「結局残業」「やりたいことない」…忘れ去られた“政府肝いり”施策
Finasee / 2023年2月24日 7時0分
Finasee(フィナシー)
・“普通の会社員”にしかできないお得な節税?「知らないと損」な方法
今日は「プレミアムフライデー」です。ちょうど6年前の2月24日に初めて実施された取り組みですが、新型コロナウイルスの感染が拡大したこともあり、最近はあまり聞かれなくなりました。
6周年のプレミアムフライデープレミアムフライデーとは、日本の名目GDP600兆円を目指す成長戦略「日本再興戦略2016」の一環として取り入れられた施策です。毎月最後の金曜日は早めに仕事を終え、いつもより豊かな時間を過ごす習慣を作り出すことで国内消費を促す狙いがありました。
しかし、プレミアムフライデーの滑り出しは順調とはいえませんでした。導入して初期の頃にプレミアムフライデー推進協議会が実施した調査によると、半数以上の人が「あまり賛成しない」「賛成しない」と答えています。
【「プレミアムフライデー」一般人意識調査(2017年6月)】
Q.あなたは、「プレミアムフライデー」についてどのように思いますか?
・賛成する:14.9%
・ある程度賛成する:31.6%
・あまり賛成しない:25.9%
・賛成しない:27.6%
出所:プレミアムフライデー推進協議会 ~第1回から第4回「プレミアムフライデー」意識調査~
また、スタートからおよそ2年後にゼネラルリサーチが行った調査によると、勤め先企業でプレミアムフライデーを実施している割合はわずか1割程度でした。同調査では実施しなくて良いとする理由も調査しており、上位には「結局残業すると思う」といった理由が並んでいます。
【プレミアムフライデーに関する意識調査(2019年2月)】
Q.現在お勤めの会社では、プレミアムフライデーの実施がありましたか?
・はい:10.7%
・いいえ:89.3%
Q.実施しなくても良い理由は?
・結局残業すると思う:29.4%
・特にやりたいこともない:29.2%
・それなら休みたい:19.2%
・お金を浪費しそう:10.0%
・友人や恋人(家族)と時間を合わせづらい:3.0%
・その他:9.2%
出所:ゼネラルリサーチ プレミアムフライデーに関する意識調査
どちらの調査でも、プレミアムフライデーに何らかの形で参加した人は、おおむねポジティブな印象を持っている様子がうかがえました。しかし、その影響で業務が圧迫されることを懸念する人は少なくないようです。プレミアムフライデーが普及するには、企業側で従業員の負担が重くならないよう工夫する必要があるのかもしれません。
コロナに物価高…苦境が続く飲食業界プレミアムフライデーの普及を阻んだ原因の1つと考えられるのは新型コロナウイルスです。2020年から感染が拡大し、政府も行動の自粛を求めたため、多くの飲食店で業績が悪化しました。
【飲食店の売上高】
総務省「サービス産業動向調査(2022年10月)」より著者作成拡大画像表示
行動が再開され、飲食店の売り上げは回復傾向にあります。しかし、今度はインフレが懸念されるようになりました。食料や光熱費の値上がりが続いていることから、飲食店は以前より利益を確保しにくい状況にあると考えられます。
【消費者物価指数(2021年1月=100)】
総務省「消費者物価指数(2022年12月)」より著者作成拡大画像表示
経済の再開がより本格化すれば、企業の接待などを通じて飲食業界にも恩恵が考えられます。一部の企業は、接待費を損金に計上することで税負担を軽くできる仕組みがあることから、企業活動の再開に期待する飲食店は少なくないでしょう。
なお、企業の接待費は無条件で損金に算入することはできません。どのような支出なら税金を小さくできるのでしょうか。
接待費を損金に計上する条件は?企業が取引先を接待するために支払う費用は、法人税の計算上「交際費」に含まれます。交際費は、残念ながら原則として損金に算入することはできません。つまり、基本的には接待費をいくら支払っても、法人税を小さくできないということが前提となります。
ただし、期末時点の資本金が1億円以下の中小企業は、1事業年度で800万円までの交際費、または交際費のうち飲食代の50%までは損金に算入することが可能です。また大企業でも資本金100億円以下であれば、交際費のうち飲食代の50%までは損金に算入できます。
また、以下の支出は交際費に含まれないこととされています。一定の要件がありますが、これらは企業規模を問わず損金に算入できるケースがあるでしょう。
【交際費に含まれない支出の例】
・従業員のために行われる運動会、演芸会、旅行などの費用
・1人あたり5000円以下の飲食代(帳簿や書類を保存したものに限る)
・物品を贈与するために通常要する費用(カレンダー、手帳など)
・会議に必要な飲食物の供与に通常要する費用(茶菓子、弁当など)
・新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、または放送のための取材に通常要する費用
出所:国税庁 タックスアンサー 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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