の要求
Finasee / 2023年2月2日 11時0分
Finasee(フィナシー)
遺言によって遺産を多くもらえても、他の相続人から「遺留分」を請求されてトラブルに巻き込まれてしまうケースが多々あります。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合をいいます。遺言があっても子どもなどの相続人には遺留分が認められるので、他の相続人から「遺留分侵害額」というお金を請求されてトラブルになってしまう可能性があるのです。
今回は柳原さん(仮名、60代男性)の体験談をもとに遺留分トラブルについて解説します。
柳原さんの場合柳原さんは3人きょうだいの長男です。下には弟と妹がいて、2人とも結婚して自分の家を構えています。
柳原さんは長男ということで、家を出ずに父母と同居してきました。父は早くに亡くなり、母は体が弱って晩年に認知症になりましたが、柳原さんの妻が中心になって自宅で介護も行っていました。他の2人のきょうだいは母の介護に関わることは一切ありませんでした。
そうこうしているうちに、母もこの世を去りました。
母の遺言書が発見される母親が死亡して柳原さんたちが自宅を調べてみると、母親は公正証書で遺言書を遺していたことが分かりました。
それは柳原さんに「自宅の不動産をはじめとして全ての遺産を相続させる」内容となっていました。弟や妹の分は一切書かれていなかったのです。おそらく柳原さんが最後まで両親と一緒に住んで介護なども行ったことを評価してくれたのでしょう。
柳原さんはこの遺言内容を見て少し驚きましたが、「頑張って介護したことが報われてよかった」と考えていました。
弟たちが遺言に納得せずトラブルに柳原さんが遺言書を見て「報われた」などと考えていたのはつかの間、不満を抱いたのは弟と妹です。
弟と妹はまず「遺言書は偽物だ」と言い始めました。「母がそんな不公平な遺言書を書くはずがない」というのです。柳原さんは「兄さんが無理に書かせたに違いない」とまで言われてしまいました。
しかし遺言書は公正証書遺言であり、母がまだ元気なうちに作成されたものでした。また、柳原さん自身も遺言書の存在を母が亡くなるまで知らなかったのであり、無理やり書かせたなどの状況はあり得ませんでした。
遺留分を請求された遺言書が無効という主張が通らないことが分かると、弟たちは「遺留分」を主張し始めました。
遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限取得できる遺産の割合です。遺言によっても遺留分を侵害できないので、遺言書で不公平な遺産の分け方が指定されても遺留分権利者は最低限、遺留分までは遺産をもらえます。
弟と妹は弁護士に相談に行って遺留分の知識をつけ、柳原さんにそれぞれ800万円ずつ、合計1600万円もの支払いを請求してきたのです。
柳原さんは驚き、「本当にそんな権利が認められるのか?」と疑問を感じて弁護士に相談に行きました。
すると、実際に柳原さんが自宅不動産などを相続していて価値が高いので、弟と妹の遺留分もそれなりの金額になってしまうということが分かりました。柳原さんの場合、弟と妹には遺産の6分の1ずつの遺留分が認められるのです。
ただ不動産の評価方法について弟と妹は多少高めに算定していたので、評価次第ではもう少し下げられる可能性はある、と言われました。
遺留分を払えない結局、弟と妹へ合計1000万円以上の遺留分侵害額を払わなければならなくなった柳原さん。
しかし手元にそんな現金はありません。柳原さんがもらった遺産の大部分は不動産だったからです。現金が全くないわけではありませんが、それだけでは遺留分の支払いに足りませんし、老後資金もなくなってしまいます。
柳原さんは「遺留分を払えない」と途方に暮れてしまいました。また、母の介護を全く手伝わなかったのに権利ばかりを主張する弟と妹への強い憤りも感じました。
●まさかの裁判にまで発展!? 続きは後半記事【“介護の功”で「全財産を相続」した長男、まさかのドロ沼裁判に絶句】で紹介します。
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